ステップ2 行動をコントロールする
とはいえ、どうしても隣人の怒りを見過ごせないと思ったら、次のステップに進むべきだと安藤さんは話します。上記の例で言えば、「食事を残すこと=悪」という意見にどうしても反論したいとき。つまり「許せないゾーン」にいるときです。
注意すべきは、直ちに怒りを表現しないこと。次に解説する手段の中から選びましょう。
「まず、話題を変えるなどしてその場の状況を自分でコントロールできるか否か。
2人きりならともかく、ママ友グループなど一定数の人から『出された食事は絶対残さず食べるべきだよね!』といった圧をかけられていたり、世の中の空気のようなもので、自分が声を上げたところで簡単に変えられないものだった場合。
それが自分にとって重要な問題なら、相手の考えが変えられないことを受け入れて現実的な着地点を探しましょう。もし重要な問題でなければ放っておく、かかわらないことです。大きな岩のような信念を動かすのは労が要ります。そこにエネルギーを費やして気力体力を消耗しては、元も子もありません。
一方、同調圧力は受け入れることはできず、自分にとって変えられることであれば、同調圧力を迫ってくる人に『もう私にはそんな話題を振って来ないで』などと直接意見して、行動してもらう選択肢もあります。そこまでするほど自分にとって重要でない問題なら、それとなく話題を変えるなどして流せばいいだけです。
同調圧力に決して屈するなとは言いません。抗って主張することが良しとも限りません。『まあ許せるゾーン』に入れて流せるなら流すなどして、自分なりにどう扱ったらいいかを判断してマネジメントすればよいのです。そうすれば、不本意に同調圧力に流され、後悔したり厄介ごとに巻き込まれたりする機会は減るでしょう」
◆教えてくれたのは:アンガーマネジメントコンサルタント・安藤俊介さん
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。アンガーマネジメントの理論、技術をアメリカから導入し、日本の考え方、慣習、文化に合うようにローカライズする。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどを行っている。近著に、『なぜ日本人は怒りやすくなったのか?』(秀和システム)がある。https://twitter.com/andoshunsuke