断ったり、相手の間違いを指摘するなど、言いづらい場面に出くわしたとき、もじもじしてしまったり、相手の傷つく言い方になってしまうことがありますよね。著書『感じのいい人は、この「ひと言」で好かれる』(三笠書房)が話題のコミュニケーションアドバイザーの森優子さんが、そんな場面を切り抜けるひと言を教えてくれました。
相手の要望を受け入れられないときは、ユーモアのある仮説
例えば、自分がデパートの店員で、お客から「これ値引きして」など無理難題な要望を受けたとき。困ってしまいますが、ふざけるのではなく、ユーモアのある答えが有効だと森さんは言います。
「相手の要望を受け入れられないのはつらいい部分です。私も仕事で何度も経験しました。『値引きしてください』『安くしてください』と言われたときに、正直な気持ちを言ってみたのです。『私が社長だったら半額にするのですが』と。
すると、明らかに今までとは違ったお客さまの反応が見られたのです。『確かにそうだね』『こっちも無理だとわかっていても、一応言ってみただけだから』と和らいだのです。それからは無理難題を要望するお客さまが現れても、『私が社長だったら』仮説でお客さまの心をつかんで取引を継続していきました
仮説なら、いろんな想像が膨らみます。もちろん、相手のクレーム状況、要望に対して、真摯にお詫びしたり受け止めたりしたたうえでの仮説です」(森さん・以下同)
イライラしても謙虚な言葉は忘れないのが好感女性の流儀
レストランで料理を注文したのになかなか来ないなど、状況によってはイライラしてしまう場面。つい口調が強くなって店員さんを責めてしまいそうですが、こういった場面でも謙虚さを忘れないのが好感度のある人の言動だと言います。
「人に人格があるように、お店にも格があります。誰かを注意するときに、人格を否定しないようにするのと同じで、やむを得ずお店にクレームを言うときにも“店格“を否定しないように注意しましょう。
例えば飲食店で料理が出てくるのが遅いという場面。『遅いよ!まだ?』と、店員さんに声を荒らげる人を見かけるときがあります。確かにお腹が空くとイライラして機嫌が悪くなる人はいます。その原因は、ケンブリッジ大学の研究によると、セロトニンの不足が影響しているのだそうです。セロトニンが空腹により不足するから、感情が不安定になり、イライラしてしまうのです。
とはいえ、空腹でも謙虚な姿勢を保てる人はいます。そのような人は『何かの手違いかもしれませんが、ご確認していただけませんか?』と言って、頼んだ料理がまだ来ないことを伝えます。この言い方なら、お店の格を否定しているようには捉えられないでしょう」
◆教えてくれたのは:コミュニケーションアドバイザー・森優子さん
短大卒業後、西武ライオンズ・西武鉄道のチアリーダーに従事。その後転職し、求人広告の企業営業を担当。入社2年目に「売上、新規売上、新規社数」の目標を完全に達成し、表彰される。退職後、マリアージュコンサルタント事務所を開業。クライアントのコミュニケーション力を向上させ、支持を得ている。メディア出演、企業研修でも活躍中。今年5月、『感じのいい人は、この「ひと言」で好かれる』を出版。https://www.mariage-communication.jp