世の中には、怒りの「同調圧力」をかけてくる人がいます。同調圧力とは、少数意見を持つ人に周りの多くの人と同じように考えて行動するよう、暗黙のうちに強制すること。同調圧力に屈しやすい人は、周りから“圧”を感じてしまうと、本来は怒る必要がないのに怒ってしまいます。では、自分が望まない同調圧力を気にせず気持ちを整えるにはどうしたらよいのでしょうか。
アドバイスをくれるのは、アンガーマネジメントコンサルタントの安藤俊介さん。近著『なぜ日本人は怒りやすくなったのか?』(秀和システム)でも、不本意に火の粉がかかったときの身のかわし方を紹介しています。その一部を教えてもらいました!
ステップ1「まあ許せるゾーン」を広げられるよう思考をコントロール
安藤さんは、不本意な怒りの矛先を向けられたら、大原則として「逃げる」ことをすすめています。同調圧力も同様です。
「怒りの“圧”をかけられたら、逃げる。つまり、相手を見ない、相手の言うことを聞かない、わざわざ意見しない、話題をかわす、お茶を濁す、もっといえば、関わらないことが賢明です」(安藤さん・以下同)
その上で、安藤さんは、「思考をコントロールすること」を推奨します。
「思考のコントロールは許容できるかできないか、その線引きを考えるために行います。私たちの心の中には、『許せるゾーン』、『まあまあ許せるゾーン』、『許せないゾーン』があります。『許せるゾーン』は、自分と同じ価値観・考え方・意見でも理解でき、受け入れられます。『まあ許せるゾーン』は、自分とは同じでないものの違いを受け入れることは可能。『許せないゾーン』は、自分と違うことを理解せず、受け入れられません」
仮に、「Aさんがレストランで食事を残しているのを見つけたんだけど、調理人や生産者に対して失礼だよね! どう思う?」と焚きつけられたとき。あなたがそこまで怒る必要がないと感じていたり、「胃の調子が悪かったからでは」と違う意見を持っていたりした場合、Aさんに対しては「まあ許せるゾーン」です。
「ただ、だからといってその思いを口に出すと反発を招きかねません。ましてや、同調するとさらに自分までネガティブな気持ちが伝染してしまいます。この場合、話題を切り替えるなどして逃げることで、火の粉を避けることができます。
つまり、日頃から何事にも『まあ、いいか』と思う訓練をして、『まあ許せるゾーン』を広く取っておくことで、不意に火の粉がかかったときでも、自然と流すことができるのです」
これは、同調圧力をかけられたときだけでなく、自分自身が立腹する機会を減らすための有効手段でもあります。許せるゾーンが広がれば広がるほど、たいていのことがどうでもよくなり、機嫌よく過ごせるはずです。