ドライマウスによる健康問題
ドライマウスは、口が渇いていることの不快感や食事の食べづらさ、滑舌の悪さの問題のほかにも問題を引き起こします。
唾液が働かなくなる
「唾液の大きな役割は抗菌作用や洗浄作用。それが減少すれば、むし歯や歯周病などが起こりやすくなるほか、口臭が強くなります。また、いわゆる“カビ”の仲間のカンジダ菌による感染も起こります。
唾液により口を潤す作用がなくなると、口の粘膜が弱まって口内炎ができやすくなります。さらに、乾燥で舌が萎縮して味を感じる部分がうまく働かなくなることもあります」
誤嚥性肺炎のリスクも
唾液の減少は、やがて命に関わる病気のリスク上昇につながるとこともあります。
「唾液が減ると『ゴックン』と飲み込む回数が極端に少なくなるので、飲み込みの“ウォーミングアップ”ができなくなり、本番である飲食の時にむせや咳き込みが多くなります。
喉に詰まってしまったり、気管に入ってしまったりして、『嚥下障害』につながります。高齢になり、咳や飲み込みの反射すら弱くなると、誤嚥性肺炎という命に関わる病気の危険性が高まります」
エストロゲンの減少も関係
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少がドライマウスに関係することも。
「ある研究では、閉経期の5割前後の女性が、口の不快感や渇きを感じているという報告があります。
エストロゲンは女性の健康を支えているホルモンで、口の健康もエストロゲンの減少による打撃を受けるということが、いろいろな研究によって分かってきました。エストロゲンが減ると、口から病原菌に感染しやすくなったり、むし歯や歯周病のリスクも上がります」
他にも、更年期以降の女性で危険性が指摘される「骨粗しょう症」のリスクが上がり、これは歯を支えるあごの骨にも影響するそうです。
「閉経後の女性の口の健康を守る医療的なガイドラインはまだありません。エストロゲンと口の健康の関係については、今後の研究が期待される分野です」