健康・医療

二日酔いになったらみかんを食べたほうがいい理由&飲む前や飲酒中にすべき対策は?

ビールで乾杯している
二日酔いを防ぐ飲み方や二日酔いになってしまったときの対策をチェック!
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お酒を飲む機会が多い年始め。飲酒を楽しむことは最高のストレス発散ですが、二日酔いになってしまったら、楽しい時間も台無しに…。40代を過ぎたころから、「昔よりもお酒に弱くなった」とそんなふうに感じている人も多いのではないでしょうか。それにはちゃんと理由があるんです。そこで、二日酔いが起こる原因を知って、対策をしましょう。さらに、お酒を飲みすぎたあとにやるべきことや二日酔いの改善が期待できる食べ物について、あんしん漢方の管理栄養士・小玉奈津実さんに教えてもらいました。

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二日酔いが起こるメカニズムとは?

一般的に、更年期にさしかかる年代になると、加齢に伴い肝臓での分解機能も低下するため、お酒に弱くなっていくといわれます。そのため、若い頃は平気だった人でも、40代をすぎると二日酔いになりやすかったり、お酒が翌日に残りやすくなったりします。

また、女性は男性よりも肝臓が小さいことも、女性の方が二日酔いになりやすい原因として考えられています。

とはいえ、二日酔いのメカニズム自体は、実はまだはっきりと解明されていません。現状では、アセトアルデヒドの蓄積や脱水症状などの要因が複雑にからみあって、二日酔いが起こると考えられています。

酔っている女性
女性は40歳を過ぎると、お酒に弱くなりやすい?
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アセトアルデヒドの蓄積

二日酔いが起こるのは、多量のアルコールを肝臓が分解しきれずに生じる毒性の強い物質アセトアルデヒドが、体内に蓄積されることが原因のひとつと考えられています。アセトアルデヒドには、吐き気や動悸、頭痛を引き起こすはたらきがあるといわれているため、二日酔いの症状を引き起こすと考えられているのです。

脱水症状

アルコールには利尿作用があるため、多量に摂取することによってトイレの回数が増え、脱水症状に陥りやすくなります。脱水の主な症状は、頭痛や喉の渇き、めまいなど。二日酔いでも、同様の症状がみられるため、関連づけて考えられています。

さらに、更年期世代は加齢に伴って体内の水分量が少なくなっていため、血中アルコール濃度が高くなりやすく、脱水症状も起こりやすいと考えられます。

このほかにも、肝臓がアルコール分解を優先的に行うことで起こる低血糖や、アルコールによる胃粘膜への刺激で起こる胃もたれといった胃腸障害などの複数の要因によって、二日酔いが生じると考えられています。

二日酔い予防のためにやるべきこと

アセトアルデヒドの蓄積を防ぎ、脱水症状にならないようにするには、「水分補給」と「空腹でお酒を飲まない」ことがポイントです。

水を飲んでいる
お酒を飲むときは水もしっかりと飲むことが大事!
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水分補給を行う

脱水症状は水分補給をこまめに行うことで防ぐことができます。また、お酒と一緒に水を飲むとアルコール濃度が薄まるため、肝臓への負担が減るほか、血中アルコール濃度の急激な上昇を防ぐ効果も期待できます。

飲酒前にはコップ1杯の水を、飲酒中もこまめに水を飲みましょう。飲酒後も普段以上にしっかりと水を飲むことで、アルコールの代謝を促すことができます。ただし、冷たすぎる水は胃腸に負担をかけるので、常温を少しずつ飲むのがおすすめです。

空腹でお酒を飲まない

お腹を押さえている人
空腹でお酒を飲むと胃腸への負担が大きい
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空腹時の飲酒はアルコールが急速に吸収されるため、肝臓での分解が追いつかなくなります。それが、アセトアルデヒドが多く蓄積される原因になるため、空腹でお酒を飲まないことも大切です。

また、胃の中に食べ物がない状態だと、アルコールが胃の粘膜を刺激するので、荒れやすくなります。胃が荒れると、胃痛や胃もたれなどの二日酔い症状の原因となってしまいます。

胃を膨らませておくことで飲み過ぎ防止にもつながるので、飲酒前に何か食べ物を食べるように心がけましょう。

二日酔い改善におすすめの栄養素・食べ物とは?

それでも二日酔いになってしまったときは、改善に役立つ食べ物を取り入れてみてください。二日酔いでつらいときでも手軽に用意できるものを紹介します。

みかん

みかん
みかんのビタミンCがアセトアルデヒドの分解をサポート!
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冬の果物の代名詞といえるみかんには、二日酔いの原因の1つであるアセトアルデヒドの分解をサポートするビタミンCが豊富に含まれているため、二日酔いの改善におすすめです。

二日酔いで気持ち悪いから何も食べたくないときも、爽やかな香りと酸味があるみずみずしいみかんなら食べやすいかと思います。お酒を飲む習慣がある人やお酒の席が多いシーズンには、皮をむくだけでさっと食べられるみかんを常備してもいいかもしれませんね。

コーヒー

コーヒー
血管の拡張による頭痛を和らげる効果が期待できるコーヒー
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コーヒーに豊富に含まれるタンニンはポリフェノールの一種で、アセトアルデヒドと結びついて排出するはたらきあるので、二日酔いの改善が期待できます。さらに、カフェインには血管を収縮させるはたらきがあり、二日酔いの頭痛の要因とされる、アセトアルデヒドによる血管の拡張をやわらげるのに役立ちます。

ただし、コーヒーに含まれるクロロゲン酸は胃酸の分泌を活性化させるため、二日酔いで胃が荒れているときは飲み過ぎに注意。ブラックで飲むのは控えて、牛乳や豆乳で割って飲むことをおすすめします。

しじみの味噌汁

しじみの味噌汁
二日酔いといえばしじみの味噌汁と言われる理由とは?
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二日酔いの改善に、定番のしじみの味噌汁。その理由は、二日酔い改善に役立つタウリンやオルニチンが豊富だからなんです。

しじみに含まれるタウリンには肝機能を向上させる働きがあり、オルニチンはアセトアルデヒドの分解を助けるといわれています。

また、温かい汁物は疲れた胃腸をいたわり、水分の補給にも役立つので脱水状態からの回復もサポート。レトルトの味噌汁などを活用するのも一手です。

二日酔いがつらいときは漢方薬もおすすめ

二日酔いには、漢方薬でのアプローチもおすすめです。

漢方医学では二日酔いの原因は主に水分バランスの乱れと考え、「口の渇き」「むくみ」「頭痛」「嘔吐」などの症状が起こると考えられています。

漢方薬のなかには水の巡りを整えるものがいくつかあり、二日酔いや悪酔いの予防、二日酔いの改善にも役立ちます。また、二日酔いによる吐き気、頭痛、腹痛などの治療に、内科でも使われています。

二日酔いにお悩みの方におすすめの漢方薬2つ

・五苓散

五苓散(ごれいさん)アルコールによってたまった胃の余分な水分を取り除きます。二日酔い、頭痛や腹痛、吐き気やおう吐、水溶性の下痢などの際に用いられます。

→「五苓散」について詳しく知る

・黄連解毒湯

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)はアルコールによってたまった胃の熱を冷まします。二日酔い、更年期症状のほか、めまいや動悸などに用いられます。

→「黄連解毒湯」について詳しく知る

漢方薬を始めるときの注意点

漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こる場合もあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

お酒を飲んでいるときや飲んだ翌日は、水分補給をしっかり行いましょう。あわせて、二日酔い改善に役立つ食べ物や漢方薬を取り入れて回復をめざしましょう。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・小玉奈津実さん

管理栄養士の小玉奈津実さん
管理栄養士・小玉奈津実さん
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管理栄養士資格取得から食に関する職務に携わってきて15年目。サプリメントの商品開発・外食のメニュー開発・高齢者施設の栄養価計算や献立作成などに従事。現在はサプリメントの監修や食に関する記事の執筆、オンライン栄養指導などフリーの管理栄養士として活動中。さらに、オンラインで漢方を購入できる「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで情報発信もしている。

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