健康・医療

「ドライマウス」は口が乾くだけじゃない“怖い症状” 病気のリスクと改善策を医師が解説

ドライマウスを改善するには

ドライマウスそのものや、健康に及ぼす影響にはどう対応すればいいでしょうか。

基本的なオーラルケアを

「ドライマウスの人は口の本来の防御力が弱まっているため、口の中をより清潔に保つ努力が必要です。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使うとか、フッ素(フッ化物)を有効に使います。

文献では、歯や歯ぐき、唾液の検査などを受けるほか、口の中を清潔に保つために、オーラルケアの方法を個別に受ける必要性が強調されています」

運動、マッサージほか

さらに、自分でできるこんな対策もあります。

「口周りの筋肉や唾液腺を刺激する、口の運動やマッサージを行うことも大切です。日本歯科医師会が推奨する“パタカラ体操”や“早口言葉”などを疲れてくるのを感じる状態になるまで繰り返すのを1セットとし、1日2〜3セット続けると良いでしょう。他にも、顎下腺や耳下腺などのマッサージも、自分で簡単にできるのでおすすめです。https://www.jda.or.jp/oral_frail/gymnastics/pdf/print.pdf?2021-01-27

また、一口30回よくかむことも、唾液腺が刺激される天然のトレーニングです」

口周りの運動やマッサージで唾液腺を刺激する(Ph/photo AC)
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保湿剤と食品も有効

口の潤いを補う方法も取り入れたいところです。

「ドライマウスの症状を緩和する保湿剤としておすすめなのが、ヒアルロン酸、キシリトール、ソルビトール、グリセリンなど。シートタイプとジェルの形状は、特に夜間の使用におすすめです。

また、口の渇きを改善する食品としては、ケルセチンとイソフラボンが代表的。ケルセチンは玉ねぎなどに多く含まれ、酸化防止や血管を広げる作用があります。大豆などに含まれるイソフラボンも、抗酸化作用やエストロゲンの働きを補う作用が期待できます」

ドライマウスを放置すれば、そこからさまざまな症状・病気を招くことになりかねません。少しでも気になる症状があれば、生澤さんの助言によるセルフチェックや対策を実践してみてください。

◆教えてくれたのは:歯科医師、歯学博士・生澤右子さん

歯科医師・歯学博士の生澤右子さん
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株式会社Dental Defense 代表取締役、明海大学歯学部客員講師、日本歯科麻酔学会認定医、日本口臭学会・米国歯内療法学会所属。こどもはいしゃアカデミー主宰。東京医科歯科大学歯学部・同大学院博士課程卒業。ペンシルバニア大学歯学部マイクロサージェリーコース修了。フリーランス歯科医として複数のクリニックで診療を行う。講座、セミナー、商品開発などを通じて世界標準のオーラルケアを発信。2023年2月、『歯と口を整えるアンチエイジング』(ビジネス社)を出版。

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