ストレスはさまざまな病気の原因に
ペットたちは、人間以上にストレスが体の調子にダイレクトに響くのだといいます。
「下痢や嘔吐をしたり、皮膚病を引き起こしたりします。ストレスでずっと手(前脚)を舐めていて、そこがはげてしまった子も診たことがあります。猫の場合はストレスから特発性膀胱炎になることも。細菌や結石など、一般的な膀胱炎の原因がないのに頻尿、血尿になることがあるんです。この他、ストレスは免疫システムに影響を及ぼすので、その結果、さまざまな病気のリスクが高まります」
そうなる前に、ストレスを察知して対処したいですね。犬や猫は、イライラしたときに決まったしぐさをする子も多いので、そのサインを知っておくといいでしょう。
◆犬はあくびが増えるとストレスのサイン
「犬の場合は、あくびが増えます。眠くないはずの時間帯にあくびが多いようなときはストレスのサインといえるかもしれません。後ろ足で首のあたりをかいたりするのも、嫌な気分を表すしぐさです」
さらに強いストレスにさらされると耳を後ろに倒したり、うなったり、という行動に。ただ、さすがに飼い主さんが家に長くいるという理由でそこまでの行動を取る犬はいないと思いたいところです。
「猫は一心不乱にグルーミングをし続けたりしますね。しっぽを振って床をパンパンと叩いて苛立ちを表現することもあります。さらに本格的に怒り出すと、毛を逆立ててフーッと言う。これはよく知られていますよね。ただし、飼い主さんのステイホームが原因で、そんな行動に出る猫はきわめてまれなはずです」
人間とのかかわりの歴史が長い犬や猫は、野生動物などに比べると感情表現がかなり豊かです。普段と様子の違うところがあれば、ストレスの原因を探って取り除いてあげたいですね。
通勤ライフに戻る際には段階を踏んで
ストレス以外にも、ステイホーム生活におけるペットとの接し方で注意すべきことがあります。ご自身も猫を飼っている山本さんは「おやつのあげすぎに注意!」と。
◆おやつのあげすぎにも注意
「これはきわめて個人的な意見ですが、家にいて愛犬や愛猫が甘えてくると、かわいいのでついつい、おやつをあげてしまったりします。犬や猫は自分で食べる量を調節しないので、おやつをもらったらもらっただけ食べます。肥満につながるので、私たち人間のほうで気を付けましょう」
そして、再び生活スタイルが変わる時期には、「なるべく段階を踏んでください」とアドバイスを。
「今後また週に5日、オフィスで仕事をするような生活に戻る場合、急に留守がちになるとペットは不安になると思うので、在宅ワーク期間中から、何時から何時までは一緒にいないようにする(家の中でも離れている)など、工夫をして慣らしてあげるといいですね」
教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実