
秋の味覚といえば、ホクホクとした甘いさつまいもを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。最近はダイエット食としても人気の高いさつまいもの目利きの方法と正しい保存法について、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに聞きました。
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甘みのあるさつまいもは切り口から黒い蜜が滲み出ている
さつまいもは8月から11月頃にかけて収穫されます。収穫直後のものよりも、2~3か月貯蔵したもののほうがでんぷんが糖に変わることで甘みが増しておいしくなるので、収穫と店頭に並ぶ時期に差があります。では、より甘いさつまいもを見極めるにはどうしたらいいのでしょうか。
さつまいもはひげ根が少ないものを
まず、全体的に太く真ん中がふっくらとしていて、鮮やかで均一の色味のものを選びましょう。表面は傷やシミ、シワ、変色がないものがベストです。

ひげ根が多いものや、細いさつまいもは繊維が多い傾向にあります。なめらかな口当たりが好みの人はできるだけ避けるようにしましょう。ずっしりと重みがあるほうが、果肉がしっかりと詰まっていると言えます。栄養が行き渡り、水分が多くみずみずしいです。
蜜が出ているものは甘くて栄養も豊富
中には、ねっとりとした黒色の蜜が染み出しているようなさつまいもがあります。これは、ヤラピンというさつまいもから出てくる乳液成分が変色したもので、蜜が多く糖度が高い証拠です。

ヤラピンには整腸作用もあるので、甘いだけでなくお腹を整えてくれる働きがあります。
冷蔵&冷凍は基本NGのさつまいもはどう保存する?
温かい土地で栽培されるさつまいもは、寒さと乾燥に弱い野菜なので、保存するときは次の2点に気をつけることが鉄則です。
さつまいもは風通しのよい冷暗所で保管
乾燥に弱いさつまいもは、冷蔵庫保管は向いていません。新聞紙などに包んで、風通しのよい冷暗所に置くのが基本です。適温は10~15℃程度で、18℃を超えると発芽してしまいます。適温だと数か月保存ができますよ。ただしカットしたものは、切り口から腐りやすいので断面にぴったりとラップをして、野菜室へ。早めに食べきりましょう。
ちなみに、芋掘りなどで新鮮なものが手に入ったときは、風通しのよい場所で5~10日ほど陰干しをしたほうが、でんぷんが糖化して収穫した直後よりも甘みが増します。
冷凍するときは、加熱してからが条件
さつまいもは寒さに弱いので、丸ごと冷凍保存するのは不向きです。生のままで冷凍すると、解凍したときに水分が抜けてしまって、中身がスカスカになり、ホクホクの食感にはならないからです。

ただし、焼いたものや茹でたもの、ペーストにしたものなど、熱を加えて調理したものを冷凍するのはOKです。スープなどには冷凍したものをそのまま入れてもよいので、用途によって使いやすく工夫して保存しましょう。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ