
「死ぬまでに実施しておきたいこと」をリスト化し、1つずつ実行していく「バケットリスト」を知っていますか? 「叶えたい夢をバケットリストに書き続けると、自分の実現したいことが具体的に見えてきます。さらに、夢を実現するためにどうしたら必要な資金を貯められるか、時間をやりくりできるかといったことに意識が向くようになります」と語るのは、生活コスト削減コンサルタントの生方正さん。バケットリストで人生を豊かにする方法について教えてもらいました。
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死ぬまでに達成したい100のこと「バケットリスト」
2007年の映画『最高の人生の見つけ方』(原題/The Bucket List)で有名になった「バケットリスト」をご存知でしょうか。偶然、病院で同室になった白人事業家と黒人整備士(ともに余命6か月)が死ぬまでに達成したいリストを作成し、一緒に旅をしてそれぞれの夢を叶えていくストーリーです。実は私は30年前からこのバケットリストを書き続けており、これまでに大小300以上の夢を叶えてきました。
リストを作成したことで叶った夢
私は「やり遂げたいこと」「行きたい場所」などを目にしたとき、手帳に記入していました。当時はインターネットが発達する前だったので、行きたいところを目にしたら、忘れる前に記入しないとあとから検索するのが難しい時代だったのです。
「バケットリスト」を書く際には、できるだけ具体的に書きます。たとえば「南インドに赤いバナナがあり、若干値段が高いが本当においしい」という話を聞けば「南インドで赤いバナナを食す」。世界のいろんな国を訪れたいと思ったときは「世界7大陸制覇」、海外不動産の話を聞いたときは「海外に別荘を持つ」と、それぞれリストに加えました。

同時に、費用を貯めるために日々の生活で無駄遣いを減らして節約をしたり、スノーボードなどお金のかかる趣味をやめ、貯金や投資にまわしたり。空いた時間で赤いバナナに関する情報収集や7大陸の制覇方法、海外不動産の勉強などを行いました。その結果、いずれも達成することができました。
夢を頭の中で思い浮かべているだけでは実現しにくい理由
もし、バケットリストを作らず、頭の中で「あれがやりたい」「これがやりたい」と思っていただけだと、リストの半分も達成できていなかったかもしれません。というのも頭の中で思い浮かべているだけだと日々の忙しさに忙殺され、いつの間にか「やりたい」と思ったことすら忘れてしまいます。当然、お金も貯まりません。

私の場合は、リスト化し何度も見直したことで「本当にやりたいのか、そうでもないのか」が自分の気持ちがはっきりしてきました。そのため衝動買いや無駄遣いを抑えることができ、結果として夢を叶えるためのお金を貯めることができました。
効果的なバケットリストの書き方
「バケットリスト」には、基本的に、どんなことを書いてもかまいません。たとえば、「バッキンガム宮殿でイギリス国王とお茶をする」「宇宙旅行をする」といったことを書くのもありです。しかし、達成が難しいことばかり書いてしまうと、「どうせ叶わない」と思うようになり、次第に手帳を見なくなります。そうならないためにも、まずは実現可能なことから書き出すといいでしょう。
実現性を考えて6対3対1の割合に
バケットリストには実現可能なこと6割、がんばれば叶うこと3割、「もしも叶ったら……」という絵空事1割の比率で記入することをおすすめします。
私の場合は「30分以上並ばないと食べられない超人気ラーメン店のおすすめメニューを食べる」(実現可能なこと)、「アメリカ大陸をバイクで横断する」(がんばれば叶うこと)、「宇宙空間から地球を見る」(絵空事)を、それぞれ6対3対1の割合で手帳に書き出しています。

それは、実現可能なことから実行していくことで「行動したら叶う」ことを実感し、夢を叶えるために必要なお金もしっかりと貯められるようになるからです。また夢が叶ったものは、取り消し線と達成した年月日を記録しておくと自信につながり、そのほかのこと夢にも挑戦したくなります。
かかる費用と目標の日程を書き足す
さらに大切なことは、「いつまでに達成するか」「夢を叶えるのに必要な予算」についても調べること。たとえば、「アメリカ大陸をバイクで横断する」は、横断にかかるレンタルバイク代、宿泊費、アメリカまでのエアチケット代などを大まかに計算しておきます。
予算がわかったら、半年後や1年後など、その夢をいつ達成したいのか決め、1か月にいくら貯めたらいいのかも計算します。このように具体的な金額、行動に落とし込んでいくことで夢が現実的になっていきます。

今の時期、来年の手帳を購入する人も多いと思います。新しい手帳を購入したらメモ欄などを使ってバケットリストを書き出し、1つずつ挑戦してみてはいかがでしょうか。
構成/間野由利子
◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん

うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。
構成/間野由利子