節約は絶えず意識しているはずなのに、気づけば無駄な買い物をしてしまう。そんな人は、どうしたら「無駄遣い」を断ち切ることができるのでしょうか。『攻めの節約』(WAVE出版)を上梓した生活コスト削減コンサルタントの生方正(うぶかた・ただし)さんに教えてもらいました。
生方さんは、高校卒業後に海上自衛隊に入隊。節約をしながら株式投資や不動産投資などを行い、40代で退職した際には2億円もの資産を築き上げていました。そんな“資産構築のプロ”だからこそ知っている、「無駄な買い物をしないための思考プロセス」とは?
買う前に考えたい11のこと
一定の収入があるにもかかわらず、お金が貯まらない人の原因は、無駄遣いです。つまり、無駄な支出を減らすことさえできれば、貯蓄は増えるのです。では、どうしたら無駄遣いを減らせるのでしょうか。生方さんは、買い物をする前に、11の思考プロセスについて考えてほしい、と提案します。
【1】それを買うことで、どんなメリットを得られるのか?
【2】買ったものが、生活にデメリットをもたらさないか?
【3】買おうとしているものは本当に必要?
【4】1か月後に不要になっていないか?
【5】周りの人から借りることはできないか?
【6】リサイクルショップやフリマで安く買えないか?
【7】割安で買えるクーポンなどはないか?
【8】保証はどうなっているか?
【9】表記されている本体の代金以外に、送料や設置費用などが発生しないか?
【10】商品が届くまでにどれくらいの期間が必要?
【11】どの支払い方法が最も効率的?
上記の思考プロセスは、数千円や数万円単位の、特に大きな買い物をするときに必要だと生方さんは話します。
購入するデメリットをメリットが上回っていればOK
一例を挙げてもらいましょう。自転車の購入を検討している場合です。
「まず、自転車はパート先への通勤や買い物に使うことができること、ガソリンの節約になるうえに運動不足を解消することもできると考えれば、【1】のメリットはクリアします。一方、【2】のデメリットでいえば、メンテナンスをする時間と年間数千円の修理費が必要になるうえ、自転車に比べて移動速度が遅いため通勤時間が長くなります。さらに、接触事故などに備えて保険に加入する必要があります。
では、デメリットをメリットが上回っているか? 自転車で毎月200kmの距離を走行する場合、自動車で同じ距離を移動するのに消費するガソリン代(20L)を節約できます。仮に5~6万円の自転車を購入しても、2~3年で元が取れる上に環境にも優しいというおまけつきです。使用頻度が極端に低くなければ買っても損になりません。
そう考えると、メリットの方が高く、【3】の必要性があるともいえますね」(生方さん・以下同)
1年後に使っている姿をイメージ
【4】の「1か月後に不要になっていないか?」については、過去を振り返ってみるのも一つの方法です。
「バーゲンや流行を理由に購入したバッグや靴、年始に買った福袋、夏前に購入した筋トレマシーンなど、使っていないものがクローゼットや部屋の空きスペースを占領していないでしょうか。脳科学の観点からも、人は衝動買いをしてしまいやすい動物です。買う前に、1年後にそれを使っている自分の姿がイメージできなければ、購入を見送りましょう」