
日常のどんな場面でも臨機応変に対応できる女性は、知的で魅力的に映ります。何気ない会話でも「ちょっとだけ言いかえる」「ひと言プラスする」と、言葉に「品」が宿ります。そのような品格を上げるコツを、「名前に関するトラブル対応」に絞って、『「ふつうの人」を「品のいい人」に変える 一流の言いかえ』(光文社)著者でマナースクール代表の諏内えみさんに聞きました。
名前に関するトラブルを乗り越える、上品な受け答え
名前を間違えたり忘れてしまうと、相手を不快にさせてしまうこともあります。突然お会いしたときなどは、度忘れをすることもあります。どのように対応すればいいのでしょうか。
「お名前がわからないときには、ごまかしたりせず、正直にお聞きするのが一番です。名前を間違えたり忘れられて不快に思うのは、自分に関心がない、大切に思われていないと感じてしまうから。そのようなときは、“私は名前を覚えるのが苦手で”と添えて、あなただから忘れたのではなく、自分の記憶力のせいで… と伝えてみましょう」(諏内さん・以下同)
ケース1|相手の名前を間違えた場合
会話の途中で相手の名前や肩書を間違えていたことに気づいたら、どうすればいいのでしょうか。
◆「…(謝るべきかスルーすべきか、どうしよう…)」→【品のいい言いかえ】「申し訳ありません!お名前を勘違いしており失礼いたしました」
「相手は自分の名前なので、間違いに気づいているはずです。躊躇せずに、すぐに謝るべきです。別れてから気づいた場合も、メールなどで詫びます。“過ちはすぐに詫びる”が鉄則です」

ケース2|相手の名前を忘れた場合 【1】
相手の名前を忘れてしまった。どうしても思い出せない。元々覚えていなかった、ということもあります。どう声をかけるのが正解でしょうか?
◆「あ、どうも。お元気ですか…?」→【品のいい言いかえ】「恐れ入ります、もう一度お名前を伺ってよろしいですか?」
「忘れてしまったことをごまかしたりせず、正直に尋ねましょう。話しながら思い出そうとすると話に集中できず、余計に不信感を与えてしまいかねません」

ケース3|相手の名前を忘れた場合【2】
過去に会っている相手の名前を思い出せないと、なんとも気まずいものです。とはいえ、思い出せるかもしれないと話を合わせていると、ボロが出てかえって相手を傷つけるかもしれません。早めに名前を聞くしかないのですが…。
◆「すみません、お名前は?」→【品のいい言いかえ】「確か、半年ほど前にお会いしていたかと…お名前なんとおっしゃいましたっけ?」
「“あなたのことを全く覚えていない”となると、相手をガッカリさせてしまいます。“○○でお会いしましたよね”“△△さんとご一緒のときでしたね”など、ひとつでも記憶にあることを相手に伝えることが社交としては正解です」

ケース4|相手のことをまったく思い出せない
「ごぶさたしています」と親し気に声をかけられたのに、相手の情報を何ひとつ思い出せないと、どうしようかと困ってしまいますね。こんなときでも、一工夫で相手を不快にさせずにすみます。
◆「すみません、どなたさまでしょうか?」→【品のいい言いかえ】「お顔はハッキリ覚えているのですが、どちらでお会いしましたでしょうか?」
「まったく覚えていないことを悟られないようにするのは心づかいのひとつです」

◆教えてくれたのは:マナースクール ライビウム代表・諏内えみさん

結果を出すマナースクール 「ライビウム」、難関幼稚園や名門小学校の高合格率「親子・お受験作法教室」代表。オンラインレッスンから、レストランでのテーブルマナーや個別レッスンも受けられる講座「Class the SUNAI」が人気。「やんごとなき一族」を始めドラマや映画での女優のエレガント所作指導に定評がある。「世界一受けたい授業」「ホンマでっか!?TV」「王様のブランチ」などテレビでも活躍中。 “品のいい伝え方”がテーマの新刊『「ふつうの人」を「品のいい人」に変える 一流の言いかえ』(光文社) など著書多数。https://www.livium.co.jp/profile/
取材・文/小山内麗香