緊急事態宣言が解除され、「新しい生活様式」のもと、手洗い・消毒の習慣は継続…。じっと手を見ると、あれ? カサカサしている!? そう、それは”洗いすぎ手荒れ”。放置すると皮膚炎や湿疹の原因に。さらに、手の見た目年齢も上がってしまうんです。「新しい日常」でも美しい手を保つためのケア方法を紹介します。
手荒れの悩みを持つ人が増加
新型コロナウイルスは脂質の膜に覆われている。石けんやアルコールは脂質を溶かすので感染の抑止に効果的だ。しかし同時に、手の潤いを保つ脂質(皮脂)も奪う。石けんやアルコールを多用すると、ウイルスだけでなく手の皮膚も“破壊”することになる。
「4月以降、手荒れで来院されるかたが激増しました」と、手荒れ対策に詳しい銀座まいにちクリニック院長の山本悠太さんは言う。
「乾燥がひどくなると肌のバリア機能が低下し、ばい菌が入りやすくなり、皮膚炎や湿疹などが起こりやすくなります」(山本さん・以下同)
◆保湿のために石けんを落としてハンドクリームを
予防にはとにかく保湿。石けんはきちんとすすぎ、しっかりと水分をふいてから、ハンドクリームを手首まで塗る。
「石けんで洗うなら、アルコール消毒は不要。コロナ対策にはどちらかで充分です」
ハンドクリームは、保湿剤「ヘパリン類似物質」の含まれたものを選び、これにワセリンなどの油性クリームを重ねづけするのがおすすめだ。感染予防と保湿を両立させ、手と体の健康を守ろう。
保湿剤×マッサージやツボ押しで効果がアップ
荒れた手肌を潤すだけでなく、コロナの影響でたまったストレスまで緩和してくれるケア方法を教えてくれたのは、ハンドケアセラピストの養成校「ソフィア フィトセラピーカレッジ」の校長で日本フィトセラピー協会代表の池田明子さんだ。
「手のお手入れの際、イラストで紹介するハンドケアを併用すると、血流やリンパの流れがよくなって肌の新陳代謝を促進します。その結果、保湿剤の浸透がよくなり、肌が潤いやすくなります」(池田さん・以下同)
◆マッサージの摩擦で古い角質を除去
また、マッサージの摩擦で、古い角質がはがれやすくなる。
「余計な角質がはがれて皮脂腺が刺激されやすくなると、皮脂の分泌が適切に行われるようになり、肌本来の保湿機能も正常化します」
手の皮膚はほかの皮膚よりターンオーバーが早いため、2週間ほどで潤いが実感できるという。ハンドケアは約5分でできるので、隙間時間などに続けやすいのも魅力だ。
ハンドケアによるさまざまな効果
ハンドケアはひとりでもできるが、夫や子供にしてあげるなど、2人で行うのもおすすめだという。
「ハンドケアのやさしい刺激は、愛情ホルモン・オキシトシンの分泌を促すため、多幸感をもたらしてくれます。また、副交感神経を優位にするため、リラックスした状態に導いてくれます」
◆認知症の攻撃的な行動が緩和
アメリカ・ワシントン大学の研究によると、ハンドケアと背中をさするなどの“やさしく触れるケア”によって、認知症の攻撃的な行動心理症状が70%以上の割合で軽減したという報告もあり、認知症予防や症状の緩和にも、ハンドケアが役立つことがわかっている。
「ソーシャルディスタンスの推奨で、人との触れ合いが希薄ないまこそ、ハンドケアで大切な人を癒してはいかがでしょう。温かい手に包まれるのは気持ちがいいですよ」
早速、ケア方法をチェックしよう!
5分でできる「癒しのハンドケア」のやり方
《STEP1》
腕時計や指輪を外し、両手を組み合わせる。親指から順に1本1本ゆっくりと、心地よい力加減で組んでいく。組み終わったら、ギュッと力を入れ、すべての指に力が加わったら、そっとほどく。
《STEP2》
オイルやクリームを手のひらになじませながら温める。オイルなら、皮脂の成分に近いマカデミアナッツオイル、保湿力が高いスイートアーモンドオイルがおすすめ。市販のハンドクリームも可。
《STEP3》
ここからは片手ずつ「STEP8」まで連続して行う(どちらの手からでもよい)。右手のひらを、左手の甲に重ね、小指から親指方向に円を描くように2~3回さすってオイルやクリームをなじませる。
《STEP4》
親指と人差し指の付け根の骨が交わる、V字形のくぼみ部分にある「合谷」というツボを、心地よい力加減で5秒ほど押す。体のさまざまな不調に有効なツボとされる。
《STEP5》
手の甲に5本ある中手骨の間を、親指の腹を使ってやさしくさする。中手骨の間は4か所あり、それぞれ3往復くらいずつさする。手に血が巡るのを感じるはず。
《STEP6・A》
親指と小指、どちらから行ってもOK。左手の小指(あるいは親指)を右手で握り、右手をひねるように回しながら、指の付け根から指先までをマッサージする。ほかの指を行う前に「STEP6・B」へ。
《STEP6・B》
「STEP6・A」で行った指先を、横から挟んで押し、さらに同じ指先を上下に挟んで押す。1~2回ずつ押したら、「STEP6・A」に戻り、次の指も同様に。指先の毛細血管の血行が促進される。
《STEP7》
右手でげんこつを作り、左手のひらを押す。開いた方の手は、力を抜いてリラックスさせる。これにより、手のひらに集中しているツボをまんべんなく刺激できる。
《STEP8》
「STEP3」同様、右手のひらを、左手の甲に重ね、小指から親指方向に円を描くように2~3回さする。心地よい回数でOK。反対の手も同様に「STEP3」~「STEP8」を行う。
参考資料/『新版 DVDつき 心と体を癒す手のひらマッサージ』池田明子著(主婦の友社)
イラスト/尾代ゆうこ
この人たちに聞きました
●山本悠太さん
銀座まいにちクリニック院長。内科・耳鼻科領域・皮膚科・泌尿器科・アレルギー科を併設するクリニック院長。手荒れ対策に詳しい。
●池田明子さん
日本フィトセラピー協会代表。ハンドケアセラピストの養成校「ソフィア フィトセラピーカレッジ」校長。植物療法に詳しい。
※女性セブン2020年6月18日号
●あなたの手荒れレベルをチェック|水仕事やハンドドライヤーも乾燥の原因に!
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