料理・レシピ

《美白に腸活に消化促進》キウイを毎日食べるべき驚きの効果

日本でおなじみの3種類のキウイ。色だけでなく、含有する栄養素も異なる
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5月に入り、グリーン、ゴールド、レッドの3種類のキウイが店頭を賑わしている。一年中食べられる印象が強いキウイだが、これからがまさにシーズン本番。というのも、主な原産国のニュージーランドが秋に入り、採れたてのキウイが出荷の最盛期を迎えているのだ。つまり、これからが最も栄養価が高くておいしい時期に。しかもこのキウイ、他の野菜や果物の中でもズバ抜けて栄養価が高く、品種によってその“得意分野”が異なる。知られざるキウイの健康効果を、最新情報を交えてお届けする。

赤は抗酸化成分、黄はビタミンC、緑は食物繊維が豊富

なじみのあるキウイといえば、ヘイワードという品種のグリーンキウイや、果肉が黄味を帯びて毛が少ないサンゴールド。最近では小ぶりで果肉の赤いルビーレッドキウイも見かけるようになった。

種の周辺だけ赤いキウイは日本でも生産されているが、ルビーレッドのように果肉全体が赤い品種は他になく、熟すのが早く販売期間が3月下旬から5月下旬と短いため、希少性が高い。おまけに糖度が約20%と甘みが強く、栄養価がすこぶる高い。キウイ研究の第一人者で駒沢女子大学人間健康学部の元教授・西山一朗さんが説明する。

「ルビーレッドの赤味がかった果肉には、ポリフェノールの一種・アントシアニンが豊富です。アントシアニンは抗酸化成分の1つで、疲労回復や視力や眼精疲労の回復、血管の弾力を保つといわれていますから、大いに健康効果が期待できます。

また、甘みが強いので見逃されがちですが、実はビタミンCも非常に多く含んでおり、含有量は可食部100gあたり189mgと、果物や野菜の中でも群を抜いています。成人が1日に必要なビタミンCの推奨量が100mg(※)。ルビーレッドは重さが70g前後ですから、これ1個で1日の必要量をまかなえる計算になります」

※ 成人の食事摂取推奨量 出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2025年版)

 

サンゴールドのビタミンC含有量はレモン7個分にも
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ビタミンCは、グリーンキウイに多そうなイメージだが、意外にも3種類のキウイの中で最も少なめ。それでも含有量は88mgと充分な量だ。

一方、サンゴールドのビタミンC含有量は152mg(いずれも可食部100gあたり)とルビーレッドに次いで多く、これ1個でレモン7個分(果汁換算)のビタミンCをまかなえる

美肌や腸活にもいいキウイは朝こそ食べるべき

朝のキウイはお肌にも、お通じにもいい(写真/PIXTA)
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ビタミンCといえば美白成分の代名詞。ところが「キウイを食べてから日光を浴びると、ソラレンという成分のせいでシミができる」という噂を耳にしたことがある人もいるだろう。実はこれ、大きな間違い!

「一時、書籍やテレビ番組等がきっかけで誤った情報が拡散されたことがありましたが、キウイにソラレンは0.000%と、ほぼゼロ。たとえ数千個食べたとしても、キウイがシミやそばかすの原因になることはあり得ません。
グリーンキウイは食物繊維が豊富で、お通じを整えてくれる効果も期待できます」(西山さん・以下同)

腸活は肌の状態に大きく影響があることがわかってきているので、これはうれしい。しかも、グリーンキウイにはたんぱく質を分解するアクチニジンの含有量も多く、消化促進効果も期待できるというから、付け合せや食後のデザートにもピッタリ。

キウイを手にニュージーランド・オークランドのスーパーマーケットを視察するキウイ研究の第一人者・西山さん
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食物繊維が豊富なグリーンキウイは腸を元気に

グリーンキウイの特徴は、なんといっても食物繊維の含有量が2.3gと豊富なこと。水溶性と不溶性食物繊維をバランスよく備えており、日本人女性が平均的に不足しているといわれる食物繊維量の2.1gを、これ1個で補える計算になる。これはバナナでいうと2本を食べた量に相当する。

不足しがちな食物繊維は含有量が2.3gのグリーンキウイ1個で補える
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キウイが消化器官に与える好影響については、非常に厳格な評価と規制を行うことで有名な欧州食品安全機関(EFSA)が、「1日2個のグリーンキウイを食べ続けることで快便を維持できる」という内容に肯定的な意見を発表している。

グリーンキウイ1個で食物繊維の不足分をカバー(写真/PIXTA)
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最新の研究でも、グリーンキウイが腸内環境を改善するという実験結果が。ニュージーランド・オタゴ大学医学部博士のシモネ・バイヤーさんが説明する。

「世界中の60%の人になんらかの腹痛があり、うち40%は治療が可能といわれています。そこで、症状のある被験者のみを2群に分け、グリーンキウイフルーツ摂取群とファイバー補助剤群で比較しました。すると、 グリーンキウイを摂取した群は、過敏性腸症候群(IBS)の腹痛が著しく軽減したのです」

また、グリーンキウイを摂取した群は、一般的に健康と関連があるとされる腸内細菌の数を増加させることもわかった。

キウイの健康効果について語る研究者のシモネさん(左)とベンさん
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また、昨今は糖度の高い野菜や果物が増え、キウイの甘みを気にする人もいるようだが、心配は無用。グリーン、ゴールド、レッドの3種類とも、食後血糖値の急上昇を抑える「低GI食品」であることがわかっている。

サンゴールドはメンタルヘルスを改善

キウイに関する研究は意外な分野にも広がり、精神衛生にどのように関係するかに関する実験も、ニュージーランド・オークランド大学で行われている。

「ビタミンCの豊富なサンゴールドを毎日摂取する群と、単にビタミンCのみを摂取した群、偽薬(プラセボ)を摂取した群の3つに分け、8週間にわたって日々の気分、活力、持続的幸福感、睡眠や運動の質を記録してもらいました。すると、サンゴールドを摂取した群は、開始4日目から活力が改善され、14日から16日目にはピークに達したのです」(同大学社会・地域保険学博士のベン・フレッチャーさん)

落ち込んだときは、キウイを食べると気分転換ができそうだ。

グリーン、サンゴールド、ルビーレッドのキウイ。種類によって健康効果はさまざま
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グリーンキウイ・ゼリーがこの世に存在しない理由

実は、キウイの品種による成分の違いに注目が集まるようになったのは、西山さんが、1999年に当時小学生だった長女の夏休みの自由研究に、親子でキウイ・ゼリーについて取り上げたことがきっかけだった。

ここでいうゼリーとは、寒天ではなく動物性たんぱく質が主成分のゼラチンを使って固めたもの。たんぱく質分解酵素・アクチニジンの影響で、生のグリーンキウイを切って混ぜたゼリーは凝固しなかったのに、当時発売して間もなかったゴールドキウイのほうはゼリーが固まったことに、西山さんが興味を持ったのだ。

「当時はゴールドキウイが珍しく、品種の違いによりキウイに含まれる成分に差があることは、まだ研究が進んでいませんでした」(西山さん)

これを機に、西山さんは本格的に研究を進め、ゴールドキウイにアクチニジンの含有量が少ないことを突き止めた。以来、キウイの研究一筋。いまでは日本はもとより世界中でキウイ研究の権威として知られている。

(写真左から)グリーン、サンゴールド、ルビーレッドの3種類のキウイでゼラチンを使ってゼリーを作った結果。たんぱく質を分解する酵素が豊富なグリーンはゼリーが固まらなかった(※ゼリー液はブラウンシュガーで着色。写真は編集部作成)
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あれから四半世紀、西山さんは新たに登場したルビーレッドでもゼリーづくりに挑戦したところ、サンゴールド以上にしっかり固まったゼリーができたそう。なぜならルビーレッドにはアクチニジンの含有量がほぼゼロ。

種類によって、これほど含まれる成分が違うとは。しかもその研究が進んだきっかけが、夏休みの自由研究だったとは、キウイって本当におもしろくて奥が深い!