
日々、せっせと片付けているのに、またいつのまにか散らかってしまう…。20年以上にわたり片付けに悩む家庭を見てきた、片付けのプロ・古堅純子さんの元にも多く寄せられる悩みなのだそうです。そこで、幸せ住空間セラピスト・家事効率化支援アドバイザーとして活動する古堅さんに、片付けたあとに物が散らからないコツを教えてもらいました。
【目次】
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ダイニングテーブルを「更地」にするべき理由
せっかく片付けをしたのに、すぐまた物で散らかってしまっては元も子もありません。特にリバウンドしがちな場所のひとつが、毎日食事をするキッチンやダイニングです。
ダイニングテーブルから家全体が散らかることも
ダイニングテーブルが物だらけになってしまうのは、“ちょい置き”が原因です。鍵や携帯電話、チラシ、メガネ、ペン、財布などの雑貨から、食事をする場所ゆえにしょうゆやソースなどの調味料や爪楊枝、箸置きなどを出しっぱなしにしている家庭も多いでしょう。

しかし、ひとたび“ちょい置き”が始まると、なし崩し的に物が増えていって、やがて溜まってしまいます。この“物溜まり”が、やがてテーブルからいすに移行し、さらにソファーや床に広がっていくのです。
こうして、ダイニングテーブルが散らかると、やがて家全体に“物溜まり”が増えていくという悪循環が生まれます。ですから、日々使ったモノは置きっぱなしにしないで元に戻し、ダイニングテーブルの上は常に「更地」に戻す。このように、まずは何もない空間に戻すことを習慣づけるよう、心がけましょう。
ダイニングテーブルはアイランドにするのがおすすめ
ダイニングテーブルの一辺が壁やカウンターに接しているレイアウトだと、接した場所にふきだまりのように物が溜まっていきます。壁があるので、物が落下する心配がなく、つい置いてしまうのです。

それを防ぐには、ダイニングテーブルを壁から離して、アイランド型に独立させてみましょう。アイランドにすると人が始終テーブルの周りを歩きますし、どの場所に置いても物が落ちやすい気がして、“ちょい置き”がためらわれます。テーブルの上の物がかなり減るはずですよ。
テーブルの上にあった物はワゴンに移動
人によっては薬やティッシュ、調味料など、どうしてもダイニングテーブルの上に置きたい物があるかもしれません。それらは、テーブルのわきに小さなワゴンを用意して置くといいですよ。キャスター付きのワゴンを選べば、掃除もラクです。

ワゴンの上ならいくら散らかしてもOKで、“ちょい置き”するならばワゴンの上だけと決めておけば、ダイニングテーブルの上はいつも「更地」が保てますよ。
キッチン&ダイニングを散らかさない小ワザ
キッチンまわりも、普段遣いの物をワンアクションにするだけで清々しい空間がキープできます。日常に役立つ、ちょっとしたワザを伝授します。
デイリー使いの物はワンセットにしておく
キッチンが散らかりがちな家庭は、お茶碗だから食器棚に、お箸だからカトラリーの引き出しに、などアイテムごとの分類にこだわっていることが多いです。けれど、必要なものを取ったりしまったりするたびに、あちこち動かなければならず、それが理由で元に戻すのが面倒になって散らかる原因になるのです。
そこで、家族の使用頻度が高いデイリー使いの物は、ワンセットにしておくのがおすすめです。

例えば、炊飯器の近くに、お茶碗とお箸としゃもじを収納しておけば、使うときもしまうときも動作がひとつの場所で終わります。もし、家族にお酒を飲む人がいるならば、グラスやマドラー、酒類をまとめてワンセットにして冷蔵庫のわきにおけば、キッチンの中を行き来しなくてもすべての用事がひとつの場所でまとめられます。
デイリー使いのセットはトレーにまとめて置いておくことで、一気に運ぶことができますし、他のものと混ざらないので使い勝手がいいですよ。また、一度に片付けることができるので、ダイニングテーブルの上も散らかりません。
捨てられない缶や箱はふたをとって使う
お菓子でもらったきれいな缶などが捨てられず、キッチンやダイニングに溜まっている家庭もよく見かけます。中身が見えない箱に物を収納すると中に何が入っているのか忘れて、いつのまにか缶や箱がたくさん…ということがありますよね。
けれどいちいち、これらのふたを開け閉めするのは面倒で使わなくなります。使うことも片付けることもおっくうになって放置された物が、どんどん“物溜まり”になってしまうのです。

どうしても使いたい、すてきなデザインの缶や箱は、引き出しの中で仕切りとして使いましょう。引き出しの中が箱で仕切られていると物が出し入れしやすくなります。このとき、箱のふたは取り、引き出しの中身がひと目でわかるようにして、ワンアクションで取り出せるように活用しましょう。
◆教えてくれたのは:幸せ住空間セラピスト・古堅純子さん

幸せ住空間セラピスト、家事効率化支援アドバイザー。整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー2級認定講師、企業内整理収納マネージャーの資格を所持。1998年、老舗の整理収納サービス会社に入社。20年以上現場第一主義を貫き、クライアントのもとへ通う。5000軒以上の家でサービスを重ね、古堅式メソッドを確立。オンラインを含むコンサルティングやメディア出演や講演も行う。著書は累計60万部で、最新著は『「シニアのための なぜかワクワクする片づけの新常識』(朝日新聞出版)。YouTubeチャンネル「週末ビフォーアフター」は、1000万回再生を突破。チャンネル登録者数9万1000人(2022年4月現在)。https://s-d-m.jp/talents/jyunko-furukata/
構成/イワイユウ