
秋から冬にかけて旬を迎えるかぼちゃは、栄養が詰まった緑黄色野菜です。そこで、野菜ソムリエプロの福島玲子さんから、かぼちゃに含まれる栄養の効果やおすすめの簡単レシピを教えてもらいました。
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“アンチエイジング成分”が豊富なかぼちゃの栄養
かぼちゃは代表的な緑黄色野菜で、β-カロテンやビタミンCなどを多く含んでいます。とくに西洋かぼちゃはビタミンが豊富です。甘くておいしいうえに、美容効果も期待できる野菜なのです。
抗酸化力のあるβカロテンは、皮ごと調理で効率よく摂取
かぼちゃに豊富なβ-カロテンは抗酸化作用が強いことで知られます。抗酸化作用はアンチエイジングにもつながるので、女性にとってうれしい野菜ですね。
また、β-カロテンは体内でビタミンAに必要な量だけ変換されます。ビタミンAは髪の健康や粘膜や皮膚の健康維持に加えて、のどや肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれています。

β-カロテンは果肉よりも、皮と皮近くに多く含まれるそうです。なので、栄養を考えるならば皮ごと調理するといいですよ。さらに、油と一緒に加熱するとカロテンの吸収率が高まります。
ちなみにβ-カロテンの量は、一般的に売られている西洋かぼちゃに多く、「菊かぼちゃ」や「日向かぼちゃ」などの日本かぼちゃと比べて約5倍にもなるといわれています。
ビタミンにもアンチエイジング効果
かぼちゃの中でも、西洋かぼちゃには抗酸化ビタミンといわれるビタミンCとビタミンEがたくさん含まれています。ビタミンCは抗酸化力があり免疫力を高めるうえに、コラーゲンの育成にも必要な成分で、肌にハリや潤いを与えてくれます。
一方のビタミンEは、活性酸素から体を守る抗酸化成分です。免疫力を高める働きや、血管拡張を促し、血栓を防ぐ働きもあります。β-カロテンと同様に、ビタミンCやビタミンEも日本かぼちゃより西洋かぼちゃのほうに多く含まれているそうです。

食物繊維もバランスよく含まれている
かぼちゃは食物繊維も豊富で、水溶性と不溶性のどちらも含まれているのが特徴です。水溶性食物繊維には食後の血糖値上昇を抑える効果があり、不溶性食物繊維は便秘の予防や改善に役立ちます。
また、カリウムもたくさん含んでいます。カリウムは利尿作用で尿を促し、一緒に塩分を排泄するので高血圧予防に効果があります。
失敗しにくい絶品かぼちゃレシピ
かぼちゃはさまざまな調理に適している野菜です。調理をするときの工夫ポイントと、失敗しにくいかぼちゃの煮物のレシピをお伝えします。
レンジ&オーブン加熱もおすすめ
水分量が少なく、でんぷん質が多いかぼちゃは、電子レンジでの加熱に向いている食材です。とくに、かぼちゃは炒めると焦げやすいので、あらかじめ電子レンジで火を通しておくことで、炒めたり焼いたりするときに短時間でさっと仕上げられます。

また、オーブン調理もおすすめです。さつまいももそうですが、じっくりと時間をかけて焼くと甘くなります。少し厚めにスライスし、160〜170℃のオーブンで15~20分ほど焼き上げれば、しっとりホクホクした焼きいものような食感になり、とても甘く仕上がります。電子レンジではここまでの味と食感にはならないので、ぜひオーブン焼きも試してみてください。
水っぽくならない!かぼちゃの煮物のレシピ
最後に、失敗しにくいかぼちゃの煮物のレシピをご紹介します。かぼちゃの煮物をつくるときに水っぽくなりがちというかたは、ぜひ試してみてください。

水分はだしや水は使わず、かぼちゃから出る少量の水分と酒で作るレシピです。素材のうまみが詰まった、甘くてほくほくとした煮物が手軽に作れます。
《材料》3人分
かぼちゃ…1/2個 砂糖…大さじ1.5 しょうゆ…大さじ1.5 酒…50mg
《作り方》
【1】かぼちゃの種とワタを取り除き、一口大の角切りにする。
【2】鍋(フッ素加工のものが好ましい)を弱火で熱し、かぼちゃ、砂糖、酒を入れてふたをする。焦がさないようにかぼちゃを返しながら煮る。
【3】じわっと水分が出てきてかぼちゃがやわらかくなってきたら、しょうゆを加えて、味がしみこむまで煮詰めてでき上がり。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ