健康・医療

「秋バテ」には3つの秋の食べ物で対策! 寒暖差疲れの回復方法2つと漢方2つ

夏から秋への季節の変わり目の時期、「体がだるい」「疲れがとれない」といった不調を感じてはいませんか?

ソファに寝転ぶ人
だるさや食欲不振など、秋バテを感じていませんか?
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夏の暑い時期に起きる夏バテに対して、涼しくなった秋に体のだるさや疲れ、食欲不振などの不調が生じることを「秋バテ」といいます。

そんな秋バテの原因と対策、疲労回復によい食材、おすすめの漢方薬について薬剤師の清水みゆきさんに教えてもらいました。

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秋に起こる「秋バテ」不調

秋バテとは、秋ごろに食欲不振や胃もたれ、倦怠感、めまい、不眠、頭痛などの不調が出る現象です。秋バテが起こる原因について、簡単に解説します。

秋バテの原因は自律神経の乱れ

私たちの体は、自律神経によって呼吸や体温調節、消化や血液循環などがコントロールされています。夏から秋への季節の変わり目は、日中と夜の気温差が大きくなりますよね。この温度差に対応しきれず自律神経が乱れると、疲れやめまい、頭痛などさまざまな不調が生じやすくなります。

また、秋は台風や雨が多く気圧変動が大きい季節です。自律神経は低気圧の影響も受けやすいため、不調が生じやすくなります。

夏からの内臓や体の冷えも不調の原因に

夏の暑い時期に、アイスや冷たい飲み物ばかりを食べたり飲んだりすると、内臓が冷えてしまいます。この内臓の冷えの影響は秋まで続き、胃腸の働きや食欲の低下が生じるのです。また、胃腸の冷えは体全体の冷えにつながり、血行不良による体の痛みなどを引き起こすこともあります。

秋バテから回復する方法2つ

まずは生活習慣から、秋バテの対策をしていきましょう。

入浴する女性
自律神経を整えて秋バテを撃退!
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お風呂で自律神経を整える

リラックスしているときに働く副交感神経が優位になる37~40℃程度のぬるめの湯船に入ることで、自律神経のバランスが整いやすくなります。また、リラックス効果のあるラベンダーの香りの入浴剤やアロマを使うのもおすすめです。体が温まり、冷え対策にもなるので、普段シャワーで済ませがちな人は試してみてください。

運動で自律神経を整える

日中に体を動かすと交感神経が優位になり、自律神経が整います。朝夕と涼しい時間帯に、ウォーキングや体操など軽い運動をするのがおすすめです。適度な運動で血行をよくすることは、疲労感の軽減にもつながります。

秋バテ回復に適した食べ物は?

秋バテ対策には、バランスのよい食事を1日3回、規則正しくとることが大切です。胃腸への負担を避けるために、ゆっくり噛んだり、冷たいものは避けて温かい食べ物を選ぶようにしましょう。

そこで、食事に取り入れていただきたい秋バテ対策におすすめの食べ物をご紹介します。

さつまいも

ざるにのった3本のさつまいも
ビタミンC豊富なさつまいもは秋バテ対策におすすめ!
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さつまいもには熱に強いビタミンCが多く含まれています。ビタミンCはストレスを軽減して自律神経のバランスを整えるとされています。また、食物繊維が豊富で整腸作用も期待できます。

漢方的には、さつまいもは夏に消耗した「気(エネルギー)」を補う働きがあり、疲労回復にも役立ちます。焼き芋やふかし芋にして皮ごと食べるのがおすすめです。

かぼちゃ

かぼちゃ
漢方では「気」を補う働きがあるとされているかぼちゃ
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漢方的には、かぼちゃにも「気」を補う働きがあり、胃腸の働きを高めるので、疲労回復や食欲増進に効果が期待できます。

また、血行をよくして体を温め、自律神経のバランスを整える効果が期待できるビタミンEも豊富。胃腸の調子がよくないときは、温かいポタージュスープにするのがおすすめです。

さんま

大根おろしが乗った焼き秋さんま
秋バテ対策に有効な栄養素をたくさん摂ることができるさんま
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さんまには良質なたんぱく質やビタミンEやB群が多く含まれており、胃腸の働きを高めて疲労を回復するのに役立ちます。

また、自律神経のバランスを整える効果も期待できる、ビタミン類も豊富。さらに、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸も多く含まれているので、血液をサラサラにして血行をよくすることにつながります。

秋バテには漢方薬でのサポートもおすすめ

生活習慣や食事の工夫に加えて、漢方を取り入れて体質改善を目指すのも1つの方法です。漢方薬は症状の改善だけでなく、心と体の理想の健康を目的としています。自然由来の生薬を組み合わせて作られており、西洋薬に比べて体に優しくはたらくといわれています。
生活習慣や食事の見直しでは秋バテが改善しなかった人にも、効果出る可能性があります。

漢方医学では、夏に暑さによる「気」の消耗や冷えによる胃腸の働きの低下が秋バテを引き起こすと考えます。

疲労を解消するには「気」のバランスを整えることが重要で、体に栄養を運ぶ「血(けつ)」を補うことで、胃腸が丈夫になって食欲がわき、栄養の吸収も良くなることでで、元気な体を取り戻すことにつながります。

さまざまな生薬
タイプ別の漢方薬で秋バテ不調を改善!
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秋バテにおすすめの漢方薬

以下に、秋バテによる疲れにおすすめの漢方薬を2つご紹介します。

・人参養栄湯

疲れて食欲もない人におすすめなのが、気や血を補い体を温める漢方薬の人参養栄湯(にんじんようえいとう)です。手足の冷えが気になるかたや食欲不振、疲れやすさを感じるかたにおすすめです。


・補中益気湯

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、胃腸のはたらきを整えて気を補う漢方薬で、疲れやだるさが気になる人に合っています。元気がない、気力がわかない、胃腸の調子がよくない方におすすめです。

→補中益気湯について詳しく知る

漢方薬を始めるときの注意点

青空と女性
秋バテを解消して素敵な毎日を
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漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こる場合もあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

体調を崩すことが多い季節の変わり目。毎日の生活習慣や食事を工夫して体を温め、自律神経を整えていきましょう。

◆教えてくれたのは:薬剤師・清水みゆきさん

清水みゆきさんの写真
薬剤師の清水みゆきさん
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しみず・みゆき。漢方薬・生薬認定薬剤師、JAMHA認定ハーバルセラピスト。製薬企業の研究所勤務を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康づくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。現在も漢方調剤薬局で薬剤師として働きながら、「ママのためのやさしい漢方」のサイト運営や漢方やハーブの通信講座やセミナー講師としても活動中。今までの経験を活かし、「あんしん漢方」などで健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/

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