昨年は、入院と手術を経て境界悪性腫瘍であることがわかった、ライター歴30年を超えるベテランのオバ記者こと野原広子(65歳)。年を重ねるに連れてさまざまな不調に悩まされるようになったという。20年間、不摂生を繰り返した結果なのか…オバ記者が自らの経験を綴る。
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閉経してから体が勝手に誤作動?
「もう、なんか出てくるよね」
最近、同世代と話すとよくこの言葉が出てくる。何が出てくるかというと体の不具合。
65歳になって役所から“前期高齢者”として無料の入浴券が送られてきたときは、タダ券はうれしい、でも高齢者か…と、温かいものと冷たいものを同時に飲み込まされたような気持ちになったけれど、高齢者として約1年過ごしてみると、なるほどこれが高齢者なのね、と思うことが多々あるんだわ。
たとえば4文字熟語にすると、これまでは“因果応報”。美味しいものをたんまり食べて、ぐだぐたしていたら太る。つまり原因と結果がはっきりしていたわけ。40を過ぎたあたりから少しくらい運動をしても間に合わず、体の累積赤字はふくらむばかりになったけれど、足し算、引き算の誤差の範囲内。
ところが閉経して、ああ、”女の体”が抜けてサッパリしたと思い始めたあたりから、“意味不明”。「1+1=8」とか、体が勝手に誤作動をしだす。眠いのに眠れない。熱くないのに汗が出る。それほど腹が立っていないのに、なんでこんなに激怒するんだ?と、症状は人それぞれだけど大きくくくれば更年期障害よね。
還暦が見えてくると不整脈も
私の場合、50歳の閉経前後からそのどれも体験したけれど、思えば軽症だったのね。日常生活に差し障りはない。「ラッキー!」と思っていたの。ところが60歳、還暦が見えてきたあたりから不整脈が出てきたんだわ。
区の検診にいったら聴診器を当てていた老医師が「ん?」という顔をして、「紹介状を書きますから精密検査を受けたほうがいいですね」と言い出した。この時の正直な気持ちは、ああ、来ちゃったかという感じ。
大昔の体の借金があらわになってきたんだな、と。というのも私、20歳からたばこを吸い始めて、52歳まで1日の休みもなく『セブンスター』をスパスパ。32歳で麻雀を覚えてからは朝も夜もなくヒマさえあればたばこの煙の中にどっぷりよ。