薄毛や白髪に加えて、髪のツヤがなくなると、見た目も老けてしまいます。『「髪が増えるしくみ」から考案 頭皮が蘇るすごいマッサージ』(アスコム)の著者で管理理容師・理容師・ヘッドスパ経営者の辻敦哉さんによると、そんな悩みを改善するためには、健康な髪の生育を邪魔する外的要因を解決してからケアをするべきだそうです。そこで、その理由や市販のシャンプーの選び方、髪のトラブルに悩む人におすすめの、手作り粉シャンプーの作り方も教えてもらいました。
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水道水ですすぐのがNGの理由と対策
辻さんによると、スマホなどによる眼精疲労、ストレス、頭皮に合わないスタイリング剤や、シャンプーの界面活性剤、シャワーで使う水道水の塩素、紫外線…これらが原因で、現代人の頭皮は健康な髪が生えづらい痩せた土台になりやすい環境にあるといいます。中でも特に影響の大きいという水道水の塩素について解説してもらいました。
頭皮環境を悪化させる、水道水の塩素
水道水に含まれている塩素は、頭皮の刺激になるだけでなく、頭皮環境を悪化させる可能性があると、辻さんは話します。
「日本の水は安全基準が厳しいので、塩素の濃度が高いと言われています。塩素は安全な水を届けるための消毒剤ですが、殺菌効果が高いために、頭皮を守り、髪の毛を育成する常在菌まで減らしてしまうのです。常在菌のバランスが崩れると脱毛につながる心配もあります。また、髪にとって大切なケラチンというたんぱく質を破壊する可能性もあるんです」(辻さん・以下同)
水道水の塩素を除去する方法
水道水の塩素から髪を守るには、塩素除去ができる市販のシャワーヘッドに交換することがおすすめだそうです。市販のシャワーヘッドに交換できない場合は、塩素を除去するタブレットを湯船に入れて、そのお湯で髪を洗えばOKです。
育毛効果が変わるシャンプーの選び方
CMのイメージやパッケージの印象、香りなどでシャンプーを選んでいませんか? なんとなく選んだシャンプーが、育毛を阻害しているかもしれません。
市販のシャンプーの成分が健康な髪に影響?
辻さんによると、多くの市販のシャンプーには、界面活性剤という洗浄成分が含まれているそうです。界面活性剤は天然と合成のものがありますが、合成のものは食器洗い洗剤にも使われているもの。泡立ちがよく洗浄力が高いですが、頭皮には刺激が強すぎるといいます。
「頭皮はほどよく皮脂におおわれているのが、よい状態です。ところが合成の界面活性剤を使った洗髪料で洗うと、皮脂が取れすぎてしまって、乾燥やかゆみ、湿疹の原因となります。足りなくなった皮脂を補うために頭皮はいっそう皮脂を分泌するようになるので、ますます頭皮環境の悪化を招きます。しかも、洗浄成分は肌に残りやすい性質があり、頭皮の炎症などのトラブルを誘発します」
さらに、天然の界面活性剤より強い洗浄力をもつ合成の界面活性剤は、育毛環境を整える手助けをする常在菌まで殺してしまうそう。
「常在菌は、カビや花粉、ウイルスなどの外部刺激から肌を守る鎧のような働きをしています。それが殺菌されてしまうと頭皮は丸腰で外的と戦わなければならず、そんな疲れた頭皮からは健康な美しい髪は育ちません」
市販のシャンプーを選ぶときのOK&NG成分
では、市販のシャンプーを買うときには、どのように選ぶべきなのでしょうか? おすすめはラベルの成分表に表示されている界面活性剤によって見極めることだそうです。
頭皮に負担が少ないシャンプーは「○○カルボン酸」「○○タウリン」「○○アラニン」「○○グリシン」「○○ベタイン」「カリ石鹸素地」「ラウロイル○○」「ココイル○○」となどを主成分としているものだそうです。逆に、「ラウリル硫酸○○」「ラウレス硫酸○○」「ラウリルベンゼンスルホン酸Na」「オレフィン(C14-16)スルホン酸」を多く使っているものはあまりおすすめできないといいます。ちなみに、基本ルールとして配合成分は多い順に上から表示されることになっていて、界面活性剤は上位に記載がされていることが多いそうです。
これらの頭皮への負担の少ないシャンプーは、特別なお店に行かずともネットやドラッグストアなどで購入できます。辻さんによれば、シャンプーに含まれる洗浄成分(界面活性剤)によって頭皮への負担は決まるそうなので、例えばノンシリコンやビタミン配合など良さそうなうたい文句があっても、洗浄成分を見る選び方が初心者にはわかりやすくおすすめといいます。