体の不調として多くの人が悩んでいる頭痛。のぼせやめまいを伴う、朝方に起こることの多い頭痛が気になるのなら、それは漢方で解決できるかもしれません。
薬剤師の道川佳苗さんによると、漢方薬の「釣藤散(ちょうとうさん)」は、頭痛やめまい、肩こりなどの改善に用いられているそうです。
そこで、「釣藤散」はどんな成分でどんな効果のある漢方薬なのか、道川さんに詳しく解説してもらいました。
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釣藤散ってどんな漢方薬?
◆釣藤散はこんな方におすすめ
釣藤散は、下記のような体質の人に合う漢方薬です。
□高血圧である
□朝方に頭痛がある
□体力が中等度あるいは低下している
□冷え性ではない
□のぼせやめまい、目の充血がある
釣藤散は、冷え性ではなく、体力が中等度あるいは低下している人に適している漢方薬です。また、イライラする傾向があり、不眠や意欲の低下などが見られる人にも使用されます。
繰り返し起こる頭痛の中でも、のぼせやめまいを伴う頭痛がある人に向き、とくに中年以降の高血圧や脳梗塞後の後遺症に伴う頭痛に有効です。その他にも、朝方に起こる頭痛や頭重感にも用いられます。
◆釣藤散を不調改善に活用できた人の実際の事例
起床時の頭痛に悩まされていた、50代の女性の事例です。
彼女は30代のころから、ひどい肩こりがあり、起床時と疲労時の締め付けられるような頭痛に悩まされていました。また、仕事や子育てでのイライラも強く、頭痛以外にも、めまいや目の充血といった症状も日常的にあったそうです。
症状としては、起床時に背中から肩にかけてが重くて痛み、それに伴い頭痛もひどかったとのこと。市販の頭痛薬で対処していましたが、胃の痛みを感じるようになったため、漢方薬局を訪れたそうです。
漢方薬局で処方された「釣藤散」という漢方薬の服用をはじめたところ、服用して2、3日経つころには起きたときの頭重感などがなくなり、爽快感を感じたといいます。1か月続けるころには、イライラやめまいが軽減し、頭痛もほぼ起こらなくなり、スッキリ起きられるようになったそうです。
めまいやイライラを伴う起床時の頭痛の症状に、釣藤散の効果がしっかり出た事例です。
◆釣藤散に含まれる生薬
釣藤散は、以下の生薬で構成されています。
めまいやふらつきに対応する「釣藤鈎(ちょうとうこう)」、「菊花(きくか)」、水分代謝を整える「茯苓(ぶくりょう)」、「半夏(はんげ)」、熱を冷ますことで頭痛に対応する「防風(ぼうふう)」、「石膏(せっこう)」、呼吸器を潤す「麦門冬(ばくもんどう)」、消化器を元気にする「人参(にんじん)」、「陳皮(ちんぴ)」、「甘草(かんぞう)」、「生姜(しょうきょう)」の11種です。
朝方の繰り返す頭痛は、血圧が高めで気(エネルギー)の巡りが乱れ、体の中で熱が発生することで、めまいや頭重感、頭痛の症状を引き起こしていると考えられます。釣藤散には、気の不足を補い、余分な熱を冷ますため、それらの症状緩和に効果が期待できます。
漢方薬ってそもそもどんなもの?
漢方薬は複数の自然由来の生薬を組み合わせた医薬品です。さまざまな症状への効果と安全性が認められており、一般的に、西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
漢方薬は生薬の組み合わせにより効果が引き出されるものです。例えば、今回の釣藤散は、水分代謝を整える生薬や、熱を冷まし頭痛に対応する生薬などの組み合わせにより、高血圧の傾向があり、慢性的に続く頭痛に効果が認められています。
また、漢方薬は症状を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指します。そのため、症状が出ないようにあらかじめ予防したい人や、同じ症状を繰り返したくないと思う人にも適しています。
また、簡単に生活にとりいれられるので、栄養バランスのよい食事を毎日作ったり、頑張って運動をしたりするのは苦手という人でも、漢方薬なら症状や体質に合ったものを毎日のむだけでいいので、手間をかけずに続けることができます。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬は自然由来のやさしい薬ですが、体質に合わないものを服用すると効果がないだけでなく副作用が起こる場合もあるので、漢方薬を選ぶときは医師や薬剤師に相談するのが安心です。漢方薬の購入はドラッグストア、漢方クリニック、漢方薬局などで可能です。
クリニックや漢方薬局に行くのが面倒な人には、AI(人工知能)と漢方に精通した医療チームが効く漢方薬を見極めて、ご自宅まで届けてくれる「オンライン個別相談・AI漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などの、スマホで相談できるサービスもおすすめです。
めまいを伴う頭痛や肩こりには漢方薬がおすすめ
高血圧傾向がある人の繰り返す頭痛に用いられる釣藤散は、以下のような症状のある人におすすめの漢方薬です。
・高血圧で肩こり、頭痛に悩んでいる
・めまいやのぼせがある
・起床時に頭痛がよく起こる
・イライラしてよく眠れない
西洋薬では胃腸が荒れてしまって服用継続が難しい人にも漢方薬は適しています。繰り返す頭痛でお悩みのかたは、専門家に相談のうえ、ぜひ一度、漢方薬を試してみてください。
教えてくれたのは:薬剤師・道川佳苗さん
みちかわ・かなえ。漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校で調理技術、栄養学を学ぶ。現在はweb上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。
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