
自由気ままにのんびりと旅を楽しめて、列車、バス、船などのお得なフリーきっぷ。北陸に旅するなら、首都圏、関西、そして東海から、それぞれ列車のフリーきっぷが発売されています。今回は、最新スポットや一押しスポットを紹介しつつ、フリーきっぷで楽しむ北陸旅を、旅行ジャーナリストの村田和子さんが紹介します。
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フリーきっぷのすすめ!北陸はフリーきっぷ天国
フリーきっぷには種類がありますが、比較的多いのが、往復の乗車券&特急券に、乗り降り自由な自由周遊区間(フリー区間)がセットになったもの。北陸は、このタイプのフリーきっぷが、首都圏・関西・東海発着で発売されています。
目的地によっては単純往復よりも価格はリーズナブルで、フリーエリア内(※切符ごとに設定、詳細は確認)は、JR線のほか、あいの風とやま鉄道線、IRいしかわ鉄道線も対象。新幹線を含む特急も自由席なら乗り降り自由で、観光の幅もぐんと広がります。

【北陸を旅するのに便利なフリーきっぷ】
・北陸乗り放題きっぷ(JR西日本):3日間有効・大阪発着・1万5850円
https://www.jr-odekake.net/railroad/ticket/tokutoku/hokuriku_norihodai/
・北陸観光フリーきっぷ(JR東海):4日間有効・名古屋発着・1万6230円
https://railway.jr-central.co.jp/tickets/hokuriku-free2/index.html
・大人の休日倶楽部(※)限定 北陸フリーきっぷ(JR東日本)4日間有効・東京発着2万2410円
https://jre-ot9.jp/ticket/hokurikufree.html?footer_link
(※)50歳以上の旅倶楽部「大人の休日倶楽部」への入会が必要

ただし、購入期限(使用前日までが多い)、有効日数、利用条件(2名以上、会員限定発売、除外日など)があるので必ず確認を。予約はネット、受け取りは駅の券売機でできるので、手配もらくちんです。
フリーきっぷならこんな使い方も 3つの使いこなし術
【1】再会の旅にも便利
北陸は首都圏・関西・東海からフリーきっぷが発売されているので、離れた地域に住む知人と現地待ち合わせで旅をするのにも便利です。会ってからスケジュールを決めたり、天気によって旅の計画を変えるのも自由自在。
【2】連泊で疲れしらず
移動しながら宿泊をする旅もいいですが、大きな荷物をもって動くのは結構つかれます。北陸のフリーきっぷは、どれも新幹線や特急も利用可能。思い切って1都市に連泊で滞在し、大きな荷物は客室に置いたまま、日帰りで各地を身軽に観光するのもおすすめです。
例えば2022年3月、JR富山駅前には商業施設「MAROOT(マルート)」と「ホテルヴィスキオ富山」が開業しました。JR系のホテルとあって駅は目の前。富山市内の散策だけではなく、ここを拠点に新幹線で遠出をする旅にも便利な立地です。



【3】観光列車をお得に
女性に人気の「花嫁のれん」など、観光列車も指定席特急券や座席指定券を購入することで利用できます。一押しは観光列車の「べるもんた」。高岡を起点に山側(城端線)、海側(氷見線)を運行し、伝統工芸品「井波彫刻」をあしらった車内は上品でサロンのような落ち着いた雰囲気です。


運行区間はフリーエリア内なので、追加で座席指定券(530円)を購入すれば乗車できます。氷見では海を眺めながら、車内で職人が握るお寿司を頂くのがおすすめです(要予約)。



フリーきっぷで行く北陸、おすすめスポットBEST5
最後にフリーきっぷで訪れたい、北陸の一押しおすすめスポットを紹介します。
【1】富山駅周辺スポット(富山県)
今年3月、「MAROOT」がオープンし、ガラッと印象が変わった富山駅周辺。「MAROOT」 1階には、富山県内19の蔵元の日本酒が楽しめるバルや、地元のおいしい名店がずらり。

また、市電で10分ほどのところにある「ガラスの美術館」は私の一押し。現代ガラス作家の巨匠デイル・チフーリ(Dale Chihuly)氏によるインスタレーション作品が目をひきます。美術館がる建物は隈研吾氏の設計で、吹き抜けのある開放的な空間もぜひ楽しんで。また北前船で栄えた「岩瀬浜」も市電でアクセスOK。足を延ばしてみるのもいいですよ。

【2】金沢×アート(石川県)
工芸の街、金沢ではアート三昧の過ごし方もおすすめ。金沢21世紀美術館に加え、2020年には東京から、国立近代美術館工芸館が金沢へ移転し、国立工芸館としてオープン。収蔵品はもちろん、建物も、国の登録有形文化財に登録された旧陸軍施設「旧陸軍第九師団司令部庁舎」と「旧陸軍金沢偕行社」を移築したもので、必見です。


【3】和倉温泉(石川県)
ナトリウム・カルシウムを含む塩化物泉の和倉温泉は、効能が多く人気です。青林寺では、ライトアップを開催。日程に余裕があれば一泊するのもいいでしょう。
フリーきっぷを利用するなら、金沢から日帰り利用という手もあります。源泉100%の日帰り温泉施設「和倉温泉総湯」や、無料で利用できる足湯もあり楽しめます。


【4】武生(福井県)
福井県の武生は、昔ながらの街並みが残り散策にもってこい。白壁の蔵が立ち並ぶ「蔵の辻」にはカフェなどもあります。

「カラスのパン屋さん」などで知られる絵本作家・かこさとし氏の故郷であり、「かこさとしふるさと絵本館」では、童心に帰り、絵本の世界感を堪能できます。



【5】高岡(富山県)
城下町として栄えた高岡は、レトロな建物が多い町。奈良、鎌倉に並ぶ日本三大仏に挙げられる高岡大仏もあります。国宝・瑞龍寺では毎週日曜日午前5時15分~6時10分に早朝坐禅会も実施され、心身のメンテナンスにもおすすめ。



◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表(https://www.travel-k.com/)。旅ブログも行っている(http://www.murata-kazuko.com/)。
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