夏野菜のイメージがあるナスですが、野菜ソムリエプロの福島玲子さんによると秋ナスは皮が薄くなって食べやすくなり、旨みや甘みが増すのだそうです。その理由と、おいしいナスをいただくための、選び方のポイントや正しい保存の方法を教えてもらいました。
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夏ナスよりも甘くて皮が柔らかい秋ナス
秋ナスの「秋」は旧暦の季節を表しているので、現在の秋よりも少し早い時期を指します。立秋(2022年は8月7日)を過ぎてから、ちょうどよい暑さの季節に早く育つものが秋ナスです。晩夏から初秋にお店に並ぶ秋ナスは、夏ナスよりも身が引き締まっていておいしいと言われています。
秋ナスは真夏よりも昼夜の寒暖差が増し、日差しがやわらかくなった時期に育ちます。涼しさによって実が引き締まるので、高い気温と強い日差しを浴びた夏ナスよりも、皮が薄くて柔らかく、しっとりと水分を含んで育つとされています。種も夏ナスと比べて少なめで、甘みも増します。
暑い時期に強い日差しを受けて育つ夏ナスは、過酷な環境で栄養をたくさん消費します。比べて秋ナスは穏やかな光を浴びて栄養がたっぷりと残り、旨み成分のアミノ酸や糖が増えて甘くなると言われています。
新鮮なナスはヘタで見極める
ナスは水分をたっぷり含んだ、採れたてのものが一番おいしい野菜です。収穫から時間が経って水分が抜けるにつれて、旨みも一緒になくなってしまうので、新鮮なものを見極めましょう。
ヘタのとげが尖っていると◎の理由
ナスを選ぶときに特に気にかけたいポイントは、ヘタの部分です。ナスにはヘタにとげがありますが、このとげがしっかりと尖るように立っているものほど、鮮度がいいと言われています。
見た目はハリがあり、表面にツヤがあるのが新鮮な証拠です。重さは持ったときにずっしりとしているものがいいですよ。軽いものは瑞々しくなく、実も締まっておらず、おいしさがいまいちのものが多いです。
ヘタに沿った実の色も目利きポイント
ヘタに沿った実の部分が白くなっていたり、色が薄くなっているナスを見かけることがありますよね。ナスは夜間に実が成長し、日が高くなって日光を浴びるにつれてヘタに沿った実の部分が着色します。つまり、白くなっているということは、早朝に収穫したという証なんです。
昼や夕方の温度が高くなった状態で収穫されたものは、収穫後に実の水分が蒸発しやすく、傷みが早くなると言われます。ですから、白くなっているもののほうが、日持ちが少しよくなります。買うときに見比べてみてくださいね。