「最近体がかたくなってきたけれど、無理に柔軟体操をすると痛いし…」とあきらめていたそこのあなた! 簡単なストレッチを5分行うだけで、自分史上最高にやわらかい体を手に入れられる方法があるんです。62才の女性セブン名物記者も体当たりでチャレンジ! 驚きの結末を一緒に体感しませんか?
脳科学と筋膜、2つのアプローチがポイント
体は加齢とともにかたくなると思われがちだが、実は年齢に関係なく、ストレッチ不足が原因だと、柔軟美トレーナーの村山巧さんは話す。
「筋肉は、使わないと筋力が低下します。同様にストレッチしないと柔軟性が衰えるんです。そうなると、血行が悪くなって代謝が落ち、太りやすくなる。免疫力が低下して疲れやすくなります」(村山さん・以下同)
健康で長生きするためには、ストレッチをして筋肉の柔軟性を維持することが大切なわけだが、時間をかけて少しずつのばす従来のストレッチの場合、毎日続けられない人にはきつい。
しかし、脳科学と筋膜、2つのアプローチからストレッチを行えば、素早く柔軟性を上げられるという。
「“火事場の馬鹿力”の言葉通り、人間には潜在的な力があるのに、体に負担をかけないよう、普段はその力にブレーキをかけています。しかし、力を入れて強く筋肉を収縮させた後に脱力すると、脳にある運動系の神経が刺激され、そのブレーキを解除できるんです。すると、筋肉や関節の可動域が飛躍的に広がります」
これが脳科学的アプローチだ。さらに、筋膜へのアプローチを加えると効果的だ。
「全身は1枚の筋膜で覆われています。筋膜は普段の生活の中でねじれたりかたまったりします。このゆがみを整えれば筋肉や関節が正常に動かせるようになります」
100才まで動ける体をつくるには特に、筋肉量の多い肩(肩甲骨)まわりやふくらはぎの柔軟性を上げるといい。
「入浴後、筋膜が温まってのびやすいタイミングでストレッチを行うのがおすすめ。“自分は体がかたい”と思い込まず、前向きな気持ちで続けると、必ず柔軟性は上がります」
「前屈」ができる「ふくらはぎ」のストレッチ
今回のストレッチでは、表面に凹凸がついた筒状の器具「フォームローラー」(市販、2000円ほど)を使っているが、なければ大きめの水筒やビール瓶などにタオルを巻いて代用することも可能。また、ストレッチによっては硬式テニスボールで代用してもよい。
【1】お尻の筋膜をほぐして整えると下半身全体の筋肉がやわらかくなる!
足を前にのばして座る。両手は後ろの床について体を支える。右ひざを立て、左のお尻をフォームローラーにのせ、前後に転がす。時間や回数は気にせず、気持ちいいと感じるまで行う。フォームローラーがなければ硬式テニスボールで代用も可。右も同様に行う。
【2】ふくらはぎの筋膜をほぐして整えると血流もアップ
【1】の姿勢のまま、フォームローラーに左足のふくらはぎをのせ、その上に右足をのせ、お尻を浮かす。その状態で左足首を回す。右の足も同様に行う。
【2】の動きがきついようなら、フォームローラーにふくらはぎをのせ、足を左右に揺らすだけでも効果はある。ふくらはぎの筋肉がかたすぎる場合は、まずこちらを試してみて。
●余裕があれば、こちらにも挑戦を!
[A]足裏をゆるめる
ゴルフボールやペットボトルのキャップを踏みながら、指の付け根からかかとまで転がす。足裏の筋膜をほぐすと下肢の筋肉もほぐれる。
[B]ひざ裏をゆるめる
握りこぶし、あるいはゴルフボールを太ももとふくらはぎの間に挟んで正座をする。上記【1】【2】に加え、[A] [B]2つのストレッチを行うと、詰まっていた下肢の筋膜がほぐれ、足が本来の長さに。
「肩上げ」ができる「肩」のストレッチ
【1】わきの下の筋膜をほぐすと肩まわりの筋肉がグンとやわらかくなる
床に寝転び、右のわきの下をフォームローラーにのせたら、胸側と背中側、交互に体を倒す。
【2】腕を回すと、わきの下の筋膜がさらにゆるむ。肩まわりがかたい人は結構痛いかも…
【1】の姿勢のまま、腕を少し上に上げて大きく回す。肩まわりの筋膜がかたまって詰まっている場合は痛みがあるので、無理のない範囲で。
「背面握手」ができる「肩」のストレッチ
【1】脳科学アプローチで上腕三頭筋と肩まわりをほぐす
左腕を頭の上から回して背中に添え、左ひじを右手で真横に引っ張る。この時、左腕は右手にあらがうよう逆方向に力を入れて抵抗する。この状態を2秒キープしたら左の肩の力だけを一気に抜いて、右手で左ひじを横に引っ張り続け、さらに2秒キープ。同じ動きを3回繰り返すと二の腕の裏の筋肉(上腕三頭筋)と肩まわりの筋肉を、脳科学的なアプローチでほぐせる。
【2】二の腕の表と裏の筋肉を刺激し、筋膜をゆるめるストレッチ
仰向けに寝て、フォームローラーの上に左の二の腕をのせたら、腕をフォームローラーに押しつけたまま前後に回す。右の二の腕も同様に行う。物足りない場合は、反対側の手で二の腕を上から押さえ、負荷をかけてもOK。
【オバ記者後記】柔軟性がアップしたことを実感!
ストレッチを体験したオバ記者の感想は…?
* * *
撮影現場にさっそうと登場した柔軟王子こと、村山トレーナーってば、いきなりよ。
「体の筋肉はすべてつながっていて、ある部分を的確に刺激すると、誰でも一瞬でやわらかくなります」
怪しさ全開で、バッグからデコボコ付きの棒だのボールを出してきて、「これにのってください」って。 実はこの1~2年、スポーツをしていなかった私の体はカチンコチン。以前なら、ベターッと開脚だってできたのに。
言われるがまま、ふくらはぎだの、尻っぺただの、わきの下だのを棒と球で転がしたり、踏んづけたり。
「ちょっとがんばって、お尻を上げてみましょうか」
言葉はやさしいけど、これって江戸時代の折檻じゃね?
「あのね~」
あまりの痛さに思わず太い声が出ちゃったわよ。ところがその痛みがだんだん“イタ気持ちいい”に変わってきて、終わってみれば体はすっきり、さわやか。私、狐に化かされた?
この人に聞きました:柔軟美トレーナー・村山 巧(たくみ)さん
体がかたいという自らの経験から柔軟性の研究を始め、2万人以上に柔軟指導を行う。主な著書に『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』(かんき出版)。
※挑戦者・オバ記者(野原広子・62才)/富士登山をはじめ、女性セブンでの体当たり取材が人気の記者。運動神経はいいが、体はそこそこかたい方。
撮影/菅井淳子
※女性セブン2019年10月17日号
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