
栄養豊富で「不老不死の果実」と呼ばれることもあるいちじくは、夏からお店に並び始め、秋までが旬です。実の大半が水分にもかかわらず、たっぷり栄養が詰まっているといういちじくについて、野菜ソムリエプロの福島玲子さんから詳しく教えてもらいました。
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お腹にやさしいいちじくの栄養価
いちじくの栄養は、腸内環境の改善に効果があるものが豊富。さらに、女性にうれしいむくみ改善やアンチエイジングに効果的な栄養も含んでいます。
食物繊維が豊富で腸内環境を改善
食物繊維には不溶性と水溶性のふたつがありますが、いちじくには両方含まれています。
とくに、水溶性の食物繊維であるペクチンが豊富です。水溶性の食物繊維にはコレステロールや糖質の吸収を抑える働きがあり、食後の血中コレステロールや血糖値の上昇を抑える効果があります。さらに、ペクチンには腸内の善玉菌を増やす働きもあります。
一方、不溶性食物繊維は腸の動きを刺激するので、便秘予防の効果も期待できます。

たんぱく質分解酵素で消化を助ける働きも
いちじくをカットしたときに出てくる白い液体は、フィシンというたんぱく質分解酵素です。
フィシンはたんぱく質を分解するので、肉などと一緒に食べたときに消化を助ける働きがあります。いちじくを生ハムと合わせることがありますが、これは味だけでなく消化にもいいんですよ。

でんぷんを分解するアミラーゼや脂質を分解するリパーゼといった消化酵素も含まれ、消化を促進するので、食後のデザートとしてもおすすめです。
むくみやアンチエイジングにも効果的!
いちじくにはむくみ予防や血圧上昇を抑える働きのある、カリウムも多く含んでいます。そのほか、ポリフェノールの一種であるアントシアニンも豊富です。高い抗酸化作用があり、動脈硬化や老化の原因になる活性酸素を取り除くので、アンチエイジングに効果が期待できます。
品種によって異なるいちじくの味わい
いちじくの品種と特徴を知ることで、よりおいしく食べることができると思います。

国内で主に流通している「桝井(ますい)ドーフィン」という品種のほかに、最近は小ぶりでほのかな酸味がある「蓬莱柿(ほうらいし)」や糖度が17度で甘みの強さが特徴の「とよみつひめ」といった品種もスーパーに並ぶようになってきました。また、黒いちじくとも呼ばれている、小ぶりで甘みが強いフランス原産のビオソリエスなど、いちじくにはさまざまな品種があります。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ