
試行錯誤のダイエットの末、きのこがいいということにたどり着き、1年半で40kg痩せたダイエットアドバイザーMartyさん。料理家とともに開発した「きのこのスープ」のレシピや魅力をまとめた『自律神経をリセットするきのこのスープ』(アスコム)を上梓しました。そこで、ローカロリーなだけではないきのこの魅力や、脂肪減少に効果が期待できるスープのレシピを教えてもらいました。
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“長寿ビタミン”が豊富なきのこはダイエットにぴったりの食材
ダイエット食としておなじみのきのこですが、Martyさんによると、きのこを摂るメリットはローカロリーということだけではないそうです。
自律神経と肥満の関係の気づきがきっかけ
身長164cmで26歳のころにはMax体重が90kg近くになり、20代ながら更年期障害のような諸症状が出ていたというMartyさん。当時の食生活を振り返ります。

「当時、私は子供向けの英会話教室を運営していました。授業は夕方から夜まで。その合間、空腹やイライラをお菓子で解消。夕飯は夜10時過ぎに丼ものやインスタント食品ですませていました。さらに、お酒とハイカロリーのおつまみも毎晩の習慣になっていたのです」(Martyさん・以下同)

栄養バランスとメンタルの関係についてはうすうす感じていたといいますが、肥満や慢性便秘、片頭痛、冷え性、肌荒れといった体調不良は食べ過ぎのせいだと思っていたMartyさん。真剣にダイエットに取り組み、栄養の勉強をして、きのこを取り入れた食事で40kgの減量に成功したことや料理家で栄養士の田村つぼみさんとの出会いから、肥満や体調不良には自律神経や腸内環境がかかわっていることを知ったそうです。
きのこに含まれる栄養素と健康パワー
交感神経と副交感神経からなる自律神経は、自分の意志とは関係なく働き、内臓や血管の働きをコントロールしています。この2つがバランスよく働いていることが健康で理想的な状態ですが、現代人はリラックス状態になる副交感神経よりも興奮・緊張状態の交感神経が優位に働きすぎている人が多いといいます。

「自律神経を乱す要因に不規則な生活や加齢などもありますが、一番の大敵はストレスです。とはいえ、ストレスをゼロにはできませんし、自律神経を整えるために考え方や行動を変えるとなれば、それ自体がストレスになりかねません」
そこで、普段の生活に取り入れたいのが、健康長寿に導く栄養素をたっぷり摂ることができるきのこなのだそうです。
「きのこには自律神経を整える栄養素が多く含まれています。その代表格が腸内環境を整え、副交感神経の働きを促す食物繊維。ほかにも自律神経の働きを正常に保つためのビタミンB1、B6、 トリプトファン、鉄、亜鉛などがあります」

さらに、心や神経のバランスを整えるセロトニンの調整に欠かせないビタミンDや、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出し、血圧上昇の抑制効果が期待できるカリウムも含まれます。また、エリンギ、しいたけ、えのきたけには、アミノ酸の一種で強い抗酸化作用をもつエルゴチオネインが多く含まれ、まいたけやきくらげには細胞の再生や脂質・糖質の代謝有害物質の分解などに関わるビタミンB2も豊富。
また、きのこ特有の食物繊維の一種「キノコキトサン」も、ダイエットのうれしい味方です。
「キノコキトサンには、食事で摂取した脂肪を吸着し、便と一緒に排出する働きがあるうえ、脂肪の分解と燃焼を促し、内臓脂肪を減らす効果があるといわれています」
これだけの栄養素を一度に摂ることができる優秀な食材ですが、Martyさん自身も、きのこ料理を毎日作って食べることには苦労したといいます。
身近な食材だけで作り置き、3ステップ「きのこのスープの素」で簡単朝の習慣化!
楽に続けられて効果的な方法を考えていたMartyさんが前出の田村つぼみさんと出会い、開発したのが「きのこのスープ」。3ステップで簡単に、しかも冷凍保存で日持ちするので、まとめて作り置きできるのがメリットです。
「きのこのスープの素」レシピ
「きのこのスープ」の素は、食材を加熱し、混ぜて、小分けにするだけの簡単レシピです。凍ったままのスープの素に、熱湯(スープの素1個あたり100ml)をかけるだけで食べることができるので、これなら毎日でも続けられるはず。製氷皿は1個のスペースが大きめのものがおすすめです。
スープの素1個あたり、エネルギー22kcal、炭水化物4.6g、食物繊維約1.3g、脂質0.2g、たんぱく質1.9g、塩分1.1g。(※きのこの種類によって多少異なります。)
《材料》(7杯分)
なめこ…100g しょうが…10g 塩麹…大さじ2 長ねぎ…50g かつお粉…大さじ2 のり…1枚 しょうゆ…大さじ1 ほかのきのこ…100g
※なめこはさっと洗って、ほかのきのこは汚れをペーパーで拭きとっておく
《作り方》

【1】きのこ、青ねぎはみじん切りにし、しょうがをすりおろす。

【2】【1】の具材を耐熱容器に入れ全体を混ぜたら、ラップをふんわりとかけ、600wなら4分、500wなら4分50秒、電子レンジで加熱する。

【3】ちぎったのり、塩麹・しょうゆ・かつお粉を【2】に加え、粗熱が取れたら製氷皿に入れて(もしくは作る量に合わせて等分してラップに包んで)冷凍。
「きのこのスープの素」のポイント
「『きのこのスープ』の最大の特徴は、自律神経と密接な関係がある腸内環境に優れた効果をもたらすために、きのこと塩麹を組み合わせた点」なのだそうです。腸と自律神経は互いに影響しあっているので、腸の働きがよければ、自律神経も正常に働き、自律神経が整っていれば腸の働きもよくなるといいます。
「その理由の1つが、心の安定ややる気を促すセロトニンやドーパミンなど、神経伝達物質の大半が腸内で作られているからです。また、体の免疫細胞も約70%が腸で作られています」

腸内環境を整えるには、腸内の「善玉菌」「悪玉菌」、その優勢なほうにつく「日和見菌」の3種に分けられる腸内細菌の中で、いかに善玉菌を増やすかということが重要。善玉菌の中でも、免疫系に作用し、炎症やアレルギーなどを抑える「制御性T細胞」を増やすことが明らかになり最近注目されている「酪酸菌」のエサは食物繊維なんです。つまり、食物繊維豊富なきのこと発酵食品の塩麹を合わせた「きのこのスープ」は酪酸菌を生産する上で理想系といえるのです。
さらに、きのこと塩麹には、交感神経が優位になりすぎているときにブレーキをかける働きがある、神経伝達物質GABA(ギャバ)が含まれています。アミノ酸の一種であるGABAはストレスの軽減だけでなく、血糖値の上昇の抑制、睡眠の質を整える、中性脂肪を減らす働きも期待できます。
「きのこのスープの素」活用レシピ
「きのこのスープ」の素は、熱湯をかけるだけですぐ食べられますが、アレンジすることで飽きずに続けられ、健康効果アップも期待できます。そこで、栄養バランスがよく、主菜がわりにもなるスープレシピを2つ紹介します。
「にら納豆ときのこの味噌汁」レシピ

血行を促す硫化アリルを含むにらと、納豆を使い血栓予防効果も期待できる「にら納豆ときのこの味噌汁」。アンチエイジングと疲労回復効果を兼ね備えたレシピです。
《材料》(2人分)
にら…4本 まいたけ…100g 納豆…1パック 水…1・1/2カップ きのこスープの素…2個 赤味噌…小さじ2
《作り方》
【1】にらは5mm幅に刻む、まいたけはほぐしておく。納豆は混ぜておく。
【2】鍋に水、まいたけ、きのこのスープの素を入れて中火で一煮立ちさせ、まいたけに火が通ったら納豆、にらを加えて赤味噌で味を調え、火を止める。
「きのこと鶏ひき肉の塩レモンスープ」レシピ

脳や神経の働きをよくするビタミンB1・B6、ナイアシンが豊富な食材でアレンジした「きのこと鶏ひき肉の塩レモンスープ」は、疲労回復や美肌、アンチエイジングが期待できるスープです。
《材料》(2人分)
ひらたけ…100g 鶏ひき肉…100g サラダ油…小さじ1、水…1・1/2カップ 鶏がらスープの素…小さじ1 きのこのスープの素…2個 塩麹…大さじ1 レモン汁…大さじ1 バジル…1枝
《作り方》
【1】ひらたけは石づきを除いてほぐしておく。
【2】鍋にサラダ油を熱して鶏ひき肉を入れ、ポロポロになるまで炒める。
【3】水、鶏がらスープの素、【1】、きのこのスープの素、塩麹を入れ中火で一煮立ちさせ、スープの素が溶けたら火を止める。レモン汁とバジルをちぎって入れて完成。器に盛りつけてお好みでレモンを添えてもおいしい。
◆教えてくれたのは:Martyさん

Ameba公式トップブロガー、オンラインダイエットアドバイザー。ダイエットとリバウンドを繰り返し、26歳のときの体重は89.9kg。肥満に加えて慢性便秘、 息切れ、片頭痛、アレルギーなどに悩まされる。医師からやせないと危険であると注意されたことを期に、 89.9kgから1年半で40kgの減量に成功し、実体験に基づくロジカルなダイエット法と、独自のモチベーションアップ術でダイエットに悩む人々のカリスマに。今年9月、『自律神経をリセットするきのこのスープ』(アスコム、監修:医学博士・小林正弥)を上梓。https://ameblo.jp/marty2367/