過敏性腸症候群は下痢や便秘など、いつもお腹の不安が付きまとい、生活の質を大幅に低下させます。改善するためには、適切な治療と並行して生活習慣の見直しが有効だと、漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんはいいます。そこで対処法と取り入れたい食材、おすすめの漢方薬を教えてもらいました。
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繰り返すお腹の不調は「過敏性腸症候群」かも?
過敏性腸症候群は、腸に潰瘍(かいよう)や炎症がないのに痛みや不快感、下痢や便秘を繰り返す病気。日本人の10〜20%の人が抱えるといわれている現代病の1つです。
過敏性腸症候群の症状
過敏性腸症候群は、症状によって4つのタイプに分類されます。「下痢型」、「便秘型」、下痢と便秘を繰り返す「混合型」、どれにも分類されない「分類不能型」です。
タイプによって症状が異なり、下痢型は緊張や不安を感じると腹痛を感じたり、下痢をしたりします。一方、便秘型はストレスを感じると便秘がひどくなり、混合型は便通の変動がみられます。
過敏性腸症候群になる原因
過敏性腸症候群の原因ははっきりとはわかっていません。
ただ、腸へ指令を出す脳機能の低下や、腸の動きをコントロールする自律神経の乱れが原因で、腸が感情の影響を受けやすくなり「何らかのストレスを受けることで腸の動きが狂いやすくなるのではないか」と指摘されています。
過敏性腸症候群への対処法
過敏性腸症候群の主な対処法は、症状を和らげる薬の服用と生活習慣の改善です。規則正しい生活は排便のリズムを生み出します。また、ストレスをため込まず適度に休養をとることも重要です。
そして個々の状況や症状によって、心理療法や運動療法を取り入れると効果的との報告もあります。
心理療法
症状にストレスまたは心理的な要因が影響している場合、心理療法が用いられることもあります。精神科の医師や心理療法士による認知行動療法やカウンセリング、心理検査などによってストレスの緩和や解消を目指します。
適度な運動
適度な運動によって症状が軽減するケースも多くみられます。激しい運動である必要はなく、ストレッチや軽い体操、ウォーキングなどがおすすめです。運動強度を高めるよりも、気持ちがいいと感じること、続けられることが大切です。
過敏性腸症候群におすすめの食材&栄養素
過敏性腸症候群におすすめの食材は味噌です。味噌に含まれる大豆ペプチドには、脳内の情報伝達を活性化する働きがあり、脳機能を高めるのに役立ちます。脳機能が高まり、過度なストレス信号の伝達が抑えられると、症状が和らぐ可能性があります。また、自律神経などの神経細胞の形成にもかかわり、正しく腸が機能するのに欠かせない栄養素の1つです。
しかし、せっかくの大豆ペプチドも消化されなければ活用できないのです。そこで、大豆ペプチドの効果を十分に受けるためには胃の健康が欠かせません。胃の負担になる脂質が多い食事や、多量のカフェインやアルコールを控えることも、過敏性腸症候群の症状改善に役立ちます。
味噌を使った料理の代表は味噌汁。味噌汁は具のバリエーションが豊富なので、飽きずに食べ続けやすい料理です。ほかにも味噌炒めや味噌煮込みなど、いつもの料理の味付けを味噌にしてもいいですし、ねぎ味噌や肉味噌などのおかず味噌を常備菜にするのもおすすめです。