
スーパーで購入する食品、旅行費や娯楽費。日々、私たちはさまざまところでお金をモノやサービスにを交換しています。しかし、出費をするとき、「消費」「投資」「浪費」どれに当てはまるか考えていますか?「このことを考えるクセをつけると、無駄な出費が減ってメリハリのあるお金の使い方ができるようになり、お金が貯まりやすくなります」と、生活コスト削減コンサルタントの生方正さん。詳しい話を聞いてみました。
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お金を支払うときに考えるべきこととは?
私はお金を払うとき、「この支払いは消費、それとも浪費だろうか? それとも投資? どれに当てはまるのか」と考えるようにしています。
「消費」「浪費」「投資」を知ってお金の使い方を変える
3つのカテゴリーについて具体的にみていきましょう。
消費……生活していくために必要な出費。具体的には、家賃、光熱費、食費、衣類、交通費、携帯電話料金など。
浪費……なくても困らない物や贅沢品、支払った額以上の効果が期待できない物への支払い。具体的には、衝動買いしただけで着ていない洋服、コンビニでつい買ってしまうスイーツ、付き合いで参加する飲み会など。
投資……将来自分の役に立つことへの支払い。書籍、資格取得の費用、健康維持のためのスポーツジムやサプリメント。株や不動産への投資。
支払ったものを「消費」「浪費」「投資」の3つにわけることで、無駄遣いしすぎていないか、お金をしっかりと残せているかなどを振り返ることができるようになります。
たとえば、私は就職したてのころ、同僚に誘われてパチンコやスロットでお金を使ったり、街で見かけたバーゲン品を衝動買いしてしまったりと、無駄遣いをしていた時期もありました。

あるとき、お金に関する本を読み「支出は、消費、浪費、投資の3つに分ける」という考えを学んでからは、パチンコやスロット、買っても着ない洋服にお金をかけるのは「浪費」。「浪費」をやめて「投資」に回せば、お金が早く貯まることに気がついたのです。
それから毎月の貯金額は増え、同時に「もっと投資に回せるところはないか」と、さらに改善を続けました。その結果、毎月の生活費が減り、お金が貯まるスピードが年々速くなりました。
消費、浪費、投資の理想的な割合は?
まずは、毎月自分が何にいくら支払っているのか、大まかでいいので把握してみましょう。その際、「消費」「浪費」「投資」のどれに入るかは、自分の価値観で判断してOK。

たとえば、お菓子を買った場合に「コンビニに立ち寄ったついでになんとなく買った」というのであれば「浪費」、「職場で同僚と食べるために買った」というものであれば、いい人間関係を築くための「投資」と考えることができます。
私が「消費」「浪費」「投資」の割合を計算したところ、消費7割、浪費1割、投資2割になりました。しかし、私は将来自由に使えるお金を増やしたかったため、消費6割、浪費1割、投資3割にしました。多くの人が「比率を計算するなんて面倒くさい」と思いますが、収入が増えると「お金があるから大丈夫」という意識が生まれ、つい消費や浪費が多くなります。気づいたら消費8割、浪費3割、投資0となっている可能性もあります。
「お金を効率よく貯めるために、浪費を0にすればいい」と思うかもしれませんが、人生遊びもないと息が詰まります。無理したら続かなくなり、リバウンドする可能性が大!
あえて浪費を削らず、食費や光熱費、衣類などの消費を減らし、その分を投資に回したのです。私は「消費6割、浪費1割、投資3割」を守り、消費や浪費の額を増やさず、定額を投資に回したおかげで、資産が増えるスピードが速くなり46歳で早期退職することができました。さらに、投資により現在も当時の給料以上の額を得ることができています。

「自己投資」のはずが気づけば単なる浪費に!?
支出を消費、浪費、投資に分けて考える際に注意したいのが、「投資」のつもりで買ったものも、場合によっては浪費になってしまう可能性があるということ。なかでも気をつけたいのが「自己投資」。子育てが終わってお金に余裕が出てくると、ついこの「自己投資」の額が多くなりがちです。

投資は「出費と同等、またはそれ以上のメリットはあるか」を考える
たとえば健康的な生活を送ろうと思い、無農薬野菜を買ってきたとします。一見すると「将来の健康への投資」になりますが、買ってきた野菜を冷蔵庫の中で腐らせてしまったら浪費になります。
また「きれいになるための自己投資」として高額な化粧品を買う、エステに通うなどの行為も、しっかりとした目的があればいいですが、その場の思いつきだけでお金を払っていたら、「高い化粧品を買った」「エステを数回受けた」というだけになってしまいます。ほかにも、ワインソムリエやカラーコーディネーターなど、資格を取っただけで活かせなければ単なる浪費になってしまう可能性があります。

逆に、「カフェでお茶をする」など、一見浪費に見えることも「一緒にお茶した人からいい話が聞けた」「仕事に生かせる新しいアイディアが浮かんだ」となれば、投資としてカウントしてOK。つまり、同じもの、ことにお金を支払っても、自分の将来に活かすことができるのであれば、浪費ではなく投資になるのです。「自己投資」をする場合は、「出費した額と同等、またはそれ以上のメリットがはあるか」をしっかりと考えることが大切です。
お金と上手に付き合うためにはバランスが大事
私は消費、浪費、投資の考え方を学んでから、食費や住居費などの「消費」を最低限に抑えることを心がけ、貯蓄を増やしました。また、付き合いで行く飲み会の回数を減らしたことで、空いた時間にお金に関する本を読んだり、不動産投資に関するセミナーを受講する時間を作ることもでき、貯めるだけでなく増やすことにも成功したのです。

その一方で「自己投資」として日本各地や世界を旅するためにお金を使い、見分を広めています。その経験は、ブログを書いたり、講演会で話したりすることで収入にもなっています。
今月は、ボーナスシーズンということでいつもよりも収入が増える人も多いはず。こんなときはつい気が緩んで散財しがちですが、消費、浪費、投資の割合を決めておくと、無駄遣いすることなくお金を使ったり貯めたりできるようになりますよ。
◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん

うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。
構成/間野由利子