乾燥、フケ、においなど、髪のトラブルの対処法、きちんと知っていますか?
「頭皮と肌の専門店~希翠(きっすい)~」の店舗責任者で毛髪診断士の田邊未奈美さんに、髪のトラブルの原因と解決の仕方を教えてもらいました。意外と知られていない、頭皮を保湿することの大切さについても紹介します。
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乾燥による髪トラブルへの正しい保湿方法
広がったりうねったり、そんな髪トラブルを起こさないための、正しいケアの方法からお話しします。
頭皮にも顔と同じようなケアが必要
髪が乾燥してぱさついたと思ったとき、毛だけをケアしがちですが、実は頭皮も保湿が必要。これって、意外と知らない人が多いんです。
洗顔後、顔に化粧水や乳液をつけて水分を補っていると思います。頭皮も顔と同じです。シャンプーをしたあと、頭皮の毛穴から水分が蒸発することを防ぐ必要があります。顔よりも紫外線を浴びるところだからこそ、意識して乾燥を防ぐ保湿ケアが必要です。
頭皮の保湿はいつするのが正解?
髪を洗ったあと、水道水で髪の毛をゆすぐと思いますが、その水分は髪の中に入っている水分と結びついて一緒に蒸発します。すると、髪が乾燥しやすくなり、乾かしたときに、かなりぱさついた状態になってしまうんです。
ぱさつきを抑えるには、結合水(たんぱく質+水といった、水以外の成分と結びついた水)であるヘアミストや、全身用のローションなどを髪になじませてから乾かすことをおすすめします。そうすれば、水分が蒸発しても、髪の成分はきちんと保持されますし、頭皮の保湿にもつながります。
寝癖直しのときも同じで、水ではなく、寝癖直しスプレーやヘアミストなどで濡らしたほうが髪がまとまりやすくなります。かゆみが出たりしないかぎりは、なるべく使ったほうがいいですね。
オイルやミルクは正しく使おう
髪の乾燥を防ぐために、オイルやミルクをヘアケアに使っているかたが多いですが、実は水分量が多いヘアミストやムースタイプのトリートメントのほうが乾燥ケアには向いています。
とくに、皮脂の量が減り、髪が乾燥しやすくなる40代以降は取り入れることをおすすめします。50代、60代ならなおさら、水分を補給するヘアミストやムースタイプのトリートメントをベースに使いながら、ミルクはまとまりをよくするために、オイルは艶出しに、仕上げとして使っていただくのがよいでしょう。
保湿はオイルやミルクよりミストで
オイルやミルクで根本的な髪のぱさつきを改善することは難しいです。というのも、油分は水分よりも髪に入っていかないから。なのでミストで内部補修をし、オイルやミルクで外部補修をしていくのが好ましいです。乾いた髪にオイルやミルクをいきなりつけてしまうのは、スキンケアをせずに顔にファンデーションをのせているようなものです。
うねりや枝毛は髪の水分量の偏りが原因
うねりや枝毛は、髪の水分量に偏りが生じて起こるものです。ダメージがある髪の毛ほど、必要な水分量が入らなかったり、逆に水分を吸収しすぎて、最適な水分のバランスが乱れていきます。
乾燥が原因で髪にトラブルが起きている場合は、まず先ほどのとおり頭皮と髪に水分を補給してから、髪自体にトリートメントやオイル、ミルクを使いましょう。水分をしっかりと補ってからでないと、オイルやミルクを使っていても意味がなくなってしまうからです。
フケが出るのは乾燥のせい?正しい解決法は?
年を重ねるにつれ、フケが気になるようになったという人もいるかもしれません。では、なぜフケが出るのでしょうか。
フケの原因は乾燥や炎症
フケは乾燥性のものもありますが、肌のターンオーバーがスムーズにいかずに出ている場合もあります。古い角質が蓄積し炎症が起こったときに、頭皮が乾燥していると皮脂が分泌され、フケの原因となります。さらに皮脂の酸化がひどくなると、大きなフケができたり、脂漏性皮膚炎が起こります。つまりフケが出るというのは、皮膚の水分と油分のバランスが乱れて、異常になっている状態なんです。
フケだけでなく、頭皮にかゆみなどが出た場合は、肌荒れと同じだと思いましょう。化粧品と同じように、自分に合っていないものを使っているという反応である可能性が高いので、使用中のシャンプーを見直してみてください。
「いつもと同じなのに」と思わないで
シャンプーの見直しのサインでもあるフケ。ずっと同じシャンプーを使っているのに、急に合わなくなったということもあります。というのは、季節によって衣替えをするように、頭皮も季節によって合うシャンプーが変わることがあります。
なにかフケやかゆみ、手触りなどの違和感があったときは、もしかすると頭皮の環境が悪くなる前のサインかもしれません。
フケが出たときの正しい解決法
フケが細かいときは乾燥が原因であることが多いです。その場合は、使っているシャンプーの洗浄力が強すぎるのかもしれません。髪にやさしいアミノ酸系のシャンプーや、薬用の表示があるものに変えてみましょう。
大きなフケが出てしまうときは、炎症などが起こっている可能性が高いので、専門的なケアを受けるのが一番です。皮膚科で診断してもらいましょう。
頭皮からニオイが出たら体からのSOSかも
頭皮のニオイは加齢によるもののこともあれば、体からのSOS発信であることも。ニオイにはどんな意味があるのでしょうか。
頭皮の状態に合わせたケアを
頭皮からニオイがするときは洗い残しや、すすぎ残し、スタイリング剤の量が多すぎる可能性があります。ヘアケアを見直してみましょう。または、頭皮が炎症を起こしているために、ニオイが出ていることもあります。頭皮は直接見えていない分、湿疹や傷に気づけないですよね。ニオイがそのサインになっている場合があります。
湿疹ができている=油分が多くなっている、ということなので、脂っぽいニオイがすることがあります。また、そういうときに脂っこい食事が多いとニオイが増幅することもあります。ケアの見直しをしつつ、頭皮をじっくり触って、できものや触って痛いところがないかチェックしてみましょう。
寝ている間に引っ掻いているなど、頭皮は意外と傷ついていることがあるんです。自己判断だと、さらにひどくなってしまうこともあるので、異常に気づいたら専門医を受診しましょう。
加齢によるニオイはどうすればいい?
加齢によって発生したニオイは、薬用シャンプーを使うようにすると解決できることが多いです。または、耳周りのすすぎ残しや洗い残しの可能性もあります。シャワーのあとに、耳周りがぬるぬりしていないかチェックしましょう。
耳周りは脇の下と同じ汗線なので、汗をかいたときにニオイが出やすい場所です。汗をかきやすい人はとくに菌が増殖しやすいので、夏場はこまめに汗を拭く意識や、念入りに洗いやすすぎをするようにしましょう。
◆教えてくれたのは:毛髪診断士・田邊未奈美さん
美容師、介護福祉士、美容福祉士、毛髪診断士の資格を所持。美容福祉士の資格を取れる学校を卒業し、福祉施設や介護の仕事をした後、美容の世界へ。そこでシャンプーやマッサージで喜んでもらえることに一番の幸せを感じ、その技術を追求したいとエステやヘッドスパ専門店での経験を積む。その後、さらに専門性を求めて「希翠」(https://kissui.tokyo/)へ入店。現在は店舗責任者を務める。女性誌やWEBメディアで頭皮ケアの記事の監修などを数多く手がける。