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秋の肌トラブルには秋の味覚・いも類がいい?ゆらぎ肌に悩んでいるならとりたい食材&漢方薬を皮膚科医が解説

肌を指で押している
ゆらぎ肌になりやすい季節の変わり目
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季節の変わり目は湿度や気温の変動もあり、肌トラブルが起きやすい不安定な肌(ゆらぎ肌)になりやすいといわれています。「とくに、夏から秋にかけては要注意!」と語る皮膚科医の金城里美さんに、秋のゆらぎ肌の原因と、ゆらぎ肌を整えるスキンケアや食材、漢方薬を教えてもらいました。

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秋にゆらぎ肌になりやすい理由

秋にゆらぎ肌になりやすい理由は主に2つありますが、いずれも夏の生活が影響しています。

夏の紫外線の影響

まずは、夏に受けた紫外線などのダメージが表出することです。

約28日周期といわれる肌のターンオーバー(古い肌が新しい肌に入れ変わる代謝のサイクル)。夏に受けたダメージが、約1か月後の秋ごろにゆらぎ肌になって現れることがあります。

紅葉
秋は夏に受けたダメージが肌に現れる季節
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夏から秋への気候の変化

湿度・気温が高く発汗の多い夏の気候から、湿度・気温が下がり発汗の少ない秋になり、肌の乾燥が一気に進むことで、ゆらぎ肌になってしまうことがあります。

そのほか、季節の変化に伴う体調不良、ホルモンバランスの乱れなどがゆらぎ肌に関係することもあります。

秋のゆらぎ肌改善のコツ

秋のゆらぎ肌を改善するには、念入りなスキンケアが欠かせませんが、紫外線ダメージや乾燥により肌が敏感になっている状態なので、肌にできるだけ刺激を与えないことが大切です。

洗顔やメイク落とし、タオルで拭くときなど、無意識に肌をこすることがないように注意しましょう。洗顔後には、化粧水の上から乳液や軟膏など油性のものを重ねて、肌に水分を閉じ込めるようにすると保湿効果がアップします。

また、保湿剤を肌につける際も、指先ではなく手のひらを使ってやさしく浸透させるのがおすすめです。

頬を触る人
ゆらぎ肌には丁寧なスキンケアを心がけて
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夏の紫外線による肌トラブル修復

夏の強い紫外線を浴びると、黒色の色素であるメラニンが肌の内部に過剰に蓄積されます。メラニンがうまく排出されずに肌に残ると、秋ごろにシミ、そばかす、くすみなどがあらわれます。

そのような肌トラブルを修復するためには、美白化粧品を使うのがおすすめです。美白化粧品にはさまざまな成分のものがありますが、紫外線による肌の老化の予防・改善効果があるビタミンC誘導体や、肌内部のメラニン生成の予防と、すでにあるメラニンを還元(薄く)する効果が期待できるハイドロキノンが含まれたものがおすすめです。

化粧品のボトル
夏の紫外線によるトラブルは美白化粧品を取り入れるのも一手
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ただし、ハイドロキノンは肌に刺激を感じる人も多く、ゆらぎ肌の時期は肌が敏感なので、ハイドロキノンを使い始めるときは刺激感がないか注意して小範囲から塗り始めるようにしましょう。

また、秋になっても紫外線は強く降り注いでいるため、日焼け止めや帽子、日傘などの遮光グッズを使った紫外線対策を引き続きするようにしましょう。

秋のゆらぎ肌を整えるおすすめ食材

また、ゆらぎ肌を改善するのに必要な栄養素を食べ物から摂ることも有効です。栄養豊富な秋の味覚で、肌の調子を整えましょう。

かぼちゃ

かぼちゃのポタージュ
ビタミン類が豊富なかぼちゃはターンオーバーの促進にも◎
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かぼちゃは抗酸化作用があり、老化を進める活性酸素から体を守る働きがあるといわれるビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンEを豊富に含んでいます。

また、ビタミンCには紫外線ダメージの改善効果、ビタミンEには血行改善効果があり、ターンオーバーを促します。

さつまいも

大学いも
さつまいもにはビタミンB群が豊富
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さつまいもは、ビタミンB群(B1、B6)、ビタミンC、ビタミンEを豊富に含む食材です。

ビタミンB1には皮膚炎の予防効果や皮脂分泌を調整する効果があり、ビタミンB6には肌や粘膜の健康を保つ効果があるので、肌荒れ対策におすすめです。

さといも

豚汁
さといもの食物繊維で腸内環境を整えて
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さといもは、ビタミンB1に加えて、食物繊維の一種であるガラクタンも豊富。

ガラクタンには消化管の機能改善や免疫力アップ、便秘の改善効果があるといわれています。腸内環境を良好にし、自律神経を整える効果が期待できるので、季節の変化に伴う体調不良や、ゆらぎ肌の改善に効果的です。

秋のゆらぎ肌には漢方によるアプローチもおすすめ

漢方医学では、「肌は内臓の鏡」とされています。血流が悪くなると、内臓の機能が低下して肌の栄養不足を招きます。また、ホルモンバランスの乱れやストレスなども、肌荒れの原因となると考えられています。

秋のゆらぎ肌には、肌の新陳代謝を促進して紫外線のダメージを改善したり、乾燥した肌に潤いを与え肌のハリを改善したりする作用のある漢方薬を選びます。

漢方薬によって体内の血流や水分の循環が改善することで、乾燥肌やシミの対策になるだけではなく、頭痛や冷えといった不調を同時に改善することも可能です。

いろいろな生薬
ゆらぎ肌のケアには漢方も有効
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ゆらぎ肌にお悩みの方におすすめの漢方薬

・当帰飲子(とうきいんし)

体力が中程度で、肌に乾燥がある人の湿疹、皮膚炎、かゆみに効果的な漢方薬です。体の各器官に栄養を届ける「血(けつ)」が不足すると、肌への栄養が届かなくなり、肌荒れ、肌の乾燥につながります。

当帰飲子は、「血」を補給する生薬とかゆみを抑える生薬とエネルギーのもととなる「気」を補う生薬を配合しており、ゆらぎ肌による肌の乾燥や肌荒れに効果が期待できます。

・加味逍遙散(かみしょうようさん)

体力が中程度以下で、のぼせ、肩こり、疲労感、精神不安、苛立ち、便秘などがある人の、冷え性、虚弱体質、月経不順、更年期障害、不眠症などに効果的な漢方薬です。

「血」が不足するとエネルギーの源である「気(き)」が熱にかわり、イライラ、不眠などといった不調を起こします。加味逍遙散は「気」を正常に巡らせるとともに、「血」を補うことで体のバランスを整える働きがあります。ホルモンバランスの乱れや生活の乱れなどによるゆらぎ肌の改善に、効果が期待できます。

→加味逍遙散について詳しく知る

漢方薬を始めるときの注意点

漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こる場合もあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:皮膚科医・金城里美さん

皮膚科医の金城里美さん
皮膚科医の金城里美さん
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かねしろ・さとみ。皮膚科医。薬剤師。東京大学薬学部卒業後、医師を目指して、東京医科歯科大学医学部に入学。体、精神とも関わって多様に現れる皮膚の病態に興味を持ち、皮膚科医の道を選ぶ。卒業後、大学病院、総合病院、クリニックでの皮膚科勤務を経て、一般皮膚科から美容皮膚科まで皮膚科領域の診療を幅広く行う。
現在、総合病院の皮膚科常勤医として勤務。今までの経験をいかし 、「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで情報発信している。

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