エンタメ・韓流

森高、ジュリー、河島英五ほか…ほろ酔いドロ酔い、涙がツマミ。歌とお酒の関係はやっぱりほろ苦い

アサヒ生ビール「Z」のCMにも爽やかに出演した森高千里(写真は1992年、Ph/SHOGAKUKAN)
写真6枚

梅雨明けと同時に、記録的猛暑の日々が日本各地にやってきました。そんな夜はキンキンに冷えたビールで暑気払いといきたいところですが、1980〜1990年代のエンタメ事情に詳しいライター田中稲さんが提案するのは、ずばり「歌飲み」です。名曲の「お酒」に酔うのも一興ではないでしょうか。

* * *

「とりあえずはビール」!ビールCMは名曲多し

史上最高気温を叩き出している今年の夏。まだ7月なのにこれからどうなるのだろう。暑いからビールがとてもおいしい……。とはいえ、リアルでドロ酔いすると迷惑がかかるので、せめて「記事で歌飲み」をしてみようと思い立ったわけである。

さて、「とりあえずは生で!」ということで、まずは三好鉄生(現在の芸名は三貴哲成)さんの『すごい男の唄』。1987年発売、今から35年も前の歌だが、私の中ではいまだにビール曲ベストワンである。居酒屋でテーブルに着くやいなや「あ、全員生ビールね」と、「はーい、端の方から回してあげて」とジョッキを渡していく、あの乾杯直前のザワメキが聞こえてくるような1曲だ。

この曲が使用されたサントリービールのCMでは、作家の椎名誠さんが出演。椎名さんがこの歌と海をバックに、そりゃもうおいしそうにビールを飲む、というワイルドこの上ないシーンはよく覚えている!

森高千里さんが「おーい、Z冷えてるよ♪」と呼びかけてくれる1994年のアサヒ生ビール「Z」のCMソング『気分爽快』も良かった。ぷっはー、喉に沁みる!

歌謡曲ではないが、ビールを語るうえでジプシー・キングスの『ボラーレ』もどうしても避けては通れない。プシュッと缶を開けた瞬間「ボーラーレッ! オーオー♪」という熱いシャウトが脳内を巡る方、わかる、わかるぞ! あの曲はビールをおいしくする魔力がある!

もちろん「しみじみ」とビールを飲みたいときもある。休日、肩の力を抜いてホッと一息ついたあとグビッ。そんなときは、吉田拓郎さんの2013年「アサヒふんわり」のCMソングで流れた『ガンバラナイけどいいでしょう』がおすすめだ。年内で芸能活動を終了する吉田拓郎さん、名曲がいっぱいだ。

歌においてワインは「恋心」、日本酒は「涙」

「とりあえずビール」から、本格的に飲む姿勢を整え、さあ、次はワインだ。

ロマンティックな大人のラブソングにワインは欠かせない。天然の惚れ薬ともいわれるフェニルエチルアミンが含まれているそうだ。が、そんなウンチクはどうでもいい、重要なのは美しく深いレッド!

『ワインレッドの心』の作詞は井上陽水だった(写真は1985年、Ph/SHOGAKUKAN)
写真6枚

安全地帯は『ワインレッドの心』、チャゲ&飛鳥は『恋人はワイン色』と歌っている。もっと言えば、歌においてワインは単なる飲み物ではなく恋そのもの。沢田研二さんが歌う『あなたに今夜はワインをふりかけ』という名曲も、タイトルだけ読めばどんな趣向の方なのかと戸惑うが、「ワイン」を「恋心」に変換すれば納得。素晴らしく情熱的だ。

ワインの歌は1978年発売の『サムライ』のB面としてリリースされた(写真は1978年、Ph/SHOGAKUKAN)
写真6枚

さて、ワインが「恋心」の具現化なら、日本酒は「涙」とイコール。河島英五さんの『酒と泪と男と女』や吉幾三さんの『酒よ』など、哀しみと深く関わる歌謡曲・演歌で「酒」と出てきたら、つい日本酒が浮かぶ。

焼酎でいえば「いいちこ」のCMソングを長らく担当しているビリー・バンバンの声が即効で脳内を駆けめぐる。もはや逆パターンも然りで、ビリー・バンバンを見ればいいちこが飲みたくなる。なんと理想的な酒とアーティストの関係!!

ピアノ弾き語りで熱唱する河島英五(写真は1987年、Ph/SHOGAKUKAN)
写真6枚
関連キーワード