
最大震度7を観測した「令和8年熊本地震」に続き、8月13日には「千葉豪雨」も発生。私たちの命を脅かす自然災害は、いつどこで起こるかわからない。家や外出先で被災した際、どんな行動をとればよいのか──“そのとき”どこにいようと、命を守る方法を専門家に聞いた。
揺れを感じたら身をかがめて頭を守る
「地震発生時に移動しようとすると、転倒したり、周囲のものにぶつかって負傷したりする可能性があります。基本、揺れている最中は移動せず、その場で身をかがめ、頭を守ること。これは、どの場所にいようと共通する命の守り方です」
とは、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんだ(「」内、以下同)。頑丈な机があればその下へ、ない場合はできる限り転倒物や落下物のなさそうな場所で、かばんやクッション、自分の腕などで頭と首を守りながら低い姿勢をとる。
「揺れが収まってから、自分と周囲の安全を確認します。建物の倒壊、家具の転倒、火災、津波、土砂災害などの危険がある場合は速やかにその場から逃げます。そうでない場合は、建物内にとどまり被害状況の確認などを行いましょう」
ショッピングモールやオフィスで被災した場合は、その場所の責任者やスタッフの誘導に従って行動すること。避難の際はエレベーターを使わず、階段で移動することが大切だ。
非常口や避難経路を確認する癖をつける
日頃から、いまいる場所で地震が起きた場合、何が危険で、避難する場合はどこに向かえばよいか、防災シミュレーションをする習慣を身につけておくとよいと、危機管理アドバイザーの国崎信江さんは言う(「」内、以下同)。
「たとえば、レストランで料理が運ばれてくるのを待つ間に、落ちてきそうな照明や倒れそうな観葉植物を確認したり、非常口の場所を頭に入れておいたりするだけでもOK。そういった作業を習慣化すると、いざというときパニックにならず、落ち着いて行動できるはずです」
具体的な避難行動については、シチュエーション別に詳述する。
【家の中で被災した場合】キッチンで被災「1秒でも早くその場から離れる」
「火元であり、食器や刃物、家電といった危険物が多いのがキッチン。1997年以降に新設された家庭用のガスメーターは、震度5相当以上の揺れを感知すると、ガスを自動遮断するようになっています。コンロを使用中でも無理に火を止めようとせず、揺れを感じたらすぐにその場を離れて」(国崎さん)

【家の中で被災した場合】浴室で被災「扉を開けて退路を確保」
「慌てて浴室から出ようとすると、すべって転倒する恐れがあります。湯船の中にいる場合は、浴槽のへりにつかまり、揺れが収まるのを待ちます。洗い場で髪などを洗っていた場合は、とりあえず扉を開けて退路を確保する。いずれの場合も揺れが収まったら、速やかに浴室から避難しましょう」(国崎さん)

【家の中で被災した場合】寝室で被災「枕元に靴やライトを備えておく」
「背の高い家具とは距離をとり、寝具で頭を守りながら揺れが収まるのを待ちます。寝室にはなるべく家具を置かない方がいいのですが、それが難しい場合は、寝ている場所に家具が倒れてこない配置にするか、転倒しないように家具を固定しましょう。枕元に靴やライトを備えておくのも大切」(高荷さん)

【家の中で被災した場合】トイレで被災「すぐにドアを開ける」
柱に囲まれた個室は構造上、地震に強いとされ、トイレは比較的安全だといわれる。
「ただし、トイレが絶対安全というわけではありません。揺れでドア枠がゆがんで閉じ込められるリスクがあります。水のタンクのフタが外れて飛んでくる可能性も。私なら、タンクを注視しつつドアを開けて避難経路を確保します」(国崎さん)

【レジャー先で被災した場合】海で被災「警報より前にまず高台に避難」
「海岸付近で強い揺れや、長くゆっくりした揺れを感じた、または揺れを感じなくても津波警報等が出た場合は、揺れが収まり次第すぐに高い場所(高台やコンクリート製のビル、イラストのマークがついた津波避難ビルなど)へ。津波は巻き込まれてからでは助かりません。自分が率先避難者となり素早く避難を」(高荷さん)

【レジャー先で被災した場合】山で被災「落石や土砂崩れに注意」
「地震発生時は、リュックなどで頭を守りながら、その場で低い姿勢をとり、身の安全を確保します。崖や急斜面、岩場の近くにいる場合は、その場からすぐに離れてください。落石や土砂崩れが発生する恐れがあるからです。揺れが収まったら周囲を確認し、安全な場所へ移動。下山は経路の安全を確認して判断しましょう」(高荷さん)

【レジャー先で被災した場合】川で被災「津波は川をさかのぼるためすぐに避難」
「東日本大震災では、河口から最大50kmの地点まで津波が川をさかのぼりました。海に近い河口や沿岸部の川沿いで被災した場合は、強い揺れを感じたらすぐに川から離れて高い場所へ避難しましょう。上流は津波の心配はありませんが、土砂災害が発生する恐れがあるので、いずれにせよ、すぐに川から離れること」(国崎さん)

【レジャー先で被災した場合】温泉で被災「濡れた床での転倒に注意」
床が滑りやすいので、まずは転倒に注意。
「湯の中にいる人は浴槽のへりにつかまり、揺れが収まるのを待ちます。浴槽の外にいる人は、転ばないように、洗い場のへりなどにつかまってしゃがみます。揺れが収まったら、足元にガラス片がないか確認しながら脱衣所へ。すぐに服を着て、従業員の誘導に従いましょう」(国崎さん)

◆教えてくれたのは:備え・防災アドバイザー・高荷智也さん
「自分と家族が死なないための防災」をテーマに、普及活動を行う。著書に『今日から始める家庭の防災計画 増補改訂版 避ける 耐える 逃げる しのぐ 災害で死なないための事前対策』(徳間書店)など多数。
◆教えてくれたのは:危機管理アドバイザー・国崎信江さん
危機管理教育研究所代表。内閣府「防災スペシャリスト養成企画検討会」など、国や自治体の防災関連の委員を歴任。監修書に『暮らしのうっかり事故を防ぐ本 60歳過ぎたら 死なないためにやるべきこと』(宝島社)など多数。
取材・文/鳥居優美
※女性セブン2026年9月10日号