
食欲が落ちてバテやすくなる夏こそ、スパイス&ハーブを。独特な香りや味わいで食欲アップ、胃腸や気分もスッキリ。予約の取れない料理教室主宰の小堀紀代美さんが教えてくれたレシピなら、いつもの夏野菜の一皿も、ひとふりでワンランク上の美味しさが楽しめる。
夏こそスパイス&ハーブを活用!
使ってみたいけれど、うまく使いこなせない…という人も多い、スパイス&ハーブ。ハードルが高いと思われがちだが、少し使うだけで本格的な味わいになる、頼れる存在。
「たとえばクミンを少し、いつもの料理に加えて味の変化を感じてみてください。スパイスは複数使うと複雑な味わいになりますが、1種類だけでも新鮮な味になります」と小堀紀代美さん。
また少量でも清涼感ある風味になるハーブは、たっぷり盛るのがおすすめだそう。
「炒めものなどは、ミントを加えることで、脂をさっぱりとさせてくれます。夏は特に、薬味的に少量入れるよりも、葉物野菜の感覚でたっぷり使うと、香りも食感もより爽やかに楽しめますよ」
夏野菜
色鮮やかなものが多い夏野菜。抗酸化作用があり、紫外線対策や夏の健康維持に。
ハーブ
清涼感やリラックス感をもたらしてくれるハーブは、さっぱりと食べたい夏の料理に最適。
スパイス
暑さで食欲が落ちやすい季節には、ほんの少しのスパイスが効果的。食欲や代謝のアップに。
ひと手間で美味しさUP
葉物野菜をはじめ、パプリカなどの果菜も冷水に5〜10分つけ、新鮮さをよみがえらせて。カット野菜は水溶性の栄養素が流れないよう1分程度で。

ホールタイプは、最初に料理に使う油で炒めると香り成分が溶け出し、香りが持続。パウダータイプは加熱すると香りが飛びやすいので仕上げやソースに。

フレッシュハーブは乾燥しやすいため、ディルやミントは水洗いし、ペーパータオルで覆って冷蔵庫へ。バジルなどは茎を水に浸して鮮度をキープ。スパイスは開封後、どんどん風味が落ちていくので、密閉容器に入れ冷暗所で保存を。

ひとつの野菜だけで作るシンプルレシピ
メインの野菜はひとつだけ。でも、スパイス&ハーブがあればいつもと違う新鮮な味に。少量余った野菜を使い切りたいときにも!
「玉ねぎのサルサヴェルデ」のレシピ
6~7月はまだ新玉ねぎの旬。やわらかパセリの爽やかさ、アンチョビーの塩気で洗練された味に。

【玉ねぎの栄養】辛み成分の硫化アリルには、血流改善、疲労回復、悪玉コレステロールを減らす効果も。
《材料》(2人分)
玉ねぎ…1個(200g)
【A】(サルサヴェルデの材料)
パセリの葉…大さじ1弱 ケイパー…大さじ1 アンチョビー…2尾 白ワインビネガー…大さじ1 オリーブオイル…大さじ2
《作り方》
【1】玉ねぎは皮をむいてせん切りにし、さっと水洗いして水気をきる。ペーパータオルで押さえて水気をとり、ボウルに入れる。
【2】【A】をミキサーにかける(またはみじん切りにして混ぜ合わせる)。
【3】【1】に【2】を加えて混ぜ合わせ、塩(分量外)で味を調える。
《スパイス&ハーブ》
・パセリ
独特の苦みが特徴。飾り以外でもぜひ活用を。老化を防ぐ、ビタミンA・C・Eも豊富。
・ケイパー
フウチョウボク科の木のつぼみを塩漬けや酢漬けにしたもの。マリネやソースの味を引き締めてくれる。
「ズッキーニのソテー」のレシピ
炒めてスパイス&ハーブを散らすだけ。ズッキーニは旨みや甘みがアップして美味!

【ズッキーニの栄養】塩分を排出してむくみを改善するカリウムが豊富で、ビタミンやミネラルの種類も多い。夏バテ対策にもおすすめ。
《材料》(2人分)
ズッキーニ…2本 オリーブオイル…大さじ1と1/2 塩…ひとつまみ 粗塩…ふたつまみ 黒こしょう…少量 オレガノ(乾燥)…ひとつまみ ピンクペッパー(あれば)…少量 ミントの葉…適量
《作り方》
【1】ズッキーニは皮ごと大きめの乱切りにする。ボウルに入れ、オリーブオイルを全体にからめる。
【2】フライパンを中火にかけ、【1】を入れて塩をふる。時々上下を返しながら、焼き色がつくまで焼く。
【3】器に盛り、粗塩、黒こしょう、オレガノをふる。ピンクペッパーを指でつぶしながら散らし、ミントの葉をのせる。
《スパイス&ハーブ》
・ミント
味・香りは清涼感が強く、気分をスッキリさせる。油を使った料理もさっぱりいただける。
・オレガノ
シソ科のハーブで、ほろ苦さのある香りと風味が特徴。トマトやチーズとの相性もいい。
「焼きトマトの中華だれ」のレシピ
焼くと旨みが増すトマト。ご飯にかけても美味しい。中華だれは、サラダや冷奴と合わせても。

【トマトの栄養】抗酸化作用があるリコピンやビタミンC、β-カロテンも多い。トマトよりミニトマトのほうが栄養価が高い。
《材料》(2人分)
ミニトマト(好みの色で)…20個 にんにく…1/2片
【A】(中華だれの材料)
長ねぎ…10cm程度(粗みじん切り) 花椒…10粒(つぶす) しょうゆ…小さじ1 砂糖…小さじ1 豆板醤…小さじ1/3〜1/2 ごま油…小さじ1
塩…ひとつまみ オリーブオイル…大さじ1
《作り方》
【1】ミニトマトはヘタを取って横半分に切る。にんにくはみじん切りにする。
【2】【A】をよく混ぜ合わせる。
【3】フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかける。香りが立ってきたらトマトの切り口を下にして入れ、塩をふり、弱めの中火にして焼く。
【4】トマトに焼き色がついたら上下を返し、弱火にして1〜2分焼く。器に盛り、【2】をかける。
《スパイス&ハーブ》
・花椒
麻婆豆腐でもおなじみ。かしょうやホアジャオと呼ばれ、しびれる辛さが特徴。加えると本格的な味わいになる。
「焼きなすの白みそヨーグルトソース」のレシピ
とろとろのなすに、みそのコクがきいたソースをかけて。(ソースはフルーツにかけてもgood!)

【なすの栄養】夏なすは皮が厚く、身が詰まっている。強い抗酸化作用のあるナスニン(アントシアニンの一種)も豊富で老化防止効果も高い。
《作り方》
【1】なすは皮ごと縦半分に切る。皮側に5mm幅の斜めの切り込みを入れる。全体に塩をまぶし、水に5〜10分ほどつけてアク抜きをする。さっと水洗いしたらざるに上げて表面の水気をふき、オリーブオイル大さじ1を全体にからめる。
【2】フライパンに残りのオリーブオイルを中火で熱し、【1】の皮目を下にして並べ入れ、塩ひとつまみ(分量外)をふる。皮が鮮やかな色になったら裏返す。火が通ったら器に盛る。
【3】【A】をよく混ぜ合わせて好みの量をかけ、粉山椒をふる。
《材料》(2人分)
なす…3〜4本 塩…大さじ1/2 オリーブオイル…大さじ21/2
【A】(白みそヨーグルトソースの材料)(作りやすい分量)
白みそ…大さじ2 プレーンヨーグルト…大さじ2 レモンやすだちなど、好みの柑橘の果汁…小さじ1
粉山椒…適量
《スパイス&ハーブ》
・粉山椒
山椒の果皮を乾燥させて粉末にしたもの。爽やかで品のある風味。みそやしょうゆとも相性がいい。
◆教えてくれたのは:料理家・小堀紀代美さん

世界を旅する中から生まれたレシピは、食材や味を合わせるセンスの高さが評判。洗練されたスパイスやハーブ使いにも定評がある。定番野菜が、スパイスやハーブ、ソース使いで新鮮な美味しさに! 食卓をおしゃれに彩る『いつもの野菜ひとつで美味レシピ』(小学館) が好評発売中。
撮影/神林 環 スタイリング/西崎弥沙 栄養監修/清水加奈子 取材・文/松田亜子
※女性セブン2025年6月19日号