秋になり涼しくなると、肌の乾燥が気になり始めるかたも多いのではないでしょうか。漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんによると、食事の内容や生活習慣を意識することで、肌の乾燥を和らげることができるそうです。そこで、肌の乾燥におすすめの食材や暮らしの中でできる工夫、乾燥肌に効果があるとされている漢方薬について教えてもらいました。
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秋は乾燥しやすい季節。その理由は?
秋に肌が乾燥しやすくなる理由は、大きく分けて3つ考えられます。
湿度の低下
秋は湿度がぐっと下がる季節。水分は多いところから少ないところに移動する性質があるため、空気が乾燥すると、肌の水分も少なくなります。
同じ気温であれば湿度の低い方が、同じ湿度であれば気温の低い方が、肌への影響が大きくなります。また、風が強い日は、より肌の水分が失われやすくなる傾向があります。
新陳代謝の低下
秋になり気温が下がると、「新陳代謝」が低下します。
新陳代謝とは、古いものを捨てて栄養を取り込み、新しいものを生み出す働きです。うまく新陳代謝が行われないと、肌のバリア機能が弱まり、潤いを保つ成分の生成も滞りやすくなります。これにより、肌の潤いが少なくなり、乾燥肌につながるのです。
夏に受けた紫外線ダメージ
夏に浴びた紫外線によるダメージは、秋まで続くといわれています。
紫外線は新しい肌細胞を生成するサイクルを乱し、乾燥から肌を守るバリア機能を働きづらくするため、シミやしわだけではなく、肌を乾燥させる原因にもなります。さらに、新陳代謝の低下によって保湿成分も作られづらくなるので、肌が乾燥しやすくなります。
秋の乾燥に内側からアプローチする食べ物
食べ物の中には体を整えてエネルギーを生み出したり、乾いた体を潤す助けをしたりするものがあります。
薬ではないので即効性は期待できませんが、そういった食べ物を普段から食事に取り入れることで、気候の変化に揺らぎづらい体作りを目指せます。
米
漢方医学で米は力をつけ、消化吸収を助ける働きがあるとされています。胃腸の調子を整えることは、栄養をしっかり体に取り込むことにつながります。新陳代謝を活発にして、常に新しい肌細胞を生み出すためにもおすすめの食材です。
また、ごはんの60%は水分のため、肌へ潤いをあたえるのにも役立ちます。
鮭
漢方医学で鮭は体を温め、体を潤す働きがあるとされています。栄養学的にみても、鮭に含まれるビタミンEには血管を広げ、血流をスムーズにする作用があることが知られています。
梨
漢方医学で梨は乾燥した体を潤し、血液の循環をよくする働きがあるとされています。ただし、体を冷やす性質があるので冷え性の人は控えめに。適度にかたい、ズシリと重い、軸がしっかりしている、などがおいしい梨の特徴といわれています。
乾燥から肌を守るスキンケア&生活習慣
乾燥肌対策には潤いをあたえることだけではなく、「バリア機能を保つ」「新陳代謝をうながす」ことも重要です。そこで、今日からできるスキンケアと生活習慣を紹介します。
優しく洗顔する
肌のバリア機能は、摩擦に弱い性質があります。したがって、優しい洗顔を心がけることで、肌のバリア機能を保つ効果が期待できます。
顔や体を洗うときはせっけんやボディーソープを十分に泡立て、手やタオルなどが肌に直接当たらないようにしましょう。
十分な睡眠をとる
肌細胞が作られるのは、主に寝ている間です。睡眠が短いと、肌細胞を生み出す時間が確保できなくなります。そのため十分な睡眠をとることが、肌細胞の新陳代謝をうながすことにつながります。
カサカサ肌には漢方もおすすめ
食事や生活習慣に気をつけているのに肌の乾燥が気になる、というときには、漢方薬をのむという方法もあります。漢方薬はカサカサ肌や肌あれなどの症状に対して体の内側からの改善を目的として、皮膚科でも処方されています。
漢方医学で肌の乾燥は、「潤いがたりない」「潤いを作り出す元気がない」「水分の巡りが滞っている」ことなどが原因と考えられます。そこで、乾燥肌の改善に効果が期待できる漢方薬を2つ紹介します。
乾燥肌におすすめの漢方薬2つ
・当帰飲子
当帰飲子(とうきいんし)は肌を作るための栄養を補い、血(けつ)や水(すい)の巡りをよくする作用が期待できます。肌の新陳代謝を高めるため、乾燥肌治療の定番ともいえる漢方薬です。
・四物湯
四物湯(しもつとう)は血と水の巡りを整え、さまざまな組織に栄養を与えるのを助ける漢方薬です。肌が炎症を起こしている場合や、冷えを感じる、疲れやすいといった不調にも用いられます。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬は自然由来の生薬を組み合わせて作られているため、西洋薬に比べて副作用が少なく、体に優しく働くといわれています。
また、漢方薬は体質改善を目的としているので、食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用の際は自分に合う漢方薬を見つけるために、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
気候の変化や夏のダメージの影響で引き起こされる乾燥肌。バランスのよい食事、十分な睡眠と休養が健康の土台を作りますが、思うように食事や休養がとれないという人は、専門家に相談して漢方薬の助けを借りるのも選択肢の1つです。自分に合った方法を取り入れ、毎日を気持ちよく過ごしましょう!
◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん
おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。現在は「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで情報発信もしている。