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《美容整形の光と闇・前編》『ダウンタイム』が映し出す女性たちの希望と葛藤のリアル 「見た目の治療」に蔑みの眼差しが向けられた時代から“当たり前”へ変わるまで

美容整形の診療所はこの10年ほどで急増

 そもそも美容整形とはいかなるものか。UP CLINIC院長で美容外科医、美容後遺症診療医の朝日林太郎さんが指摘する。

「病気やけがの治療をする一般的な医療とは異なり、患者のQOL(生活の質)を高める医療を幅広く美容医療と称します。そのなかでメスを使って顔や体の形を変えるものを美容整形、美容外科と呼びます。美容整形はやけどや眼瞼下垂、口唇裂など体の表面に生じる症状に治療を行う形成外科の一種でもあります」

 作中、形成外科医の文が凜に命じられて未経験のはずの美容整形の手術をいきなり行えたのは、美容整形が形成外科の一分野だったからだ。

 美容整形の診療所はここ10年ほどで急増している。厚労省の2023年の調査によると、美容外科を標榜する診療所は2020年の1404施設から同年は2016施設に増加し、43.6%増を記録した。ティーズクリニック院長で形成外科医の田牧聡志さんは、施設増加に医療サイドの事情を読み取る。

「来年の改正医療法により美容クリニックの開業が制限されるので駆け込み開業が増えた面もありますが、いちばんの理由は収入格差でしょう。現在、保険診療を行う新人医師の年収は800万円程度ですが、自由診療の美容外科なら新人でも年収1000万円超えが当たり前の世界です。開業医はもっと稼げるので、“だったら開業しよう”という気持ちになるのは理解できます」(田牧さん)

安達祐実も患者を熱演(Netflix Japanの公式Xより)
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 一方、朝日さんは患者サイドの伸びを指摘する。

「美容医療を受ける患者は明らかに増えています。その顕著な変化は若年化で、年齢層が10〜20代に広がっています。また、通常の美容整形を受ける人だけでなく、後遺症や経年劣化を訴えて通院する患者も増加しています」

『ダウンタイム』では小学生のキッズインフルエンサーが美容整形を受ける場面が描かれ、「いまどき小学生の整形なんて、クワガタ飼うのと同じくらい普通です」というせりふが視聴者に衝撃を与えた。実際に若年層でも美容整形を受けられるのか。

「業界的に、特に年齢規約はありません」

 そう語るのは田牧さん。

「ただし、私のクリニックは親の許可があったとしても基本は20才以上でないと受けられません。顔の形は10代前半で出来上がるので、15才を超えれば施術を受けてもその後の成長で不具合が生じることはありません。しかし、本人が責任を持てる年齢かどうかは別の問題。一般的には18才以上なら受け入れるクリニックが多いと思います」(田牧さん)

 実際に手術に踏み切るかどうかは別にしても、世間の美容整形への関心は確実に高まっている。看護師向けメディア「one nurse」とクーミル株式会社が10〜60代の836人に行った調査によると、美容整形を「受けてみたい」が243人、「検討している」が165人、「受けたことがある」が153人となり、肯定的な回答が約7割に達した。

 施設や医師、患者や予備群の欲望が一体となって膨張を続ける美容整形。ドラマの大ヒットからうかがえるのはもはや美容整形を“当たり前”とする価値観だが、かつての日本では否定的な考えが根強かった。

患者を演じた天野はな(Netflix Japanの公式Xより)
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