激しい痛みで吐き気を伴うことの多い発作性の片頭痛は、漢方で解決できるかもしれません。
薬剤師の道川佳苗さんによると、漢方薬の「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」は、主に冷え性の人の繰り返す頭痛や吐き気に用いられているそうです。
そこで、「呉茱萸湯」はどんな成分で、どんな効果のある漢方薬なのか、詳しく解説してもらいました。
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呉茱萸湯ってどんな漢方薬?
◆呉茱萸湯はこんな方におすすめ
呉茱萸湯は、下記のような体質の人に合う漢方薬です。
□冷え性である
□吐き気を伴う頭痛がある
□体力が低下している
□片頭痛がある
□冷たい風に当たると頭痛が起こる
呉茱萸湯は、気力がなくて疲れやすく、冷え性の人に向いています。中でも、吐き気や嘔吐を伴う頭痛や片頭痛に有効な漢方薬です。その他にも、うなじや肩のこりを伴うような緊張性頭痛にも用いられます。また、市販の頭痛薬で胃が荒れてしまう人にも適しています。
◆呉茱萸湯を不調改善に活用できた人の実際の事例
痩せ型の片頭痛持ち、30代女性のお客さかたの事例です。
高校時代から嘔吐を伴う脈を打つような頭痛に悩まされ、片頭痛と診断されていた彼女は、月経前は特に片頭痛の発作が起こりやすく、クーラーの冷たい風も発作の原因となっていました。また、冷え性で、特に手足の冷えがひどいとのことでした。
頭痛外来にて薬を処方してもらっていましたが、のむ頻度が増えてきたため、根本的な解決がしたいと、漢方クリニックを受診したとのことでした。
処方された呉茱萸湯は苦くてのみにくい薬と聞いていた彼女ですが、発作前にのむと、おいしく感じられたそうです。一般的に、自分の今の状態に漢方薬が合っていると、おいしく感じられると言われています。
6週間ほど続けたころには、片頭痛の発作の頻度が減り、月経前の嘔吐を伴うような症状がなくなったと喜んでいらっしゃいました。
嘔吐を伴う片頭痛の症状に、呉茱萸湯の効果がしっかり出た事例です。
◆呉茱萸湯に含まれる生薬
呉茱萸湯は、消化器を温め痛みを止める「呉茱萸(ごしゅゆ)」、消化器機能を向上させる「人参(にんじん)」、「生姜(しょうきょう)」、「大棗(たいそう)」で構成されています。
漢方では、水毒体質、すなわち体の水分代謝が悪い人に片頭痛が起こりやすいと考えます。そこで、消化器を温めて機能を向上させることで水分代謝を高め、体の水分バランスを整える処方となっています。
漢方薬ってそもそもどんなもの?
漢方薬は複数の生薬を組み合わせた医薬品です。さまざまな症状への効果と安全性が認められており、一般的に、西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
漢方薬は、生薬の組み合わせにより効果が引き出されるものです。例えば、今回の呉茱萸湯は、消化器を温め痛みを止める生薬と、消化器機能を向上させる生薬の組み合わせにより、水分代謝を整えるので、繰り返す片頭痛、緊張性頭痛、吐き気などに効果が認められています。
また、漢方薬は症状を和らげるための対症療法ではなく、体質改善により、根本的な解決を目指します。そのため、症状が出ないようにあらかじめ予防したい人、同じ症状を繰り返したくないと思う人にも適しています。また、西洋薬では胃に負担がかかり、服用が継続できないという人でも続けることができます。
バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という人も、毎日のむだけなので、手間なく気軽に継続できる点がメリットです。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬は自然由来のやさしい薬ですが、体質に合わないものを服用すると、効果がないだけでなく副作用が起こる場合もあるので、漢方薬を選ぶときは医師や薬剤師に相談するのが安心です。漢方薬の購入はドラッグストア、漢方クリニック、漢方薬局などで可能です。
クリニックや漢方薬局に行くのが面倒な人には、AI(人工知能)と漢方のプロフェッショナルが見極めた漢方薬を自宅まで届けてくれる「オンライン個別相談・AI漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などの、スマホで相談できるサービスもおすすめです。
繰り返す頭痛には漢方薬がおすすめ
繰り返す頭痛やそれによる吐き気に用いられる呉茱萸湯は、以下のような症状のある人におすすめの漢方薬です。
□繰り返す吐き気を伴う片頭痛
□冷え性の人の片頭痛
□ズキンズキンと脈打つような痛みの片頭痛
□うなじや肩のこりを伴う緊張型頭痛
西洋薬では胃腸が荒れてしまって服用継続が難しい人や、片頭痛の発作が起こらないようにあらかじめ予防したい人にも漢方薬は適しています。繰り返す頭痛でお悩みのかたは、専門家に相談のうえ、ぜひ一度、漢方薬を試してみてください。
教えてくれたのは:薬剤師・道川佳苗さん
みちかわ・かなえ。漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校で調理技術、栄養学を学ぶ。現在はweb上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。
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