一緒に暮らしている家族、毎日顔を合わせるご近所さん、机を並べて働いている同僚…。やせている人を見るたびに思う。あの人と私、一体何が違うの!?
太っている人とやせている人の“決定的な差”は何なのか。福岡県みやま市工藤内科のダイエット外来の副院長で、10万人以上のダイエットをサポートしてきた工藤孝文さんがたどり着いた結論、それが「味覚」である。
そこで、著書『1日1杯飲むだけダイエット やせる出汁』(アスコム)で工藤さんが紹介している、“デブ味覚”と“やせ味覚”について教えてもらった。
太っている人が持つ“デブ味覚”をチェック
工藤さんによると、太っている人とやせている人は“味覚”によって、好む食べ物が違うという。
「太っている人は、こってりした味や甘いもの、濃い味付けなど、太りやすいものを好む“デブ味覚”になっています。一方で、やせている人は、それらを好んで食べたいと思わない“やせ味覚”の人が多いのです」(工藤さん・以下「」内同)
つまり、“やせ味覚”の人は自然とヘルシーな食生活を送ることができているということ。そこで、まずは「デブ味覚チェック」に自分がいくつ当てはまるか診断を。“デブ味覚”の自覚を持つことが、デブ脱却の第一歩に。
□コンビニ弁当やスーパーの総菜がおいしい
□お腹が空かなくても時間になったら食べる
□肉はヒレよりロースだ
□焼き鳥は塩よりタレ派
□こってりした味が大好き
□スイーツは別腹
□添付のタレやドレッシングは使い切る
□ソース、ケチャップは必ずつける
□外食が週5日以上
1つでも当てはまっていたら、あなたは「デブ味覚」に陥っている可能性がある。
「“デブ味覚”の人は、太りやすい食べ物を好みます。ですから、“デブ味覚”のままダイエットを始めると、食べたいものを食べたい気持ちを我慢したり、おいしくないと感じる食事を食べ続けたりすることがストレスになります」
それが、太っている人ほどダイエットに挫折しやすい理由なのだとか。
「しかし、“やせ味覚”の人は、食べたいものがやせる食べ物なので、ダイエット中の食事制限を“制限”だと思いません。つまり我慢をしなくていいのです。だから、食べたいものを食べていても、自然とやせていきます」
太りづらい食べ物を好むようになる“やせ味覚”。では、“デブ味覚”から“やせ味覚”になるには、一体どうしたらいいの?
「狂った味覚センサーをリセットし、やせ味覚に変える方法は簡単です。1日1杯『やせる出汁』を飲むだけで、味覚は正常に戻ります」
なぜ出汁を飲むだけでやせる?
同書には、ダイエット外来に通う30人が「やせる出汁」を2週間飲み続けた結果が掲載されている。「毎朝1杯飲む」というルールだけを守ってもらい、食事制限などの指示はしなかったにもかかわらず、平均で体重-5.3kg、中には7kgやせたという人も! こんなにも簡単にダイエットが成功する理由は5つある。
【味覚リセット】狂った味覚センサーの正常化
【食欲抑制】旨みの満足感と出汁の成分が食欲の暴走を防ぐ
【脂肪燃焼】出汁の旨みが内臓の味覚センサーに働きかけ、体内の脂肪を燃焼する
【整腸作用】昆布の食物繊維などが腸内環境を整え、便秘を改善
【ストレス緩和】出汁の香りや成分にストレスを和らげる効果がある
「つまるところ、太っている原因の9割は食べすぎです。食べすぎを解消してダイエットへと導くカギは食欲コントロールとストレスコントロールの2本柱しかありません。“デブ味覚”から“やせ味覚”に味覚をリセットし、満足感に浸りながら食事内容を変えていくために『やせる出汁』を2週間試してみてください」
1日1杯飲むだけ「やせる出汁」の作り方
味覚センサーをリセットしてくれるという「やせる出汁」。これを、マグカップや湯飲みに大さじ1杯入れて、お湯を150~200ml注いで飲む。たったこれだけのことなのに、続けることで“デブ味覚”がリセットされ、“やせ味覚”に変化していくという。
4つの材料を用意するだけの「やせる出汁」は作り方も簡単だから、作り置きして生活に取り入れて。
《材料》(10~14杯分)
刻み昆布(塩分不使用のもの)…10g、かつおぶし…30g、緑茶(茶葉)…5g、煮干し…10g
《作り方》
【1】かつおぶしと煮干しをフライパンで炒る。
電子レンジの場合は、平らな耐熱皿にクッキングペーパーを敷いてかつおぶしを広げ、そのままラップをせず2分加熱して水気を飛ばす。同じように煮干しも1分加熱して水分を飛ばす。ポキッと折れる程度に水気が飛んでいればOK。
【2】刻み昆布と緑茶(茶葉)、【1】をミキサーにかける。パウダー状になったら完成
「自宅に電子レンジやミキサーがない、あるいは作るときの手間をなるべく省きたいという人は、市販のかつおぶし粉や煮干し粉、昆布粉、粉茶など、初めから粉末になっているものをミックスして作ることもできます。その場合の割合は、かつおぶし粉3:煮干し粉1:昆布粉1:粉茶0.5とするとよいでしょう」
保存期間は2週間ほど。1日大さじ1杯ずつ飲むと、上記の分量で約10日~2週間分になるので、1度作って飲み切る頃にまた作り置きするのがおすすめ。保存するときは、密閉容器に入れて、直射日光の当たらない場所に置くこと。また、夏場など、気温や湿気が高い季節は冷蔵庫へしまっておくと安心。
「飲むときは、お湯を注いで1分ほど待つと、刻み昆布がやわらかくなってきてさらに旨みが増します。底に溜まった出汁の粉も食べられます。出汁の栄養成分を余すことなく摂取できるので、ぜひ食べてみてください。どうしても粉っぽいのが苦手という人や、お料理に使うときに粉っぽさを残したくない場合は、ティーバッグの要領で使える市販のお茶パックや出汁パックを利用してください」
「やせる出汁」材料4つのダイエット効果
「やせる出汁」の材料となる4つの食材には、それぞれにすごいダイエットパワーが。これらを合わせることで旨みがアップする他、味に深みが出て満足感を高めたり、不足しがちな栄養を補ったり、ストレス緩和の効果も期待できるのだとか。
■かつおぶし
「旨み成分『ヒスチジン』は高い食欲抑制効果があることで知られています。『ヒスチジン』が含まれた食事の摂取で、食事量が3割減少したというデータも! また、細胞の新陳代謝に欠かせない亜鉛を含み、味を感じる舌の味蕾(みらい)の新陳代謝が促進されることで、味覚リセットがスムーズに。さらにかつおぶしの中の『トリプトファン』は幸せホルモン『セロトニン』を作り、ダイエットのイライラ防止に役立ちます」
■煮干し
「全身の細胞を活性化させて老化を防止する効果で知られる『イノシン酸』をなんと、かつおぶしの2倍以上も含んでいます。さらに脳の老化防止や認知症予防、高血圧の改善に効果的なDHAやEPAを豊富に含む他、カルシウムとカルシウムの吸収・代謝を助けるたんぱく質もたっぷり」
■刻み昆布
「旨み成分の『グルタミン酸』を豊富に含みます。『イノシン酸』と合わせて食べると『旨みの相乗効果』により、飛躍的においしく感じられます。ぬめりのもとは食物繊維のアルギン酸『フコイダン』。排泄を促したり、腸内環境を整えるのに役立ちます。また、腸内の運動を活発にし、食事生産熱量を促進、代謝を高めます。さらに、食欲の増進・減退にかかわる『レプチン』の生産を安定させ、食欲をコントロールします。副交感神経の活動を促すので、イライラ防止、リラックス効果もあります」
■緑茶(茶葉)
「旨み成分であるアミノ酸の一種『テアニン』が含まれるので、リラックス作用があります。副交感神経に働きかけてストレス緩和や睡眠の質を改善します。また『茶カテキン』を摂取すると脂質代謝が活発化するという報告も。摂取し続けることで腸内の善玉菌が増加し、悪玉菌が減少するという研究もあります」
「やせる出汁」を続けるコツ
この「やせる出汁」は、お湯に溶いて飲むだけでなく、市販の調味料の代わりにしたり、料理に使ったりと、用途は多彩。「やせる出汁」の旨みを感じて薄味に慣れることが、“やせ味覚”になるためのポイントとなる。
「最初はおいしくないと思うかもしれませんが、これは味覚がリセットされることを実感できるとてもポジティブな感覚。『やせる出汁』をおいしく感じるようになるまで平均3日程度なので、思った以上に変化は早く現れますよ」
1日1杯飲むだけで、太りづらい食べ物を好むように味覚が変わるという「やせる出汁」。まずは作って、一杯飲んでみては?
著者:工藤孝文さん
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡 県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、『あさいち』(NHK)『ガッテン!』(NHK)『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)減量外来ドクター、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)肥満治療評論家・漢方治療評論家など、メディア出演多数。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会、日本女性医学学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。
【データ】
アスコム『1日1杯飲むだけダイエット やせる出汁』
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