家事・ライフ

専業主婦から社長になった薄井シンシアさん、専業主婦を雇用して感じた「覚悟」がいかに大切か

専業主婦の経験や人間力に期待し積極採用

自分がかつて専業主婦だったこともあって、採用面接の時点で専業主婦・元専業主婦だという人のことも、これまで積極的に採用してきました。3つ目のホテルが開業する前の時点(社長就任9か月)で12人です。そこには、管理職として引き抜いた、自身のホスピタリティー講座の生徒でもある元専業主婦1人、離職期間10数年の専業主婦も数名いました。

シンシアさん
ホスピタリティー講座時のシンシアさん
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採用の条件は、端的に言えば一つだけ。覚悟です。やる気があるかどうか。新しいことを学ぶ意欲があるかどうか。これに尽きます。

確かに、専業主婦から働き始めたばかりの人は、すぐには戦力にならないかもしれません。組織で働くことに慣れていなかったり、パソコンをはじめとする基本的なスキルが不足していたりもします。でもそれは、仕事に就いてから実地で学んでいけることです。

シンシア
やる気があるかどうか、新しいことを学ぶ意欲があるかどうかが大事
写真8枚

専業主婦が家計を運営したり、家族が快適に過ごせるように気配りをしたり、家事をいくつも同時並行でこなしたりしてきた経験は、仕事にだって役に立つものと私は信じています。特に、子育てを終えた中高年の専業主婦のかたは、人間として成熟しているはずで、そこは若い労働力に勝る点だと思うのです。

離職期間長い専業主婦は「ほとんど退職」という現実

しかし、正直な話をしますと、専業主婦の方々がそのポテンシャルを職場で発揮することなく辞めていく例も、実は非常に多いです。私たちのホテルでは、何人ものかたが退職されました。

この離職状況を聞くと、「ブラックな会社なのだろう」「パワハラがあるのではないか」と思われるかもしれませんが、私はそうではないと思っています。当社では週に2日だけ、4時間ずつなど、働き手の希望に合わせた短時間の勤務を可能にしてきました。そんな中、退職されたのは、専業主婦の方だけでした。ですが、実際、働き続けている元専業主婦で現在管理職や契約社員の人もいます。

薄井シンシア
同じ専業主婦でも仕事を続ける人、辞める人の差を明かす
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では、なぜ同じ専業主婦でも仕事を続ける人、辞める人がいるのか。先ほどお話ししたレジ打ちから優秀なフロント係になった女性の例を出したいと思います。彼女はシングルマザーです。自分が稼がなければ子どもたちを育てられないので、一生懸命にもなります。つまり、仕事を続けている女性にはそれだけ働く「覚悟」があったということです。覚悟がないと、慣れない仕事で注意されたら、「やっぱり私には無理」と早々に見切りをつけてしまうことになってしまうのではないでしょうか。