皮膚疾患だけじゃない、脱毛症状のある病気
換毛期のような、基本的には問題のない抜け毛と違って、注意が必要な抜け毛もあります。
「1か所に集中して毛がごそっと抜ける場合や、毛が抜けたあとの皮膚が赤くなったりかさぶたができたりしている場合、かゆそうにしたりフケが多く出たりしている場合は皮膚疾患の可能性が高いです」
犬の皮膚疾患は、アトピー、アレルギー性のものや、ノミ、ダニといった寄生虫によるもの、細菌や真菌、酵母(マラセチア)の感染による炎症、心因性のものなど、種類はさまざま。脱毛が気になるときは、動物病院で疾患を突き止めて、原因に合わせた適切な治療を行うことが大切です。
「病院で脱毛の原因を解明する際には、飼い主さんの問診も重要な手がかりとなります。犬の年齢や性別などの属性情報に加えて、普段の食事やおやつの内容、使用している食器、飼育環境や散歩のコース、病歴や疾患と関係がありそうな最近の出来事、犬の様子からうかがえるかゆみのレベルなどを獣医師に伝えられるといいでしょう」
内臓疾患の影響が皮膚に出て脱毛が起きることも
皮膚疾患ではなく、内臓疾患の影響が皮膚に出て脱毛が起きることもあります。この場合は、皮膚以外にもなんらかの異常が見られることが多く、例えば、食欲や体重が大きく増えたり減ったり、水を大量に飲んだり、興奮したり、逆に元気がなかったりといった変化が見られます。
「そうなると、動物病院で血液検査などをして原因を調べることになります。副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症、性ホルモン疾患、糖尿病、亜鉛欠乏症などで脱毛の症状が出ることがありますね」
毛づやも、やはり犬の健康度を表すバロメーターの1つ。ブラッシングしながら、毛や皮膚の状態を日頃から観察して、愛犬に末永く元気でいてもらいましょう。
◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実
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