お正月といえばお年玉ですが、渡し方のマナーを知っていますか? お金のやりとりには、自身のお金への向き合い方があらわれるので、気を配ることで受け取る相手によい印象を与えることができます。そこで、お年玉のマナーや豆知識について、生活コスト削減コンサルタントの生方正さんにお話をうかがいました。
【目次】
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お年玉の歴史、江戸時代には庶民に浸透
お年玉はいつ頃、どんな理由で始まったのでしょうか。まずはお年玉の歴史から紐解いてみましょう。
お年玉の始まりは餅
お年玉の始まりは、年神様にお供えしていた餅玉を年長者から目下のものへと配った「御年玉」が始まりといわれています。その風習がいつ始まったのかは定かではありませんが、江戸時代には庶民の間で広く親しまれていたようです。当時、お餅というのはとても貴重なものだったことから、かわりに金品などを渡すこともあったといわれています。
子供に渡すようになったのは現代になってから
現代のようにお餅ではなく、「お金」を渡すようになったのは、日本の高度成長期頃。お金を直接渡すのはマナー違反とされ、懐紙で包むに。そこから徐々に、現在のようにポチ袋に入れて渡すようになってきたのです。
お年玉といえば、現在は大人から子供に渡すのが一般的ですが、江戸時代は大人同士で渡していたんですね。会社でいえば、社長が部下にお年玉を配るイメージでしょうか。
上司の子供にお年玉を渡してもいい?
このような歴史から、お年玉は目上の人に贈るものではないとされています。例えば、両親や上司の子供などにお年玉を渡すのは失礼にあたります。
両親や上司の子供に渡したいなら、別の名目にしましょう。親に渡す場合はのし袋などに「お礼」と書いて渡す。上司の子供に渡す場合は、「玩具料」「文具料」の名目で渡す。または図書カードを渡すという方法もあります。子供の年齢によっては、喜びそうなお菓子やおもちゃを選んでもいいでしょう。
正しいお札の折り方やポチ袋への入れ方
お年玉を渡す際に気をつけたいのが、お札の折り方や入れる向き。同じお金を贈るにしても、相手が気持ちよく受け取れるように贈るのが素敵な大人といえるでしょう。
お札を4つ折りにしてはいけない理由
お年玉を折るとき「4つ折り」にするのは、「4=死」に関連するので避けるべきです。お年玉は3つ折りにしましょう。
次に、お札は肖像があるほうが表です。お札を広げたときに、肖像が見えるように表を内側にします。そのうえで、左を先に、次に右を折り、右側が封筒の表面にくるようにポチ袋に入れます。このとき、お札の上下はもちろん逆さまにならないように。
お年玉を渡す相手の名前をポチ袋の表面に、自分の名前を裏面の左下に書きます。ポチ袋がない場合は、懐紙や封筒に入れて渡すようにしてください。
お札をキレイに3つ折りする方法
・1000円札
肖像画が描かれている表向きに置き、お札の左端が野口英世の顔の輪郭に沿った位置で折りこむ。
・5000円札
肖像画が描かれている表向きに置き、お札の左端が樋口一葉と表記されている漢字の「一」の真ん中になるように折りこむ。
・1万円札
肖像画が描かれている表向きに置き、お札の右端を左下にある潜像模様10000の文字の中心にかかるように折りこむ。
ピン札がない!そんなときは大根おろしを活用
もし手持ちのお札に新券がない場合は、大根おろしを使えば、お札のしわをきれいに伸ばすことができます。
【1】大根おろしを絞って水気を切る。
【2】水気をきった大根おろしをキッチンペーパーで包み、お札に大根おろしの成分を塗る。
【3】100度に温めたアイロンでしわをのばす。このとき、ホログラムの部分にはなるべくアイロンをあてないよう注意。
大根おろしに含まれるアミラーゼという成分が、お札の表面に塗られたでんぷんに作用し、アイロンを使ってまっすぐに伸ばすことでシワがきれいになります。
しわくちゃになったお札を渡すのと、きれいに折りたたまれたお札を渡すのとでは、受け取る人の印象も変わります。せっかくならマナーを知り、気持ちよく渡して喜んでもらいたいですね。
◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん
うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。
構成/間野由利子