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「物置部屋を作る」ことはなぜキレイな生活空間への近道に?片付けの達人が語る

きれいなリビング
片付けが苦手な人は、物置部屋を作るのがきれいな部屋の近道?(Ph/photoAC)
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思い出が詰まったものたちとの別れは、決断しにくいもの。捨てられないから、片付かない…と思っていませんか? そこで、幸せ住空間セラピスト・家事効率化支援アドバイザーで、20年以上にわたり片付けに悩む家庭の現場を見てきた古堅純子さんから、“捨てることからはじめない”片付け法を教えてもらいました。

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物が捨てられない人につくってほしい物置部屋

家に物があふれているけれど、捨てたくないというお客さまはたくさんいます。だから整理整頓ができないと考えがちですが、物を捨てなくても片付けはできますよ。

使いにくい部屋を物置部屋にする

私がおすすめする手っ取り早い片付けの方法は、家の中で比較的使いにくい部屋をひと部屋つぶして、そこに使わない物や捨てられない物を寄せて物置部屋にすることです。少し抵抗があるかもしれませんが、ひと部屋つぶしてしまっても、ほかの部屋で快適に暮らせればよしとするのが、片付いた家への第一歩です。

物が散らかっている
使いづらい部屋を物置部屋に(Ph/photoAC)
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使いにくい部屋というのは、生活動線上になく、物置部屋にしても暮らしに差しつかえない部屋を指します。例えば、1階の部屋と比べて、登り降りが面倒な2階の部屋はあまり使っていない、ということはないでしょうか?

バックヤードのような物置部屋で無駄買いも予防

物が多くてなかなか理想の居住空間が思うように実現できない人こそ、使っていない物をどんどん物置部屋に移動させましょう。そもそも今使わない物はいつもいる場所になくても暮らしにはそれほど支障はありません。物がなくなったことで空間が蘇ると、視界がひらけて生活の中での意識が変わってきます。

きれいに整理された収納部屋
物置部屋はバックヤードを意識すると◎(Ph/photoAC)
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物置部屋へ運び入れるときのコツは、時間ができたときに整理をするために、秩序をもって見えるように並べることです。在庫を並べるバックヤードのように、家にあるものがひと目でわかるようにしましょう。

トイレットペーパーなど、ふだん使いの日用品や、乾物や砂糖、お米や水などの日持ちする非常食などの食料品は稼働するものなのでできるだけ手前に置き、棚に並べて可視化しておくと、二重に買うことを防げます。物が多く何をどのくらい持っているか把握できていない人は、「必要かもしれない」と何度も同じものを買ってしまい、ますます物が増えるという悪循環になっているケースがよくあります。

食品ストック
ストックがわかるようにすることで無駄な買い物を削減!(Ph/photoAC)
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物が多すぎる場合、まず段ボールに入れてもOK

物が多すぎて収拾がつかないという人は、ダンボールに入れて積み重ねてもいいです。ただし、一度段ボールに入れてしまうと、中身を開けないまま、何年も放置されて、“動かない岩”のようになってしまうので注意して下さい。

ただ先ほどお伝えした通り、現在使っていない物は家になくても問題ないものです。捨てるか? 捨てないか? で迷う人は、迷わず物置部屋に寄せておいて下さい。そして、時間にゆとりができたらしっかりと見直せばいいのです。ある程度時間が経てば、物の見え方や価値観が変わり、必要な物とそうでない物の判断がしやすくなるので、そこは焦らずに寝かせておいていいと思います。

物置部屋をつくれないときの解決法

物置部屋をつくるのが難しいというお宅には、こんな対処法があります。

一時的に寄せることで結果的に物の整理ができる

部屋数がかぎられているならば、一軒家ならガレージや庭、ベランダに物を寄せてもOKです。以前、激狭アパートの片付けの依頼を受けたときは、許可をもらってアパートの外廊下に一時的に物を並べました。

ガレージに置かれた物
部屋がない場合はガレージに物を一時的に避難する方法も(Ph/photoAC)
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こういったケースだと、いつまでも物をその場に放置しておけません。なので、また部屋の中に戻す必要があります。けれど、人は不思議なもので「せっかく部屋をきれいに片付けて、すっきりとした空間を作ったのだから、そこをまた物だらけにしたくない」と思うのです。

すると、たいていの人はあれもいらない、これもいらないと自分から言い出します。少なくとも、すべてのものを家の中に戻してほしいとは言いません。本人がいる物だけを部屋に戻し、部屋に入らない物は処分する、ということがほとんどです。こうすることで、物の取捨選択をすることにつながります。

捨てられない、でもスペースがない人におすすめの裏ワザ

物を動かす場所がないけれど、どうしても捨てられない、という人には、究極の裏ワザがあります。それは、物を部屋の片隅に寄せて、家具で隠してしまう方法です。

家具の裏に作った物置スペース
家具の裏に物置スペースを作るのも一手(Ph/photoAC)
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まず物だまりになっている使ってない物を、とりあえずブルドーザーのように部屋の片側にざっと寄せましょう。それを家具の後ろに隠してしまうんです。例えば、壁際にあった本棚を壁から1メートルほど離し、後ろにできた空間に寄せたものを隠します。

物を置く場所と生活する空間をしっかり分けて境界線をつくることで、生活空間は過ごしやすくなります。片付いた小スペースだけでもきれいをキープしながら暮らすことで、少しずつ片付けへの意識も変わっていきますよ。

◆教えてくれたのは:幸せ住空間セラピスト・古堅純子さん

古堅純子さん
幸せ住空間セラピスト、家事効率化支援アドバイザーの古堅純子さん
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幸せ住空間セラピスト、家事効率化支援アドバイザー。整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー2級認定講師、企業内整理収納マネージャーの資格を所持。1998年、老舗の整理収納サービス会社に入社。20年以上現場第一主義を貫き、クライアントのもとへ通う。5000軒以上の家でサービスを重ね、古堅式メソッドを確立。オンラインを含むコンサルティングやメディア出演や講演も行う。著書は累計60万部で、最新著は『「シニアのための なぜかワクワクする片づけの新常識』(朝日新聞出版)。YouTubeチャンネル「週末ビフォーアフター」は、1000万回再生を突破。チャンネル登録者数9万1000人(2022年4月現在)。https://s-d-m.jp/talents/jyunko-furukata/

構成/イワイユウ

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