健康を維持する方法のひとつにヘルシースナッキングという、間食を取り入れる方法があります。その間食として高カカオチョコレートを取り入れることを推奨しているのが『医師が教える 最強の間食術』(アスコム)の著者で医師の鈴木幹啓さん。そこで、高カカオチョコレートに含まれる栄養にどんな効果が期待できるのか教えてもらいました。
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高カカオチョコレートが「脳」「血管」「腸」健康に役立つ
健康を保つ習慣として、私は高カカオチョコレート(カカオ成分を70%以上含んだチョコレート)を「間食」として食べることをおすすめしています。なぜなら、健康を維持するのに重要な器官へ効果的にアプローチする栄養を多く含んでいるからです。
人間のあらゆる部位の中で重要でないものなどありませんが、食事で効果的な改善が期待でき、改善することでほかの部位にもよい影響をおよぼすのは「脳」「血管」「腸」の3つです。
「脳」「血管」「腸」の主な働き
そこで、「脳」「血管」「腸」がどんな役割を担っているか、それぞれの主な働きについて知りましょう。
脳…体のすべての器官の働きを統制する、メインコンピューターのような存在。脳の働きが悪くなれば、さまざまな器官もうまく機能しなくなります。
血管…血管の状態が荒れていたり、詰まっていたりして血流が悪くなると、必要な栄養素を体のすみずみへ届けることができず、脳細胞の働きも低下してしまいます。
腸…食べ物から栄養を吸収し、血管を通して体の細胞へ送り出します。
また、脳と腸は迷走神経を通してつながっています。脳がストレスを感じると交感神経が優位になり、消化機能が低下するなどの影響があります。「緊張するとお腹が痛くなる」という症状がまさにこれです。
逆に善玉菌が増えるなどして腸内環境がよくなると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が腸内で作られ、脳の不安感が減るなど、腸の状態が脳に影響を与えることもあります。
このように、脳・血管・腸はどれかひとつの働きが悪くなると、互いに影響しあい、体全体の不調へとつながっていきます。
高カカオチョコレートは「脳」「血管」「腸」にどんな効果?
「脳」「血管」「腸」の3つを同時に健康にしたいものですが、それぞれの器官にいい栄養素それぞれを食事で摂るのは大変です。でも、高カカオチョコレートなら、3つすべての働きを助ける栄養素や成分を摂ることができます。
認知機能や記憶力・集中力を高める
高カカオチョコレートに含まれるカカオポリフェノールは、脳の活動をサポートする成分「BDNF(ビーディーエヌエフ)」を増やす働きがあるといわれています。BDNFは年齢を重ねるほど減っていくという研究結果が報告されており、カカオポリフェノールを摂取することで脳の血流量が増え、BDNFを含む血流が増加することによって脳の認知機能が高まる可能性があります。
さらに、カカオから発見された苦味成分の「テオブロミン」には、血管を拡張させる作用があります。中枢神経の血管を拡張させることにより、記憶力や集中力を高める働きがあるといわれています。
傷ついた血管を癒やし、血液をサラサラにして病気を遠ざける
命に関わる病気でもある脳卒中や心筋梗塞は、血管の壁がもろく壊れやすくなったり、血管が硬くなって血液が通りにくくなったりすることが原因。
高カカオチョコレートには「カカオポリフェノール」を代表とする、血管を修復し強くする成分が含まれています。そして、血管の炎症をおさえ、血液をサラサラにして血流も期待できるのです。また、カカオポリフェノールに含まれる「フラボノイド」には血管をしなやかにする働きがあることからも、高カカオチョコレートが血管の健康を保つのに効果的といえます。
さらにカカオポリフェノールには、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールが増えるのをおさえる作用もあり、さまざまな面から血管を健康な状態に導いてくれます。
食物繊維で腸内環境を改善!
高カカオチョコレートは「食物繊維」が豊富な食べ物です。カカオに多く含まれる食物繊維のひとつ「リグニン」は水分を吸収してふくらみ、便のカサを増やして腸の動きを刺激する働きがあります。さらに乳酸菌やビフィズス菌といった、体によい作用をもたらす善玉菌を増やすエサにもなります。これらの働きによって便通が快調になるなど、腸内環境を良好にキープすることができます。
また、「カカオプロテイン」という難消化性のタンパク質は、大腸の細胞の材料やエネルギーになったり、食物繊維と同様に善玉菌のエサにもなったりと、健康な腸をサポートします。