蒸し暑い日々が続くが、新しい生活様式では、外出時のマスクの着用が求められている。
この時期に心配なのが、マスクによる肌荒れだ。赤須医院女性専門皮膚科クリニック院長で皮膚科医の赤須玲子さんに対策について聞いた。
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マスクで肌荒れするのはなぜ?
「20~30代の女性に多く見られるニキビを、“大人のニキビ”と呼びますが、このニキビはマスクを着けることで発生しやすくなります。マスクの内側は風通しが悪く雑菌が繁殖しやすい。特に梅雨の時期から夏の終わりまでは蒸れてニキビが悪化しやすいため要注意です。すでに今年は、ニキビを訴える患者さんが例年の1.5倍近く増えています」(赤須さん・以下同)
◆マスクが肌にすれることもニキビの原因
ニキビは、マスクと肌がこすれることでも発生しやすい。
「例えば就寝時、右側を下にして寝ると、枕に接触する顔の右半分がこすれてニキビができやすいですよね。それと同様に、マスクが肌にすれる口周りから顎にかけて、特にマスクのふちに接触する顎付近はニキビが発生しすいのです」
“マスクニキビ”を防ぐには「ガーゼを挟む」方法も
そこで、肌との摩擦を極力和らげるマスクを選ぶことが重要に。
「化繊でできた不織布マスクより、肌あたりが柔らかく低刺激なガーゼ素材や綿素材のマスクを選ぶとよいでしょう。ただし、どうしても不織布マスクを着用するなら、マスクの内側に、クッション素材となるものを挟みましょう。具体的には、肌に優しい保湿成分のはいったティッシュやガーゼ、コットンがおすすめです」
◆コットンを挟むなら使い捨てタイプを
一番使いやすいのは、ティッシュ。汗をかいてベタベタになったらすぐに取り替えられ、肌の清潔さをキープできるからだ。では、コットンを使うなら?
「コットンは、化繊の不織布マスクと違い、天然素材ゆえに肌がかぶれにくいのが特徴です。マスクの内側に入れるなら、化粧水を染み込ませて使う使い捨てタイプで、毛羽立ちの少ないものがおすすめです。 “そのままで使うと小さい”と感じるかたは、コットンの種類によっては伸ばしたりはがしたりすると倍くらいの大きさになるので試してみて。どうしてもコットンの毛羽立ちが気になるなら、家にあるガーゼのハンカチや、それを小さく切ったものを口に当てて、洗って繰り返し使うといいでしょう」
なお、薬局にある傷口用のガーゼは、ニキビや肌荒れで口の周りに傷口ができてしまった場合は避けた方が無難だという。傷口にくっつきやすくなり、はがすときに痛みがあるからだ。
“マスクニキビ”ができたときのスキンケア
ニキビ予防として、朝や日中、外出先などで汗をかいた場合は、ぬるま湯でもいいので、マメに洗顔して雑菌を落とすことも大事。人肌くらいの温度であれば、皮脂や汗、雑菌も落ちるという。それでも、もしニキビができてしまったらどうすればよいか。
「こすれることでニキビは悪化するので、ニキビには触らないこと。気になってつぶすとあとになりやすいですし、暑い時期は黄色ブドウ球菌など別の雑菌もつきやすくなり、二次感染の恐れもあります。夜、洗顔するときは、泡で包み込むようにすると、こすらずに済みます。洗顔後は、ニキビ部分にワセリンを塗るだけでも治りやすくなります。」
乾燥対策には化粧水スプレーが活躍
ニキビ以外にも、マスクによって生じる肌トラブルがある。かゆみや湿疹などだ。これは、汗をかいてそのままにしたり乾燥したりすると起こりやすくなる。
「汗は90%が水分でできていますが、汗が蒸発すると尿素、アンモニア、塩分などが肌に残り、かゆみや湿疹のもとになります。汗をかいたらすぐティッシュなどでぬぐうか、洗顔できる状況であれば、水でもいいので顔を洗い、汗を取り除きましょう。
また、エアコンが効いた室内にいると肌は乾燥しやすくなりますし、屋外では紫外線を浴びることで乾燥します。乾燥すると、赤みやかゆみなど肌荒れの原因になります。特にマスクを外すときは要注意です。マスクを外すと、マスク内の水分が一気に蒸発して肌の水分を奪うため、乾燥しやすくなるのです」
◆マスクで口周りの乾燥が気になるときは
ポイントになるのが、マスクを外したときの乾燥対策。赤須さんがおすすめするのは、化粧水を入れたスプレーを持ち歩き、1時間に1回はマスクを外して、顔から15cm離して5~6プッシュ噴射すること。マメに保湿することで、乾燥による肌荒れは防げるはずだ。
もしマスクをしていても口周りの乾燥が気になる場合は、ニキビ対策と同様、マスクの内側に入れるティッシュやコットンなどに化粧水を染みこませておくのもいいという。乾燥予防になるうえ、冷却することにより熱中症対策にもなる。
実際、記者も不織布マスクの内側に化粧水を染みこませたコットンを入れて使ってみた。口の周りが潤い、不織布よりは肌当たりが柔らかかった。ただ、毛羽立ちが多いコットンだったため、しゃべるときに口内に毛羽がはいるのが気になった。自分に合ったものを選んでマスクでも美肌をキープして!
この人に聞きました:皮膚科医・赤須玲子さん
赤須医院女性専門皮膚科クリニック院長。皮膚科専門医、医学博士、美容皮膚科学会会員、米国皮膚病理認定医。山梨大学皮膚科教室に11年在職中、1989年より2年間トロント大学(カナダ)病理学教室にリサーチフェローとして勤務。1998年に女性のための美容皮膚科を六本木に開設し現在に至る。日本で最初にレーザー脱毛治療を施術した医師で、確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療に定評があり、テレビ出演や講演なども多数。著書に『2週間でつるつる美肌になる本』、『赤ちゃん肌に変わる顔そりスキンケア』(ともにマキノ出版)がある。
取材・文/桜田容子
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