花粉撃退の最強家電のひとつが空気清浄機。ただ、「どこに置くのがいちばん効率的か」は意外と知られていないのでは。そこで家電ライターの田中真紀子さんに、空気清浄機のベストポジションや効率的な使い方、NGな使い方を解説してもらいます。
空気清浄機はいかにして空中の花粉をキャッチするの?
まず、空気清浄機は室内の花粉にどう働きかけるのか、そのメカニズムから教えてもらいましょう。
「空気清浄機は、室内の空気を吸い込み、空気中の微細な浮遊物を目の細かいフィルターで濾し取る、あるいは静電気でフィルターに吸着させることで取り除きます。そして、きれいな空気を室内に戻します。その浮遊物とは、主にほこりや花粉、ハウスダスト、菌やウイルスなど。
ウイルスは非常に小さいため、種類によっては空気清浄機で捕集できませんが、比較的大きい花粉は、取り除くことができます。さらにメーカーによっては、付着した花粉をUVやイオン、プラズマなどを照射して活動を抑制する機能を搭載しているものも」(田中さん・以下同)
空気清浄機を置くベストポジションは?
玄関に1台置いて部屋に花粉を持ち込まない
では、こうした働きは、室内のどこに置くともっとも効力を発揮するのでしょうか。
「花粉対策の原則は、花粉を家に持ち込まないこと。従って、空気清浄機を玄関にひとつ置くと効率的です。玄関でしっかり衣類の花粉を払い、空気清浄機で取り除いたうえで室内にはいりましょう」
「空気がはいってくる窓の正面の隅」に置いて強風設定に
リビングに置く場合は、次の工夫を。
「リビングなど部屋に置く場合は、『空気がはいってくる窓の正面の隅』に置き、風量を強くします。空調機器メーカーのダイキンが行った調査によると、窓から部屋にはいってきた花粉は窓の正面の壁にぶつかり、壁に沿って左右に広がります。その花粉を効率よく吸い込めるのが、正面の隅だそう。当然のことながら、風量が大きいほど、多くの花粉を吸い込めます」
なお、最も効率が悪いのは、窓がある壁側の端に置くこと。ベストポジションである「空気がはいってくる窓の正面の隅」は、「窓がある壁側の端」に比べて、5.8倍もの吸い込み量でした。これまで性能のいい空気清浄機を使っていてもなぜか効果を実感できなかった――という人は、置き場所に原因があったのかもしれません。
「またパナソニックの調査によると、花粉はエアコンからもはいってくると思っている人が75%もいることがわかりましたが、大きな誤解。エアコンから花粉は侵入しません。一部換気ができるエアコンを除き、ほとんどのエアコンでは、室内機と室外機は空気のやりとりをしておらず、外の空気は室内にはいってこないのです。そのため花粉対策としてエアコンを使用しないのは意味がありません」
暖房使用中は「エアコンの対面」がベストポジション
むしろエアコンと空気清浄機を併用することで、空気の循環がスムーズになり、より効果的に花粉を取り除けるのだと、田中さんは話します。
「冬の暖房使用時における空気清浄機の効果的な置き場所は、エアコンの対面。エアコンの吹き出し口を下に向けることで、室内の空気が床に沿って進み、対面に置いた空気清浄機内に花粉とともに吸い込まれます。その後、花粉を取り除いたクリーンな空気が上部から吹き出し、天井に沿ってエアコン側に戻っていくため、部屋の空気を隅々まで循環させられます」
サーキュレーターとの併用でさらに効率UP
また、エアコンの使用有無にかかわらず、サーキュレーターと併用することで花粉吸引効率はグンとUPします。
「前述の通り、空気の循環を促すことで、より効率的に空気が集められます。サーキュレーターも空気清浄機の対面に置き、床付近の空気を空気清浄機の方へ押しやれば、空気清浄機で花粉を吸い込みやすくなります。逆に、気流がぶつかったりしてしまう場所に置くと、ほこりを室内に拡散させてしまうので注意しましょう」