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薄毛の救世主?育毛剤は本当に効果があるのか、専門家がメカニズムを解説

薄毛の悩みを解決する方法として使う人の多い育毛剤。でも、本当に効果があるのか、気になりませんか?

髪をブラッシングしている女性
育毛剤の効果について(Ph/Photo AC)
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「頭皮と肌の専門店~希翠(きっすい)~」の店舗責任者で毛髪診断士の田邊未奈美さんは、髪や頭皮のケアに精通したプロ。そんな田邊さんに、育毛剤のメカニズムや選び方を教えていただきました。

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男女の薄毛&育毛のメカニズムには違いがある

どうして薄毛になるのか。男女によって実は違いがあるんです。そのメカニズムについて知りましょう。

育毛剤と発毛剤は何が違うの?

その前に、まず育毛剤と発毛剤の違いについて説明します。

育毛剤は頭皮の血流を促し、今生えている髪の毛の状態を改善し、維持する目的のもの。将来的な薄毛や抜け毛を予防するもので、薄毛が進行していない人に向いており、「医薬部外品」に分類されます。逆に、薄毛が進行していて、発毛効果を期待するのであれば、発毛剤を使いましょう。

育毛剤と毛根のイラスト
発毛剤と育毛剤の違いとは?(Ph/Illust AC)
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発毛剤は、頭皮の血行促進に加えて、毛根の細胞やバジル領域(毛を作る毛乳頭に向けて指令を出し、発毛を促す働きを持っている器官)など、髪の毛を作るところに栄養を与えて発毛や育毛を促します。厚生労働省から効果の有効性を認められている成分は5種類あり、発毛剤はその成分を使っているため「医薬品」として認定されています。

男性が薄毛になるメカニズムはだいたい判明してきていて、男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)と、毛の成長をコントロールする細胞内にある酵素(5αリラクターゼ)が結びつくことで、抜け毛の信号が発生するというものです。なので、男性向けの育毛剤は、一般的な育毛剤の有効性に加えて、男性ホルモンを弱くしたり、または酵素を減らしたりする作用で、さらなる効果を得る仕組みのものもあります。

女性の薄毛はホルモンバランスの影響も

一方で女性の抜け毛は、閉経などによって女性ホルモンの量が変化することによるものだと言われています。けれど、実は女性の抜け毛のメカニズムは男性ほど解明されておらず、女性ホルモンに働きかけることが明確な効果につながっているとはまだ言い切れません。

PCの前で目頭を押さえる女性
ストレスの影響も?(Ph/Photo AC)
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ただ、女性の社会進出が進んでいることの影響も。ストレスが増え、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが乱れていることが、薄毛につながっているということが分かってきました。そのため、男性の場合と同様に、酵素を減らして男性ホルモンと結合しないようにしたり、男性ホルモンを抑制して女性ホルモンとのバランスを整えたりすることで、薄毛や抜け毛を抑えるということも有効です。

賢い育毛剤の選びかた

まだ発展途上なものの、育毛剤は日々研究が進んでおり、個人差はありますが効果を実感できるものも増えています。そこで、育毛剤の選び方や使い方を紹介します。

育毛剤の値段で効果は変わる?

育毛剤は商品によって、値段も効果もピンきりです。だいたい5000円以上のものであれば、育毛有効成分である、酢酸トコフェロールやニンジンエキスなどが入っていると言われています。なので、初めて育毛剤を購入するときは、5000円台の商品から手を伸ばすのがいいでしょう。

安価な育毛剤もたくさんありますが、その多くは血行をよくする成分で育毛を促すものです。率直に言えば、そういった育毛剤を使うより、頭皮の血行促進効果が期待できるシャンプーやトリートメントのような、基本的なものから取り入れることをおすすめします。

元気な毛根のイメージ
育毛剤は血行を促進(Ph/Illust AC)
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なぜなら血行を促進しても、毛根が弱っていると栄養を受け取って生かすことができないからです。なので、まずは毛根の状態をよりよくするシャンプーやトリートメントを選び、正しい洗い方をすることから始めるといいですよ。

効果実感はいつから?

育毛剤の効果を実感するには最低でも半年~1年は使い続けていただきたいです。ボトル2~3本は使いきるくらいの期間です。

効果実感は人それぞれですが、使い始めてだいたい2~3か月目くらいから、少しずつ「髪にハリやコシが出てきた?」と思い始め、半年くらい経つと「そういえば抜け毛が減ってきた?」くらいの感覚があり、1年使ったころに効果を実感する、という人が多いです。

育毛剤を使っている女性
効果実感はいつから?(Ph/Illust AC)
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効果実感は、それぞれの目指すべきことによると思います。現状維持も、髪が退行していないという意味では効果のひとつですが、半年経って現状維持だけならばそれだけの効果でしかないとも判断できますよね。そのときはもう少し高価なものを選び直す必要があるかもしれません。

もちろん、これで抜け毛の予防ができているからいい、という場合は変えなくてもいいですよ。抜け毛を予防したいのか、今の髪の毛の状態を改善したいのかによって見極めましょう。

また、抜け毛の原因はストレス、病気、生活習慣とさまざま。育毛剤に頼りきるのではなく、原因に合わせたケアもとても大切です。

不調・副作用に注意

ただし、ベタついたり、においがあったりと、使い心地に違和感があるならば、合っていないということなので、半年の期間を待たずに見直してみてくださいね。

育毛剤や発毛剤は頭皮状態がよい状態でなければ、しっかりとした効果が発揮できません。また、頭皮状態が荒れている状態で使用すると、さらに荒れてしまう場合もあります。アレルギーなど、成分が体質に合わない場合や、体調不良・持病などによる免疫力の低下などでもかゆみや炎症、頭痛などがでる場合もありますので、頭皮の状態や体調なども整えてから使うことをおすすめします。

また、成分によっては副作用がでる場合もあります。医薬品として酵素に働きかける成分や血行促進を促していく成分は効果は緩やかで、その分副作用のリスクが低いですが、有名な成分の副作用例をご紹介します。

血行を促進する「ミノキシジル」は、痒み、発疹、頭痛、めまいがあげられ、男性ホルモンに働きかける「フィナステリド」「デュタステリド」には、肝機能障害、性欲減退、生殖機能低下などの可能性があります。

副作用は必ず起こるものではありませんが、リスクを考慮しながら、ご自身に合う発毛剤・育毛剤を選ぶようにしましょう。

◆教えてくれたのは:毛髪診断士・田邊未奈美さん

希翠のセラピスト・田邊未奈美さん
毛髪診断士・田邊未奈美さん
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美容師、介護福祉士、美容福祉士、毛髪診断士の資格を所持。美容福祉士の資格を取れる学校を卒業し、福祉施設や介護の仕事をした後、美容の世界へ。そこでシャンプーやマッサージで喜んでもらえることに一番の幸せを感じ、その技術を追求したいとエステやヘッドスパ専門店での経験を積む。その後、さらに専門性を求めて「希翠」(https://kissui.tokyo/)へ入店。現在は店舗責任者を務める。女性誌やWEBメディアで頭皮ケアの記事の監修などを数多く手がける。

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