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1日2冊ペースで本を読む勝間和代さん、「1行でも2行でも素晴らしいと思う点があれば、その本は素晴らしい本」

過剰期待せず、読書は気負わず「だいたい」でいい

Audibleは再生スピードも好みのスピードに設定でき、「ながら読書」に適しているが、気になったことをメモしたり、知らない言葉が出てきたときは、いちいち朗読を止めてから調べなければならない。その点が紙の本に比べて少し厄介だが、勝間さんはそんなデメリットを一蹴する。

勝間和代さん
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「私はAudibleを流し出したら、気になる言葉やわからない言葉が出てきても、止めずに流しっぱなしにしています。皆さんは、本に対して過剰期待しすぎているのです。端から端まで読まなくていいし、片っ端から忘れてもいい。だいたいでいいんですよ。1冊の本が丸々すべて素晴らしいなんてことはまずありません。1行でも2行でも素晴らしいと思う点があれば、その本は素晴らしい本なのです。

テレビを見たりラジオを聞いたりしている時に、聞き逃したと思っても戻って聞くことはできませんよね。そもそもテレビやラジオを、明日すぐに役に立つだろうと期待して見たり聞いたりはしていないと思います。だから本も質より量を聞いて、『なんとなく役に立てばいいや』ぐらいのゆるい感じで十分。量を読めば読むほど、意識的にも無意識的にも情報が蓄積されていくという感じです。

ちなみに私がここ数日読んでいるのは、将来どんな役に立つのかわからない本ばかりです(笑い)。ここ2日間はヒトラーの自伝みたいなものをずっと読んでいましたし、今日読み始めたのは、歴史をエネルギーという観点から見つめた本です。ヒトラーの話は結構面白かったのでサクサク聞き進められたし、エネルギーの本もまあまあ面白かったのですが、少し前に読み始めた“死生観の無意識”に関する本はなかなか進まなくて、そろそろやめようかなと思っています」

「速読」は言葉をかたまりで解釈するのがカギ

1日に平均2冊というペースで本を読み切るために勝間さんがすすめているのが、「速読」や「フォトリーディング」(脳の活字情報の処理能力を活かした読書法)だ。どちらも専門のトレーニング機関があるほど本格的なテクニックだが、初心者が始めるにはまず意識すべきことがあるという。

「速読」のコツとは?(Ph/AFLO)
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「言葉を一語一語、解釈しなくていいんです。そうではなく、言葉のかたまりの中で筆者が何を言いたいのかということを解釈する習慣を、普段の会話から練習したほうがいいと思います。だから言語外(非言語)コミュニケーションが苦手な人はたいてい本を読むのも苦手で、言葉をその言葉通りにしか受け止められない人が多い傾向にあります。

誰だって言っていることと考えていることは違うし、言いたいことをすべて言葉にできるわけじゃないですよね。翻訳者を含め、言葉自体を読み過ぎている人が多いと私は思っています。書いてある言葉の裏側で、著者が何を言いたいのかという言語外コミュニケーションについて想像する力を養うことが大切です。

これは慣れれば必ずできるようになります。普段の会話自体が基本的には言語外コミュニケーションですから、相手の言葉をそのまま受け取るのではなく、言葉の裏側にある思考を読み取るトレーニングを続ければ速読にもつながっていきます」

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