夏から秋への季節の変わり目は、「体調を崩しやすい」「風邪をひきやすい」というかたも多いのではないでしょうか? 新型コロナウイルスの感染対策だけではなく、体調の変化にもしっかり目を向けることが大事です。
体調変化の原因を知り、食事を工夫することで季節の変わり目も健康的に過ごすことができます。さらに、体質に応じた漢方薬を用いることが、風邪をひきにくい体作りに役立ちます。
そこで、秋の体調変化への対策法について、薬剤師の清水みゆきさんに教えてもらいました。
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季節の変わり目の風邪は気温差が原因
夏から秋への季節の変わり目は、日中は暑くても朝晩は涼しさを感じるなど1日の気温差が大きいですよね。
気温差で自律神経が乱れやすい
こうした季節に服装の調節がうまくできないと、体を冷やして風邪をひいてしまうことがあります。 また、気温などの季節の変化は、外的ストレスとして自律神経にも影響を与えます。
私たちの体は呼吸や体温調節、血液循環などを自律神経がコントロールしています。季節の変わり目の温度差に対応しきれず自律神経が乱れると、免疫力が低下して体調不良を起こしやすくなります。
アレルギー症状の可能性も
夏から秋への季節の変わり目は、風邪と間違いやすい症状も出やすい時期です。寒暖差アレルギーや気管支喘息、副鼻腔炎など、不調の原因が風邪ではない場合もあるので、季節の変わり目に風邪のような症状が長引く場合は、風邪以外の病気の可能性も疑う必要があります。
風邪に打ちかつ体を作る食べ物3つ
風邪を予防するには、免疫力を高めるためにバランスのよい食事をとることが大切です。また、加熱調理した温かいものをとることも免疫力アップにつながります。
さらに、免疫力アップに役立つ栄養素を多く含み、風邪予防に役立つ食べ物をご紹介します。
かぼちゃ
かぼちゃにはβ-カロテンやビタミンEが豊富に含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAに変換されて、鼻や喉などの粘膜を正常に保ち抵抗力を高める働きがあります。ビタミンEは血行をよくして体を温め、自律神経のバランスを整えます。
天ぷらや炒め物など油を使う方法で調理するとβ-カロテンの吸収率がよくなるので、おすすめです。
さつまいも
食物繊維が豊富なさつまいもは腸内環境を整えるのに効果的で、免疫力アップが期待できます。
また、さつまいもにはビタミンCも多く含まれています。ビタミンCはストレスを軽減して自律神経のバランスを整えたり、ウイルスに対する抵抗力を高めるとされています。
さつまいものビタミンCは熱に強いので、焼き芋や煮物、スープなど加熱調理をしても、しっかり摂ることができます。
りんご
「1日1個のりんごは医者いらず」という言葉があるほど、栄養豊富なりんご。
りんごには食物繊維(ペクチン)が豊富に含まれており、腸の調子を整えて免疫力を高めます。また、りんごには、粘膜を劣化させて免疫力を低下させる活性酸素を取り除くポリフェノールも多く含まれています。
食物繊維やポリフェノールなどの栄養素は、りんごの果肉部分よりも皮に多く含まれているので、皮ごと食べるのがおすすめです。
風邪をひかない強い体作りには漢方薬もおすすめ
食事の工夫に加え、漢方薬を取り入れて体質改善を目指すのも1つの方法です。
風邪をひきやすい気虚体質を根本から改善
漢方医学では、風邪をひきやすい人は生命エネルギーである「気」が不足した「気虚(ききょ)」の状態であると考えます。そのため、気を補う人参(にんじん)や黄耆(おうぎ)といった生薬を含む漢方薬で、体力や免疫力を高めて改善のアプローチを行います。
漢方薬は大学などでも研究されてメカニズムが解明されてきており、実際の内科の治療でも、倦怠感や風邪の予防として使われています。自然の生薬からできているため、一般的には、西洋薬よりも副作用が少ないといわれている点も特長です。
風邪をひかない体作りにおすすめの漢方薬2つ
・補中益気湯
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、胃腸の働きを整えて体のエネルギーである「気」を補う漢方薬です。元気がない、疲れやすい方や、胃腸の調子が良くない方におすすめです。
・十全大補湯
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)は、体のエネルギーである「気」だけでなく栄養を運ぶ「血」も補う漢方薬です。疲れやすく、貧血や乾燥肌が気になる、虚弱体質の方におすすめです。
漢方薬は体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こる場合もあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
体調を崩しやすい季節の変わり目には、バランスのよい食事をとったり、漢方薬で「気」を補ったりして、風邪をひかない体を作っていきましょう。
◆教えてくれたのは:薬剤師・清水みゆきさん
しみず・みゆき。漢方薬・生薬認定薬剤師。JAMHA認定ハーバルセラピスト。 製薬企業の研究所勤務を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康づくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。 現在も漢方調剤薬局で薬剤師として働きながら、「ママのためのやさしい漢方」のサイト運営や漢方やハーブの通信講座やセミナー講師としても活動中。オンラインで漢方を購入できる「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで情報発信もしている。