健康・医療

何度もトイレ、夜中に尿意…を解消するには?「頻尿」対策におすすめの漢方薬

「さっきトイレに行ったのに、また行きたくなる」「一日に何度もトイレに行く」といった、頻尿の症状に心当たりはありませんか?

お腹を押さえる女性
頻尿を漢方で改善するには?
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頻尿には病気によるもののほか、明らかな病気がみつからないものもあります。そうした頻尿にはいくつか原因があり、原因にあったタイプに合った漢方薬を用いることで悩みを解決できる可能性があるそうです。

薬剤師の道川佳苗さんによると、「加齢による頻尿」「冷えが原因の頻尿」など、タイプによってアプローチできる漢方薬はいくつかあるそうです。そこで、道川さんに教えてもらった自分に合う漢方薬を知るための頻尿タイプのセルフチェックリストを確認してみましょう。

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「頻尿」の症状と原因

頻尿とは、一般的には朝起きてから寝るまでの排尿回数が「8回以上」であることを指します。ただ、トイレが近い、尿の回数が多いなど人によって感じ方もさまざまなので、8回以下の排尿回数でも自分自身で回数が多いと感じる場合は頻尿といえます。

頻尿の原因

きれいなトイレ
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頻尿には、突然かつ一時的に症状が起こるものと慢性化するものがあり、それぞれ原因が異なります。

【1】一時的な頻尿が起こった場合

急に頻尿が起こった場合は、尿道炎や膀胱炎などの尿路感染症が原因であることが考えられ、細菌感染が原因であれば抗菌薬により治療されます。

【2】慢性的に頻尿の症状が続く場合

一方、慢性的に頻尿の症状が続く場合は、多くを占めるのは「過活動膀胱」という疾患の可能性があります。過活動膀胱では、自分の意志とは関係なく膀胱が収縮するため、急な尿意を感じます。そのほか、膀胱がんの場合も頻尿が起こることがあります。

過活動膀胱の症状はさまざまな原因で起こりますが、原因のはっきりしないものも多く、加齢に伴う変化が関係すると考えられています。過活動膀胱の治療には、主に投薬治療や膀胱訓練、電気刺激治療などを行います。

漢方からみる頻尿の原因

漢方の考え方では、生命エネルギーを蓄える場所である「腎(じん)」が衰えた状態である「腎虚(じんきょ)」になると、排尿トラブルや腰痛、気力の減退などが引き起こされると考えます。「腎」は生命エネルギーを蓄える役割があり、泌尿器や生殖器と密接に関わっています。

その他に、気うつといって、気の巡りが悪いことによる心因性のものや、冷えによっても頻尿の症状が出ることがあります。

冷えると、手足などの末端の血管が縮むために体の中心の血液量が増え、それを減らそうという働きで尿量が増えます。また、寒さにより血圧が上昇し、交感神経が膀胱を刺激することで頻尿の症状が出やすくなります。

・「腎虚(じんきょ)」…加齢による腎の衰えによるもの
・「気うつ」…気の巡りの悪さによる心因性のもの
・「冷え」…冷えによる交感神経の働きによるもの

上記のように、明らかな病気が原因でない頻尿の場合、漢方薬によって改善できる可能性があります。

あなたの頻尿タイプをチェック

これから紹介するチェックリストで、あなたの頻尿タイプを診断してみましょう。

ノートにチェックリストを書いている
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加齢による腎虚タイプ

以下のチェック項目に当てはまる人は、「腎虚」タイプの可能性があります。

・下半身に冷えを感じる
・疲れやすい
・むくみやすい
・手足のほてりがある

加齢により腎虚になりやすくなります。腎の機能が低下した腎虚の状態では、頻尿などの尿のトラブルが起こったり、下半身を中心とする冷えや倦怠感を感じたりしやすくなります。

気うつタイプ

以下のチェック項目に当てはまる人は、「気うつタイプ」の可能性があります。

・胃腸が弱く体力がない
・気分が落ち込むことがある
・あせりや不安感を感じることがある
・神経過敏で不眠傾向がある

生命エネルギーである「気」は全身を巡っている状態が理想的ですが、気の巡りが滞ると、気分が落ち込んだり、焦ったり、不安を感じたりするなどの精神的な問題が出てきます。そのため、尿意が気になって頻尿になることがあります。

冷えタイプ

以下のチェック項目に当てはまる人は、「冷えタイプ」の可能性があります。

・寒がりでとくに下半身が冷える
・手足の冷えが気になる
・夜間にトイレに行くことが多い
・腰痛がある

頻尿は冷えが原因で起こることも多く、自身に冷えの自覚がなくても冷えている場合があります。冷え症を改善することで、頻尿が改善されることがあります。

体質に合った漢方薬で頻尿の悩みを改善

漢方薬は症状の根本改善以外に、体質の改善にも使われる自然由来の医薬品です症状を抑え込むのではなく、体質を改善することで症状の緩和と理想の健康をめざすため、明らかな病気が見つからない頻尿など、原因不明の症状にも効果を発揮することがあります。

お茶とポット
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加齢による腎虚タイプにおすすめの漢方薬「六味丸」

六味丸(ろくみがん)は、「腎」を補い、余分な熱を冷まし、尿を出しやすくする作用があります。膀胱内に残尿があると、尿を溜められるスペースが減少するために1回の排尿量は少なく回数が多くなります。利尿作用により、尿を出しやすくすることで、膀胱内に尿をしっかり溜められるようになるので、頻尿の改善につながります。加齢による頻尿、排尿困難、むくみ、手足のほてりなどにも効果が期待できます。

気うつタイプにおすすめの漢方薬「清心蓮子飲」

清心蓮子飲(せいしんれんしいん)は、利尿作用のある生薬、精神を安定化する生薬、消化器を補強する生薬などで構成されています。そのため膀胱内に残尿があることによる頻尿や心因性による頻尿、疲れにより発症する排尿トラブル解決に役立ちます。

冷えタイプにおすすめの漢方薬「八味地黄丸」

八味地黄丸(はちみじおうがん)は、体を芯から温め、基礎代謝を活発にすることで冷えを取り除き、腎を補う働きもあります。そのため、冷えによる頻尿や加齢による尿トラブルや腰痛解消などにも効果的です。

自分に合った漢方薬で頻尿の解決を

西洋薬では効果が不十分な場合にも、漢方薬を用いることで頻尿の改善に役立つことがあります。

散歩をする女性
Ph/Photo AC
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ただし、漢方薬は自分の体質や体力に合ったものを選ぶことで効果が引き出されるため、漢方薬を選ぶときには専門家に相談することが大切です。

◆教えてくれたのは:薬剤師・道川佳苗さん

道川佳苗さん
薬剤師・道川佳苗さん
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みちかわ・かなえ。漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校で調理技術、栄養学を学ぶ。現在はweb上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。
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