“ツトム=沢田研二”が示す生き方
未見の方もすでにお分かりかと思いますが、本作は大自然や、そこに生きる動物たちも主人公のようなものとして描かれます。実際、私たちの社会では人間が頂点にいる存在として誤解されがちですが、この映画ではその関係性がより対等です。誰もが大自然の一部に過ぎない。
身の回りの存在に感謝し、いまこの一瞬を丁寧に生きることの大切さ――。筆者も頭では分かっていますが、なかなかうまく実践できていません。明日も生きていられる保証のない世の中でどうあるべきかを、“ツトム=沢田研二”の姿が示してくれる作品だと思います。
◆文筆家・折田侑駿
1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。https://twitter.com/yshun