薄着になってきた今のシーズン、「去年は着られた服が着られなくなった」「お気に入りの服のサイズが合わない」など、ダイエットを意識することが増えていませんか?
薬剤師の道川佳苗さんによると、肥満には「ストレス太り」「水太り」といったさまざまなタイプがあり、それぞれの悩みにアプローチができる漢方薬があるそうです。
そこで、自分に合う漢方薬を知るため、「肥満タイプのセルフチェック方法」を道川さんに教えてもらいました
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「肥満」の原因はエネルギー代謝の低下
肥満の原因としては、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多いことが挙げられます。加齢による基礎代謝の低下や、運動不足による消費エネルギーの低下などにより、消費しきれなかったエネルギーが脂肪に変わってしまうのです。もちろん、摂取エネルギー増加につながる「食べすぎ」も肥満の原因になります。
また、更年期世代の50代は、加齢による筋肉量の減少による代謝の低下や、閉経により女性ホルモンの分泌が減ることにより、脂肪を溜め込みやすくなると言われています。
漢方で考える肥満の体質は3つ
漢方の考えでは、食べすぎや不摂生な食生活により、体内に余分な熱が生じるとされています。その熱が原因となり食べすぎや便秘などの悪循環が起こり、肥満につながっているのです。
その他にも、水分代謝が悪いことによる水太りや、ストレスが原因で気の巡りが悪くなることが肥満の原因として考えられます。
あなたはどの肥満タイプ?セルフチェック
これから紹介するチェックリストで、あなたの肥満タイプを診断してみましょう。
体に余分な熱が溜まっているタイプ
以下のチェック項目に当てはまる人は、「体に余分な熱が溜まったタイプ」の可能性が高いです。
・お腹の周りに脂肪がついた太鼓腹である
・便秘になりやすい
・のぼせやすい。暑がりである
・動悸や息切れが起こることがある
・肩こりがある
胃に熱が生じると、胃の機能がさらに活発になり食欲が出ます。そして、摂取しすぎた飲食物は体内で消化しきれずに、さらに熱を生みだす悪循環になります。また、熱が溜まることで体内の水分が蒸発して乾燥するため、便が硬くなったり便秘になりやすくなったりします。
水分代謝が悪い水太りタイプ
以下のチェック項目に当てはまる人は、「水分代謝が悪い水太りタイプ」と考えられます。
・尿量が少なくむくみやすい
・体力がなく疲れやすい
・体の肉が柔らかい
・汗をかきやすい
水分代謝が悪く体に余分な水が溜まりやすいことにより、むくんだり疲れやすくなったりします。水の巡りが悪いことで老廃物が溜まりやすくなると、結果として脂肪も溜まりやすくなります。水太りタイプは、全体的にぽっちゃりとした見た目である場合が多いです。
ストレスが多いタイプ
以下のチェック項目に当てはまる人は、「ストレスが多いタイプ」の可能性があります。
・がっちりした体格である
・肋骨の下辺りを押すと痛く、つかえ感がある
・頭痛や頭重感がある
・肩こりがある
・不安感があり、神経過敏である
・便秘である
ストレスを多く感じることにより、気の巡りが悪くなっているタイプです。気の巡りが悪いと、胃腸の働きが低下し代謝も落ちるため肥満になりやすく、その他にも便秘や肩こり、イライラなどを伴います。体格がよく体力もある人に多いタイプです。
自分に合った漢方薬で肥満を解消
漢方薬は不調の原因となる体質に対し、体の内側から改善を目指すことを目的としています。そのため、さまざまなタイプの肥満にも体質を改善することでアプローチできます。
体に余分な熱が溜まったタイプにおすすめの漢方薬「防風通聖散」
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、余分な熱を取る効果をもつ生薬が複数配合された漢方薬です。これを服用することで、脂肪細胞が活性化され脂肪が燃焼・分解されることがわかっています。とくにお腹の周りに脂肪がついていて、便秘がちな、体力のある人に向いています。
水分代謝が悪い水太りタイプにおすすめの漢方薬「防已黄耆湯」
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、水分代謝に働きかける生薬が含まれている漢方薬です。水分の巡りをよくすることで、むくみや倦怠感を改善します。体力があまりない、水太りタイプの人に向いています。
がっちりした体格でストレスが多いタイプにおすすめの漢方薬「大柴胡湯」
大柴胡湯(だいさいことう)はストレスにより気の巡りが悪い状態を改善する漢方薬で、余分な熱を排出し、胃腸の調子を整えます。体力があり、ストレス過多で肩こり、便秘、イライラなどを伴う人に向いています。
自分のタイプに合った漢方薬が肥満解消の手助けに
食事や運動に気をつけることは肥満解消のための大前提ですが、合わせて漢方薬を服用することで、肥満解消を手助けします。
ただし、漢方薬は自分の体質や体力に合ったものを選ぶことで効果が引き出されるため、漢方薬を選ぶときには専門家に相談することが大切です。
クリニックや薬局に行くのが面倒という人には、「あんしん漢方(オンライン個別相談・AI漢方)」のような、スマホで気軽に頼めるサービスを試してみてもいいでしょう。
教えてくれたのは:薬剤師・道川佳苗さん
みちかわ・かなえ。漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校で調理技術、栄養学を学ぶ。現在はweb上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。
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