ついうっかり、カーペットにチョコレートがぽろり…。色が目立つチョコレートの汚れは、できればきれいに取り除きたいですよね。
羽田空港で清掃員をつとめる掃除のプロフェッショナル・新津春子さんは、「世界一清潔な空港」に羽田空港が7度も選出された功労者の一人。「環境マイスター」の肩書を持つ新津さんから、カーペットについたチョコレートの汚れ、シミをきれいに落とすコツを教えてもらいました。
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カーペットについたチョコの汚れの撃退法
カーペットに落としてしまったチョコレート。慌てて汚れを取ろうとしたら、さらに広がってしまった…なんてことがないように、もしものときの心構えをしておきましょう。まずは、チョコレートをこぼしてすぐに気づいたときの対処法をお教えします。
チョコの汚れがついちゃった!そんなときは?
チョコレートをカーペットにこぼして、すぐに気づいた場合は、まずティッシュで汚れを取り除きましょう。ゴシゴシとこするのではなく、汚れが広がらないよう、つまむように汚れを取ってくださいね。
その後は、食器用洗剤を50℃程度のお湯で薄め、スプレー容器に入れてカーペットにかけます。汚れにスプレーをする前に目立たないところにスプレーしてからタオルで拭き取り、色落ちしないかテストをしてから行いましょう。
食器用洗剤は原液で使ってもいいですが、泡が立って、きれいに落とすのに手間がかかってしまうので、お湯で割って使うのをおすすめします。
このときノズルは、スプレー状ではなく液体が棒状に真っ直ぐ出るようになっているか確認を。ノズルの側面をカーペットにつけた状態で、汚れのふちから汚れの中央に向かって噴射しましょう。
また、洗剤をスプレーでかけるときは、横から、がコツです。スプレーは上からかけがちですが、そうすると、汚れが洗剤と一緒に真下へ向かうので、カーペットの奥に汚れが浸透してしまいます。必ず横からまくようなイメージでかけるようにしましょう。
スプレーをかけたら、小ブラシ(ホームセンターなどで販売されている、馬の毛の柔らかいブラシ)を使って外側から内側へ向かって汚れをなじませるようにします。洋服のシミを取るときのように、ブラシでカーペットを叩いたりするのはNG。これでは、汚れが真下に広がってしまいます。
あくまでなじませるように、カーペットの毛を動かすようなイメージで外から内に向かって4方向からブラッシングするのがコツです。そうすれば、汚れが浮き上がってきます。
浮き上がった汚れは、タオルやティッシュで拭き取ります。1回で取れない場合は、またスプレーをかけて拭き取るのをきれいになるまで繰り返します。
から拭きで仕上げ
汚れが取れたら、カーペットに残った洗剤を落とすために、水スプレーを噴霧して先ほどのタオルのきれいな面で水を吸い取ります。目安として2、3回程度繰り返し、最後に乾いたタオルで拭き取れば完了です!
カーペットは糸が縦横に編まれたものなので、から拭きをするときは、上から拭いて、さらに左右からも拭きます。このとき、汚れ部分から3倍広く拭きましょう。まんべんなく洗剤や水分を取ることができ、乾きも早くなります。
小ブラシはメイクブラシで代用できる!
小ブラシは、歯ブラシより少し大きめの、ホームセンターなどで販売されているものです。黒くてやわらかい馬のしっぽの毛でできているのが特徴。
ナイロン素材のものは固く、長さがバラバラのため、やわらかい毛の小ブラシでないと、ナイロンの生地の間に細かく入っていかないんです。歯ブラシだと毛が硬いので、汚れが取り切れず、カーペットに毛玉がついてしまう可能性もあります。
小ブラシが家にない、見つからなくて買えない場合は、化粧で頬を塗るときに使うような、メイクブラシでもOKです。使い古したメイクブラシをリサイクルしてもよいですが、十分に洗ってきれいにしてから使ってくださいね。
チョコの汚れが固まってしまったら?
ふと気づいたカーペットの汚れ。色やにおいが、なんとなくチョコレートっぽい、なんて気づいたときは、別の工程が加わります。
以前ついたチョコ汚れの落とし方
もし、随分前のチョコレートの汚れに気づいたときは、汚れが固まってしまっているので、はじめにほぐす必要があります。
爪楊枝または竹串を用意したら、なぐり書きをするときのように、縦横無尽に細かく動かして、固まった部分をほぐしましょう。
ほぐせたら、出てきた細かい汚れを掃除機を使って除去します。この後は、先ほどと同じようにスプレーで洗剤をかけて汚れを取り、タオルで仕上げをして完了です!
油ものには、お湯を使うのがコツと覚えよう
チョコレートのような油を含むものは、水よりもお湯を使うと、汚れを落としやすくなります。これはチョコレート以外にも、サラダにかけるドレッシングや、食べかすの汚れにも応用できるテクニックですよ。覚えておくと必ず役立ちます!
チョコレートで汚れたカーペットの掃除に用意するものまとめ
ティッシュ、食器用洗剤、スプレー容器、小ブラシ(メイクブラシでも代用可能)、水拭きタオル、から拭きタオルを用意しましょう。
汚れが固まってしまった場合は、爪楊枝または竹串も使います。
教えてくれたのは:新津春子さん
にいつ・はるこ。1995年、日本空港技術サービス(現:日本空港テクノ)に入社。1997年に(当時)最年少で全国ビルクリーニング技能競技会1位に輝く。以降、指導者としても活躍し、同社ただ1人の「環境マイスター」として、羽田空港全体の環境整備に貢献し、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)で5回にわたって取り上げられた。著書に『子どもと一緒に身につける!ラクして時短の「そうじワザ」76』(小学館)など計12冊+DVD1部。http://www.jatec.co.jp/house-cleaning/
イラスト/ヤマダ 構成/イワイユウ