本が流れている生活の中で、1日平均2冊を読み切る
今年の1月からアマゾンのAudible(プロのナレーターが朗読した本を音声で聴けるサービス)が定額の「聴き放題」になったことで(一部有料書籍もあり)、勝間さんの読書スタイルは一変した。
「皆さんがイメージするよりもずっと多い時間、私の生活の中では1日中、本が流れています。移動時間だろうが、寝るときだろうが、家事をしているときだろうが、仕事のように、頭の中で何かを言語で考えなければいけない時間以外は本が流れています。言語で考えなければいけない時間は、頭の言語と読書の音声の言語がバッティングしてしまうので、その時間だけは止めています。皆さんがテレビを見たり、ネットサーフィンをしている時間を読書に当てていると思ってください。
紙の本は紙でしか売ってない場合にしか買わないので、紙の本を読むのは月に1~2冊あるかないかです。ほとんどがAudibleとKindle(電子書籍) の読み上げ機能を利用していて、読書ペースは平均するとだいたい1日に2冊ぐらいかな」
「いまいち」と思った本は、途中でやめていい
一般的に私たちには、「本を買ったら最後まで読まなければならない」というバイアスがかかっているものだが、つまらなかったら途中でやめてもいいと勝間さんは言い切る。
「皆さん勘違いしてるのですが、いい本かどうかなんて、読んだ後にしかわからないんです(笑い)。だから気になったタイトルに出会ったら、バンバン買って読み始めてみて、もしいまいちだったらその先は読まなくていい。いい本かもしれないなと思ったものだけを読み続ければいいんです。
本って、1000円しないものも多いですし高いものでも2500円くらいでしょ? つまらないのに読み続けるなんて、その時間のほうがよっぽどもったいないですよ。もしそれが嫌なら、Kindle Unlimited(月額定額制で小説や漫画、写真集などが読み放題になるアマゾンのサービス)や、 Audibleなどの月額固定課金のシステムを使ってみてはどうでしょうか。それも嫌なら図書館に行けばいいのですが、私は図書館に行く時間のほうがもったいないと思うんですよね」
翻訳書がさらに有益な理由
どんな本を読もうか悩んでしまうことは多々あるが、そんなときこそ手に取ってほしいと勝間さんがすすめるのが翻訳書だ。
「翻訳書に関しては、ある程度、定評のある著者の新刊が出たら必ず読みます。そもそもアメリカにしてもヨーロッパにしても、本を出すハードルがまず高い。その上、海外で出版された本を日本の出版社が版権を買って、それをわざわざ翻訳してくれるということは、よほど売れる見込みのあるものしか発売しませんので、その二重のハードルを越えているから“はずれ”も少ないのです」
話題の小説やマンガも読む
とはいえ、つねに難しい翻訳書ばかりを手に取るわけではない。楽しむために読むという、読書の目的を忘れているわけではない。勝間さんは、マンガ雑誌『モーニング』を定期購読しているほど、マンガ好きでも知られている。
「小説も話題になったものを月4~5冊読んだり聞いたりしますし、話題のマンガや知人にすすめられた小説もだいたい目を通しています。最近は、麻薬や臓器の密売に関する小説『テスカトリポカ』(佐藤究著/KADOKAWA)をすすめられて、面白く読みました。
かつてリアルタイムで読んでいた『ナース・ステーション』という有名な漫画の作者・島津郷子(しまづ・きょうこ)さんが、ご自身がパーキンソン病になったことを描いたエッセイ漫画(『漫画家、パーキンソン病になる。』/ぶんか社コミックス)も、ここ最近ずっと読んでいました」